第6話 違和感
「初めまして、宮城大栄と申します。
近所の商店で勤めさせていただいたきっかけで娘さんと仲良くさせていただいてます亅
そう自己紹介した大栄に
「うちの娘が本当にお世話なっております。愛音から色々話は聞いております。2ヶ月程前から、なんだか元気よくなってる娘を見て、あなたのおかげだろうなと思っておりました亅
その時に大栄は思った。
"この母親にしてあの娘あり"と
それほどとても印象の良い女性だった。
そして大栄は自分の身に起こった事、
引っ越しをして欲しい事、
修学旅行で愛音に出会った事全てを話した。
すると愛音の母親は半信半疑になりながらも、
修学旅行の件は娘から聞いてると笑顔で語ってくれた。
そして愛音の母親は
「私は愛音がまだ幼い頃に離婚してそれから愛音と2人で人生を歩んできました。そんな私にも、勤め先の素敵な男性からアプローチがあり、ただいまお付き合いさせていただいてます。ですがその男性は来年京都の方へ転勤が決まっておりその方から、娘も連れて3人で京都へ行かないか?とのお誘いが来てる次第です。ですが愛音は来年高校3年生、受験生という事もあり環境を変えて愛音に影響がないか。と、男性からの返答に迷ってる次第です亅
と教えてくれた。
まだ愛音にはこの件を話していないらしい。
そこで大栄は
「もし差し支えなければ、この件、僕の方から娘さんへ話しても宜しいですか?亅
そう言うと愛音の母親は、
「愛音に伝えるかどうかは宮城さんの判断にお任せします亅
愛音と同じ優しい笑顔でそう答えた。
愛音の母親としばらく話し2人は喫茶店を後にして大栄は商店へ戻った。
商店へ戻ると愛音用のブラックコーヒーとまんじゅうが目立つくらいもう棚にはほとんどなにも残ってなかった。
大栄は、切ないが嬉しいような、よく分からない気持ちで棚を綺麗に拭き掃除した。
そして12月下旬、クリスマス。
大栄は27歳にして初めて女性と過ごすクリスマス。
大栄はあの修学旅行をきっかけに愛音に恋をして
それから一度も彼女がいない。
初恋の相手と年の差10歳で過ごすクリスマス。
愛音の母親に引っ越し資金の話をすると、それは悪いから受け取れないと言われ、ならばと愛音と美味しいご飯を食べようと少し高め目のお店に来た。
食事中に愛音が
「お母さん京都行く話ししてくれたじゃん、あれからトントン拍子で話が進んでね、私来年京都の学校へ転入する事になったんだ〜亅
それを聞いた大栄は
"本当に良かった、、、"
と思うと同時に
周りにいる人たちの3ヶ月後を想像すると、
複雑な気持ちになった。
「そういやね、今現在2010年の17歳のたえくんは、沖縄で何してんだろうね?ってお母さんと話してて私もこの時代のたえくんが何してんのか気になっちゃった亅
と愛音が微笑みながら大栄に言うと、
「確かに何してんだろう、今俺が沖縄帰ると17歳の俺に会える事になるのかなぁ?どうなんだろうね亅
そして大栄は何かを思い出し、、
「、、、あ、高校時代クリスマス3年連続で高熱出て寝込んでたんだった、、亅
と、苦い思い出を思い出す大栄。
「じゃぁさ〜今頃たえくん寝込んでるの?亅
と、微笑む愛音と2人で食事を楽しんだ。
でも、、、
愛音の様子がいつもと違う、、。
大栄はまだ違和感の正体が分からずにいた。
愛音の様子を気にしながらも2人は食事を終え、イルミネーションを見に行った。
大栄は雪の降る街で過ごす初めての冬、
イルミネーションどころでは無くなっていた、、
沖縄の温かい気候で育った大栄に
この街の冬は凶器でしかなかった。
ブルブル震えてる大栄を横目に
愛音が何か重たい雰囲気で、
「たえくん、、、高校卒業後のクリスマスは、、どんな女性と、、どう過ごしてたの、、、、?亅
大栄はその質問の意図が分からず、
「それが俺さ、恥ずかしいんだけど今日が初めてなんだよね、クリスマス女の人と一緒にいるの、もう27にもなるのに、、亅
と恥ずかしそうに笑いながら話すと、
愛音の顔が一気に明るくなった。
そして愛音が
「ごめんね、たえくんはもう大人だし、やっぱりこれまで色んな女性と色んな経験して来たと思うと、なんかちょっと寂しい気持ちになっちゃって、、、亅
と言う愛音に
「俺、、、実は女性経験ゼロです、、、亅
自分自身に呆れるように話す大栄に、
「それが良い!私もまだないよ!よかったぁ!!でも何でたえくんその歳までゼロなの?亅
そう不思議そうに聞いてくる愛音の目を見て大栄は真剣な表情で話し始めた。




