第18話 意に反した私の行動
着物の女性は私に告げると静かに消えていった。
それから私は業務に取り掛かる。
だけど、
全然仕事に身が入らない。
"今日22時8分を過ぎると今後8年間、たえくんと会えなくなる"
"やっと再会出来たのに、また会えなくなる、、"
頭の中はそればっかりでミスも連発。
そして気付けばもう22時、、。
"よし、屋上へ行こう"
私は非常階段を上がり屋上に。
"だめだ、、泣きそう、、、やだなぁ、、"
気付けばもう屋上。
柵から身を乗り出すと焦った表情のたえくんが後ろにいた。
「愛音、、何で、、何してるの、、」
"伝えたい、今日あった出来事全て、伝えたい。
だけどそれは出来ないんだよ、、"
そんな想いでたえくんに両手を伸ばすと、
たえくんは勢い余って私の体をすり抜け、
下へと落ちていった。
静かに消えていく、昨日まで一緒に笑い合った愛しい人の体。
伝えたい事はたくさんあるのに、
私の口から出た言葉は、
"また会えるといいね"
たったそれだけだった。
こんな時にそれしか言えない自分に嫌気がさした。
そしてたえくんの姿が消え、私は1人屋上で涙が止まらなくなった。
"ちゃんと戻れたかな、、"
"私の事忘れてないかな、、"
"また会えるかな、、"
屋上でうずくまり泣いてると、
エイさんがやってきた。
「あいつは大丈夫だ。必ず無事だ、愛音、8年は短いようで結構長いぞ。亅
エイさんは目に涙を浮かべ私の背中をポンと叩いてくれた。
翌日私はエイさんと神戸のおばちゃんの元へ。
たえくんが元の世界へ戻れたと伝えると、
おばちゃんは微笑んでた。
それから2ヶ月。
"会いたい、、、会いたいよ、、"
私の我慢は限界を超えていた。
"沖縄に行けば、、、会えるかな、、、"
私は着物の女性の言いつけを守らず、
旅行代理店へ足を運んだ。
でもやっぱり、着物の女性の言った通りになる。
航空券が予約できても、
当日になると、
必ず天候や機体の影響で全便欠航。
毎年同じ事をした。
着物の女性の言いつけに反抗するように。
それでも毎年毎年、必ず同じ結果になる。
"もう本当やだ、、、どうして、、、"
たえくんが残したガラケーだけが、
今の私の心の支え。
そして、たえくんが私の前からいなくなって8年、たえくんが元いた世界、2020年になった。
2020年10月8日
"たえくん、私もやっと27歳になったよ、また、たえくんと同い年になったよ、、"
空を見て呟いた。
業務に戻り今日の宿泊予約表に目を通す。
でも宿泊予約表を見ようとすると目の前がぼんやりかすれる。
"私疲れてんのかな、、"
"でも今日は午前で上がれるしもう少し頑張ろ!"
そう意気込み仕事に取り掛かる。
この日はおばちゃんとエイさんが私の誕生日を祝ってくれる事になり、仕事は午前で切り上げ午後からエイさんと神戸へ。
神戸で半日過ごし、京都へ戻ったのは21時頃。
"あっ、そういやもう冷蔵庫コーヒー切らしてたんだ、買って帰ろ"
私はスーパーで1人呟き、買い物を終え家に向かう。
帰り道、1人になるとやっぱりたえくんを思い出す。
"ねぇ、、会いたいよ、、もう8年経ったよ、、たえくん、、いつ会えるの、、寂しいよ、、"
そんな事を思い1人で歩いてると、気がつくともう家の前まで着いていた。




