第14話 ホテルの創業者
大栄は混乱する頭でおじさんの話を整理した。
そして真っ先に聞きたい事を聞く。
「なぜ未来が分かるなら、、おばあさんに会わなかったのか、おばあさんと会う未来まで見えてたの?亅
そう聞かれたおじさんは、
「自分と全く関係のない未来の夢はだいたい当たる、それが自分の事となると夢は当たらない、まぁどこにでもあるごく普通の夢だ。ただ、夢で見たことが少々現実になる事があるだけだよ亅
笑って話すおじさんに大栄は続けて、
「おじさんは、、、何者なんですか、、、?亅
おじさんはホテルを指差して答えた。
「あのホテルの創業者、、今の言葉で言えばオーナー、だな。ただそれだけだ亅
それを聞いた大栄は、
"オーナーならなぜこんなアパートに住んでる?"
"もっと良い暮らしができるはずだ"
"なぜホテルで清掃員をしてる?"
と、大栄に質問攻めされたおじさんは、
落ち着けと言わんばかりに、
「お前さん、自分の家や車は掃除するだろ、それと同じだ。
そして10代の頃から宿泊施設を営む事が夢だった。
金を稼ぎながら土地を探し回った。
そしていわく付きと言う形であのホテルの土地を格安で譲ってもらったんだ。
いわく付きと言われこの土地に起こった事を1年かけて全て調べた。
周囲がいわく付きと避けてたこの土地に起こった出来事を知り、俺は最初にこう思ったよ。
"儚い男女の恋心、それを最後まで突き通した2人の身に起こった出来事のどこがいわく付きなんだ"とな。
とあ、えいた、2人はただ恋をしていただけだ。
それをいわく付きとひとくくりにする人間に呆れたよ。そう思うと同時に、
いわく付きでも何でもない普通の土地を格安で譲ってもらえた事に感謝した。
それからホテル建設が着々と進むにつれて、毎日同じ夢を見た。お告げみたいなものだ。
顔は見えない、だけどはっきりと声は聞こえる。
"あなたはこの地で興す営みで莫大な富を築き上げ、何不自由なく天寿を全うできることになるでしょう。なのでどうか運命によって結ばれないとても不自由な男女がこの先現れたら、富を分け与えるではなく、あなたのその人柄でどうかお2人に手を差し伸べてあげてもらえませぬか?"
そう毎日毎日耳にタコができるくらい夢のお告げを聞かされてなぁ。
俺は目立ち合い欲も無ければ物欲もない、ましてや独り身、家なんてこれくらいの広さで自分の夢だったホテルが見えるこのアパートが、1番俺の暮らしに合ってるんだよ。
まぁ確実に夢のお告げはとあだろうけど、なんせあのお嬢様、イタズラ好きで俺のとこには全く現れてくんねぇで未来のスポーツの結果、街並みの変わりよう、それしか夢で見せんくてなぁ。
"俺スポーツ興味ないねん!"と、お嬢様に逆にこっちからお告げしたたいくらいだ亅
と笑って話した後おじさんは真剣な眼差しで、
「そんでお前さんの話したいこととは何だい?亅
そう問いかけられた大栄は全ておじさんに話した。
"2008年10月8日、修学旅行でホテルを訪れたのは自分"
"2020年10月8日、仕事で出向きこのホテルに宿泊する事、その時非常階段の足音に導かれ屋上から落ちていった事、目が覚めると2010年10月8日だった事。そのまま東北へ向かい、愛音、おばあさんの元へ行きどうにか東北を離れさせた事"
おじさんは話を聞いた後に2本目のビールを飲み、
「なら、俺が見た未来の夢は、お前さんがここへ来る、と言うお告げだったんかもな亅
そう呟き、
「俺は東北のあの出来事は夢に見なかった、お前さんあの出来事を知った上であの土地にいたとは、とても強く勇気ある行動だと思うぞ、頑張ったな亅
そう言われた大栄は少しウルっとした。
大栄が少し溢れた涙を拭いてると、
「2人とも無事だった、なのになぜお前さん、元の世界へ戻れずにいるんだ?亅
前におばあさんに言われた事と全く同じ事をおじさんにも聞かれた。
最大の謎、なぜまだ大栄がこの世界にいるのか、
大栄自身も分からないままであった。




