第11話 その時代、文字は右から左
「今から約200年前、1800年代の江戸時代。
ここら一帯を治る由緒正しき家があった。
そこの娘に才色兼備な"とあ"と名の娘がおり、
とあには許嫁がおったらしい。
だが許嫁と出会う少し前から、
すでにお慕いしていた男性がいたそうだ。
たしか琉球国、現在の沖縄の、
"えいた"と名の男性だったそうだ。
えいたが京を訪れた際に困ってたらしいとあを助けた事が仲良くなるきっかけだったそうでなぁ。
そして許嫁側にえいたの存在が発覚。
えいたが京を訪れる機会を見て武士に暗殺を命じたそうだ。
そしてえいたが京を訪れる日、とあは会う事をとても楽しみにしてたそうだが、その日許嫁からの誘いがあり、この時代断ることもできず、
えいたには明日会えば良いと許嫁の誘いに乗ったそうだ。
そしてとあが許嫁といる間に、
えいたは殺され2人は永遠に会えなくなってしまったらしい。
翌朝その事を知ったとあは深く傷つき、悲しみ、昨晩の事を後悔した。
えいたに会っておけば良かった、、と。
えいたは崖の下で殺されていたそうだ。
だが今も昔も時を戻す術は存在しない。
とあはその悲しみから、えいたが殺された崖の上からえいたが殺された崖の下に向かって、
えいたを追うように身を乗り出し自害したそうだ。
今立ってる場所、今見えてる下の歩道、
2人の無念の場所だ。
とあは遺言書に、
"どうか今後わたくし達と同じ目に遭う男女が現れませんように"
そう願いを込めて命をたったそうだ。
とあは遺言書と別で死ぬ間際、
時を戻したい、時を戻したい。
と懇願していたそうだ。
ここからは言い伝えなんだが、
とあの誕生日でもあり命日でもある10月8日、
このホテルにはさまざまな出来事が起こるらしくてな。
"このホテルで10月8日に出会った2人は永遠に結ばれる"
"離れ離れになっても必ず再会できる"
それと不思議な事に、とあ自身の無念なのか
"とあが時空を操って思い人の元へ戻す"
いわゆる過去に行けると言い伝えもあるんだ。
まぁそれは言い伝えにしか過ぎないがな亅
ベテランおじさんは笑いながらそう話した。
大栄は自分の身に起こった事の全てが繋がる気がした。
おじさんは続けて、
「それとな、とあは由緒正しきお嬢様だったにも関わらず、とてもイタズラ好きな娘だったらしく、そのイタズラの名残りか、この屋上で思い人に化けてここから飛び降りる風景を見せてくるそうだ。それを守ろうとする男を、その思い人の元へ飛ばしてくれると言う話もあるほどでなぁ亅
大栄の頭の中で点が線になった瞬間だった。
それと同時に、大栄は一つ思い出した。
修学旅行初日、困ってた愛音との雑談。
「私今日誕生日なんですよ〜!亅
そう、修学旅行初日は
愛音の誕生日の日でもあった。
おじさは最後紙に何かを書き大栄に渡した。
「とあ、えいた、2人とも良い漢字をした名前でな、気に入ってるんだ、2人の名前の漢字。その時代に合わせた書き方で、、っと亅
そう話すおじさんから渡された紙に書かれた漢字、
"愛音"
"大栄"
大栄が渡された小さな紙をギュッと握り名前に見入ってると、
「その時代、文字の読み書きは右から左だ、今の時代の読み方だとお前さんと同じ漢字だな亅
大栄を見てニコッと笑うおじさんと屋上を後にした。




