第89話 リーダーはファレノプシス!!
「スリーカラーレディース、略してTCLというのはどうだろう?みんなそれぞれ、自分の色を持っているから、いいんじゃないかと思う」
俺は少しだけ自信ありげに提案してみた。
自分にしてはなかなか良いネーミングだと思っている。
三人の反応はというと…
「スリーカラーレディース!?、スリーカラーレディース、スリーカラーレディース!!」
アレグリアは気に入ってくれたみたいだ。
ファレノプシスは、なぜか体をクネらせて『スリーカラーレディース…私にレディーなんて言葉は似合わないよぅぅぅ~~~。家事もできないし、ガサツな性格だし…。でも、ハヤト様がそう言ってくれるなら、素直に嬉しいよ。ありがとう』と、恥ずかしがりながら言う。でも表情を見ると、嫌ではなさそうだったので安心をする。
それにしても、ファレノプシスは俺に対してだけは、いつも激甘なのであった。正直に言って嬉しい。クール系美女がデレル姿は『グッ』と来るものがあるのだ。
最後に…
「私みたいな大女がレディーなんて名乗っていいのかなぁ…。パーティーのイメージダウンにならないか心配だよ」
ウオッカが不安を口にする。
「人がなんと言おうが関係ないよ。俺にとって三人は、もったいないほど素敵なレディーだと思っている。できればこの名前で活動をしてもらいたいと思う…どうかな?」
一人一人の顔を見つめながら確認をする。
「私は賛成!!スリーカラーレディース!!」
そう言って、ぴょんぴょんと飛び跳ねるアレグリア。可愛い。
「そうだね。誰に何と思われようが関係ない。私はただハヤト様だけに…。決まりだね!!」
俺を熱い視線で見つめるファレノプシス。カッコいい女性だ。
「素敵なレディー、こんな事を言われる日が来るなんて…嬉しい!!私達はスリーカラーレディース、TCLだ!!」
ウオッカが俺を抱きしめ『クルクル』と回り始める。
それを見てアレグリアが大笑いしている。ファレノプシスも満面の笑顔で見つめている。
そして『私達はスリーカラーレディース!!TCL!!』と言い、手の平を重ねる。
俺はそんな三人に見惚れてしまう。
そして『三人とも魅力的すぎるだろう。異世界に転移して本当に良かったと思う』と、素直に喜ぶ。
「どうしたの?」
アレグリアが声を掛けてきた。
俺は『ふふっ、何でもないよ!!』と、笑いながら言った。
「よし!!名前も決まった事だし、名前に負けないような実力を付けないとな!!」
三人に檄を飛ばす。
「当然よ!!ファレノプシスさん、リーダーをお願いします!!」
アレグリアがファレノプシスに頭を下げる。
「わ、私がか!?…私は本来、一匹狼的な性格をしているから、リーダーには向かないと思うんだけど…。でも、実績からして私しかいないか。まあ、いいでしょう。引き受けよう!!でも、仮に私よりもリーダーにふさわしい人間がいると判断したら、交代をお願いする事があるかもしれない。それだけは理解しておいてくれよ」
ファレノプシスも快く引き受ける。
ウオッカが『ニカッ』と笑い『リーダー、よろしくお願いします!!』と、頭を下げた。
「よし!!連携を磨いたら、どんどん依頼を引き受けていくよ!!」
『はい!!』
三人の顔が、一層引き締まって見えたのだった…が、しかし『ぐうぅぅぅ~~~』と、ウオッカのお腹が大きく鳴った。
コケるアレグリア。
「ウオッカさん!!ここでお腹を鳴らすんかい!!」
「ごめんごめん。わざとじゃないよ。気合を入れたら、お腹が空いてきちゃったんだよ!!」
アレグリアがツッコミを入れ、ファレノプシスが頭を抱えている。
俺はファレノプシスにお金を渡す。
「俺とアレグリアで先に行って登録をしておくから、なんか食べて来ていいよ」
「ハヤト様…ウオッカさんを甘やかしすぎなのでは?」
「まあ、今回だけだから…」
「…わかりました。でも、本当に今回だけにしてください。冒険者は、ウエイトのコントロールも大事な仕事なんですから…」
ファレノプシスが苦い顔をしてウオッカを見るが『う~ん…本当はリスグラシューの作った料理が食べたいんだけど、今回は我慢しよう!!』と、呑気な発言をしていた。
それを聞いたファレノプシスの目つきが変わり『ウオッカさん、今日の稽古は覚悟してね。地獄を見せてあげるわ』と、呟いたのだった。
【ファレノプシス視点】
アレグリアが私に…
「リーダーをお願いします!!」
そう言って頭を下げた。
一瞬、無意識に顔がこわばるが、リーダーになる事を受け入れる。
だが…
(まさか…この私がパーティーのリーダーを務める事になるなんてな…)
夢ににも思わなかった事が現実となり、正直、戸惑いを隠しきれないでいた。
本来、私は群れるのが苦手で、単独で冒険者として活動をしていた。未来永劫、パーティーなんか組まないと思っていたのだが…。しかし、アレグリアには実力があるとはいえ、今はFランクの冒険者だし、ウオッカさんなど登録も今からという初心者冒険者だ。
(まあ…仕方が無いか…)
私がそう思っていると…
「リーダー、よろしくお願いいたします!!」
ウオッカさんが私に向かって頭を下げる。
二人が私を見つめる視線には信頼感が感じ取れる。
(二人の成長のために、少しでも役に立てるのなら…。リーダーを務めるのも悪くない!!)
そう考えている自分に気が付く。
(ふふふっ、人間、変わろうと思えば変われるものなんだな。頼りにされるのも悪くない!!)
目覚めてからというもの、以前の人生とは全く違った人生が始まっていると感じられる。
(ハヤト様との出会いが、私にとって間違いなく運命を変える出会い!!)
私はハヤト様、それにパーティーのメンバーであるアレグリアとウオッカさんを見つめ、心が温まる思いだっだ。




