第82話 パーティー誕生!!
残念ながら氷属性の付与された盾は無かったが、ウオッカに合いそうな盾を選んだ。
「防具も必要だよな」
「できれば…」
俺の言葉にウオッカは申し訳無さそうに答えた。
「んっ!?どうしたの?」
「……………」
ウオッカは何か言いずらそうにしている。
「ハヤト、ウオッカさんはお金を持ってないから…」
アレグリアが俺の耳元でささやいた。
「ウオッカ、お金の事なら気にしなくてもいいよ。俺とブロディさんが半分ずつ出すから!!」
「本当っ!?」
「本当!!でも、稼げるようになったら、10倍にして返してもらうからね!!」
「10倍!?10ば…い…10倍!!…私に払えますかね?」
ウオッカが自信なさそうに言った。
そんなウオッカを見て、アレグリアが言う。
「大丈夫よ!!さっき聞いていたでしょ。私だって5000万エンを払わないといけないんだからね。二人で頑張れば何とかなるって!!」
「でも…私はまだ、冒険者登録もしてないのよ」
「だから大丈夫だって!!。細かい事は気にしないで!!ハヤトが鑑定をしてくれているんだから、私達はハヤトを信じて努力を重ねていけばいいのよ」
「そうか…そうね!!今は自分の事を信じられなくても、ハヤト様の事は信じられる!!アレグリア…私、頑張ってみるわ!!」
ウオッカはそう言い、拳を握り締めた。
それを見ていたファレノプシスが微笑を浮かべながら『二人で頑張るなんて寂しい事を言わないでほしいな。私もパーティーのメンバーに入れておくれよ!!』と、二人に向かって言った。
『本当!?』
二人が驚きの声を上げた。
そしてアレグリアが『ファレノプシスさんなら大歓迎ですよ!!でも、私はFランクだし、ウオッカさんは未登録です。本当に私達とパーティーを組んでくれるんですか?』 と、喜びながらも、少し不安そうな顔で質問する。
「ふふふっ、あなた達の実力は少しの訓練の中ですが、十分に理解したよ。今はまだ、物足りない部分も見受けられる…だけどね『そんなものはどうでもいい』と思わせる将来性、期待感のほうが遥かに大きい。そして、もっと大きいものがある。私の背中を任せられるのは、あなた達だけだと心から信頼ができる人間だという事だよ」
「…ファレノプシス、そこまで信頼してくれるんだ。私、頑張る!!」
ウオッカの目に火がともった。
「なんか気合が入ってきた!!」
アレグリアが顔を紅潮させながら言った。
三人は見つめ合い、手を握り合う。
パーティー誕生の瞬間だった。
「じゃあ、気合を入れて防具を選ぶわ!!ブロディさん、私にお勧めの防具を紹介してください」
「よっしゃ!!ウオッカ、着いて来い」
ブロディさんに促され、俺達は防具を置いてある部屋に移動する。
俺は部屋までファレノプシスと話しながら歩いていく。
「火属性の付与した槍が無いのは残念だ。新しい槍は見送りにするよ。私も新しく防具をそろえる事にしよう」
「また今度だね。でも、ファレノプシスは強いから、今のままの槍でも大丈夫じゃないか?」
「ハヤト様…凄い勢いで後から追いかけてくる娘が現れたんでね。私もうかうかしてはいられないんだよ」
「そんなに?」
「あぁ…槍を交えてすぐに感じ、驚いたよ。アレグリアの底なしの才能にね」
「そうか…でも、ファレノプシスも成長の余地は十分にあるよ」
「そうなの!?ハヤト様に言われると嬉しいものだね。むっちゃ、やる気がでてきた!!若い娘には負けられないよ!!」
「はははっ、ファレノプシスも十分に若いだろ。それに気が強いけど、美人で面倒見が良くて頼りがいがある。当たり前だけど、とんでもなく強い。お世辞抜きで、凄く魅力的な女性だと思うよ。アレグリアとウオッカを頼む」
「ハヤト様…嬉しい。二人の事は私に任せて!!」
ファレノプシスが歩きながら俺の手を握る。意識が無く寝ていたせいだろう。ファレノプシスの手の平は、普通の女性らしく柔らかだった。
俺は優しくファレノプシスの手を握り返す。
少しはにかむ笑顔はとても愛らしく、思わず抱きしめたくなる。
しかし、防具を置いてある部屋から『なんじゃと!?ふざけとるんかい!!もう一回言ってみろ!!』と、ブロディさんの怒鳴り声が聞こえてきた。
俺とファレノプシスは顔を見合し、慌てて防具を置いてある部屋へと入っていった。
そこには、にらみ合うブロディさんとウオッカの姿が…。
アレグリアと目が合うが『ヤレヤレ』という顔をし、苦笑いをしていたのだった。
【ファレノプシス視点】
(二人で頑張る…か)
私はアレグリアとウオッカさんを見て思う。
…私は冒険者になって以来、ずっとソロ活動をしてきて、誰ともパーティーを組んだ事が無かった。だが、ギルドの緊急招集で無理やりパーティーを組まされた。結果…、実力や戦闘スタイル、それに考え方が分からないまま戦い…最悪の負傷を負った。
(思えば、実力者の集まりではあったけど、信頼関係なんて何もなかった)
私は当時を振り返り、唇をかみしめる。
目の前の二人は輝く未来を夢見ている。
私も変わらないといけない。
冒険者として、二人と共に歩んでいきたい。
(この二人なら、ハヤト様が鑑定済みだし…。いえ、そんな事は関係ない。まだ知り合ってからの時間は少しだけど、人として信頼できる。私の背中を預けられるのは、あなた達だけだわ!!)
私は二人の真っ直ぐな瞳を見て思った。
そして『二人で頑張るなんて寂しい事を言わないでほしいな。私もパーティーのメンバーに入れておくれよ!!』と言う。
(少々上から目線でしたけど…まあ、許してくださいね。ふふふっ、これでも一応、Cランクの冒険者だからね)
そう思いながらも、頼もし気な先輩冒険者風を吹かす。
(ブエナにこんな所を見られたら『お姉ちゃん、偉そうにしない!!』と怒られるかもしれないが、まあ…いいでしょう。このくらいは!!)
二人も喜んでくれて、無事、ここにパーティーが結成されました。
(ハヤト様にも『二人の事は頼む』と言われました。気合が入るわね。しかし…パーティーには名前が必要…、名前、名前…。そうだわ!!パーティー名は『ハヤト』、これしかない!!きっと、ハヤト様も喜んでくれるはず!!)
私は愛する人と信頼できる仲間を得て、生きていく喜びを深く、深く感じるのでした。




