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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第75話 なぜメサイアが?

「…シーザリオ、シーザリオさん。大丈夫?」





 俺は呆然とするシーザリオに、恐る恐る声を掛けた。





「ハ、ハヤト様はもしかして、この世界を滅ぼすために来られたのですか!?」




「そ、そんな事、ある訳ないだろう!!」




「じゃあ、今の炎の攻撃魔法は何なんですか!?それに、あんな強烈な魔法を放っておいて、なんで平気でいられるのですか!?もっと凄まじい破壊力の魔法を放てるという事でしょう!!」




「まあ、魔力は減っている感覚は無いけど…試してみる?」





 俺の言葉を聞きシーザリオは無表情になり『この世界を破壊するのはお止め下さい』と、深々と頭を下げ懇願した。




 そこにジュリアさんとリスグラシュー、さらにはアパパネが血相を変えて、部屋に飛び込んできた。





『どうしたの!?凄い音が…んっ!?』





 三人の前には無残に破壊され、大きな穴が開いた壁。




 困惑する三人。





「ハヤト君、この壁に空いた大きな穴。説明してくれるわよね」





 あっという間に鬼の形相になるジュリアさん。当然だろう。自分の大切な宿が一部とはいえ、無残に破壊されてしまったのだ。よく見ると額には、青筋が浮き上がっている。





「も、申し訳ありません!!」





 俺はシーザリオの横で土下座をし、謝罪した。




 シーザリオもジュリアさんのほうへ向き直し、土下座をして謝罪をする。





「シーザリオは土下座しなくてもいいからね」




「いいえ、生徒のハヤト様がしでかした事、先生の私にも責任があります。監督不行き届きというやつです」




『……………』





 しばらく沈黙が続く。




 俺とシーザリオは恐る恐る顔を上げ、ジュリアさんの様子を窺う。




 そこには腕組みをし、俺とシーザリオを睨みつけるジュリアさんが…。





『ひぃっ!?』





 恐ろしさのあまり小さな悲鳴を上げ、俺とシーザリオは床に額をこすり付けた。




 しばらくすると





「はあ~」





 ジュリアさんのため息が聞こえた。




 そして…





「謝罪は受け入れますが…ハヤト君、それにシーザリオ様。一体どうしてこんな大きな穴が壁に開いているのか、説明してくれる?」




「…はい」





 俺は正直に調子に乗ってやり過ぎてしまった事を話し、もう一度謝罪をした。





「この責任は指導した私にあります。修理代金は『メサイア』が全て出しますのでお許しいただけませんか?」




「えっ!?な、なぜメサイア!?これは俺の責任だから…メサイアには迷惑はかけられない」





 俺はカッコつけて言ってはみたものの『マリア様から頂いたお金も減っているし…。俺、未だにほとんど収入が無いんだよな。でも…なんでシーザリオ自身ではなくメサイアなのか!?』と、不安と疑問が頭をよぎる。




 ジュリアさんが憂い顔をして考えている。




 そして『ポツリッ』と呟く。





「一階のレストランの部分と、宿のダイニングを分けようと思っていたの。キッチンを挟んで、外に面した部分をレストランにして、完全に分離する。そうしたら、レストランはパスタ類を、宿では定食などを出せるかな?と思っていたのよね」




「それ、いいですね!!」





 俺は一階部分を頭に思い描いて返事をするが…





「大規模な改修工事になってお金がかかるのよ。おまけに大きな穴まで…不可抗力ならお金を出してもらうわけにはいかないわ。…はあ~」





 ジュリアさんが『チラッ』と、大きな穴が開いた壁を見て言い、そしてため息をついた。




 そんなジュリアさんの姿を見て、シーザリオが立ち上がり言う。




 


「この壁の穴の修理代は当然として、その改修資金も含めてメサイアが出します!!全てメサイアにお任せいただけませんか?」




「そ、そんな事できませんよ。先ほども言った通り、修繕の責任は私にあります。それにメサイア様は何の関係も…」




「はははっ、問題ありません。メサイアは公爵家のお嬢様なのです。そこそこのお金は持っています。気にする必要はありませんよ。それにこの宿は、もはやハヤト様の拠点と言っても過言ではない。ならば、誰がお金を出すかは重要ではありません。出せる者が出せばいいのです」




「…う~ん」





 考え込むジュリアさん。




 俺は『メサイアはシーザリオに振り回されて大変だな。何の関係も無いのに、勝手にお金を出す事にされているよ。おそらく普段からこんな感じなのだろう』と、心からメサイアを不憫に思うのだった。








【メサイア視点】




 私は冒険者ギルドで書類のチェックをしている。細かいところは文官たちが来てからなのだが、大まかに目を通しておく。





「ふぅぅぅ~」





 目の疲れを感じ、窓から空を見て一息つく。





「んっ!?ファイヤーボール!?」





 火の玉が…いや、そんな程度の魔法ではない。大量の魔力を圧縮し燃え盛る炎の塊が、天に向かって放たれた。




 そして次の瞬間、地響きと共に、耳をつんざくような爆音が響く。





「なっ!?こ、この方角は…まさか襲撃か!?」





 嫌な予感がよぎり、冒険者ギルドを飛び出し走り出した。





(シーザリオは火魔法は使えないはず。だとしたら…何者が…シーザリオには敵が多い。みんな、無事でいてください!!)





 私がベガに着くと野次馬が集まっている。そして壁には無残に大きな穴が開いていた。





(くっ!?やはりベガから放たれた魔法か!!)





 私は野次馬をかき分け、剣を抜いてベガの中へ突入していくのでした。






【リスグラシュー視点】




(うふっ、うふふふっ。うふふふふふふっ!!)





 私は溢れ出そうになる笑いを抑えるのに必死でした。ジュリアさんの心情を考えれば、ここで笑い声は上げられません。




 ですが…





(さすがハヤト様!!愉快です…とても愉快ですわ!!)





 ハヤト様が放たれた魔法で開いた壁の穴。そして地響きと爆音。何より、こんな強力な魔法を放ちながら、平然としているハヤト様を見つめて思う。





(ハヤト様、あなたは唯一無二の存在。この世界を統治するに、ふさわしいお方です。あぁ…私はなんて幸せなのでしょう!!)





 私はうっとりとした目でハヤト様を見つめる。




 しかし…





(残念ですが現状、人材も資金も全く足りていません)





 私は歯がゆい気持ちを押し殺し、自分の力不足を痛感するのでした。




 そして…





(いつの日にか、ハヤト様をこの世界の覇王に…)





 私は口の端を少しだけ上げ、自らが夢見る理想の世界を思い浮かべるのでした。

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