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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第173話 水不足

 エアディドール討伐軍が間近に迫り、城内にも緊張感が張り詰めている。




 シェイディとシャカールも軍議を開き、相手をどう迎え撃つか、対策を練っている。





「ちょっと興味があるな。覗かせてもらえないかな?」




「申し訳ないのですが、それは無理です」




「やっぱり?」




「はい。ハヤト様を信用していない訳ではないのですが、エアディドール家に味方をする各貴族の諸将たちも参加しております。戦に参加しないハヤト様が『見学したい』と言っても、なかなか難しいです。彼らはハヤト様の力を知りませんしね」




「まあ、そうだろうな。気にするな。メサイア。その位は分かってる。でも、籠城はしないんだろ?」




「そこは間違いありません。各砦でや堡塁、知り尽くされた地形を生かし、まず外郭の外で、野戦を仕掛けるのは必定。しかし、想定外の事もございます」





 メサイアが苦虫をかみつぶしたような顔をして言う。





「なにか問題でもあるのか?」





 少し心配になる。





「はい。現在、大河グレンデルの水位が極端に下がっており、天然の要害の役割を果たせていません。ここを簡単に突破されてしまうのは、完全に想定外。頭が痛い問題です」




「意識的に上流でせき止めているわけでは無いのか?」




「はい。ムムルーズでもそうだったように、今年は異常なほどの水不足。ダムの水ももう僅かと聞いています」




「…水不足か。どのくらいの水位なんだ?」




「膝下くらいですかね。重い防具類を付けていても、簡単に渡られてしまいます。同じく、騎馬隊も苦も無く渡る事が出来る事でしょう。ここが誤算です。もう少しすれば、雨期に入ってなんとかなると思うのですが、しばらくは我慢です」




「天気に関しては、どうにもならないからね。仕方ない。でも、当然、敵にもバレているよな?」




「えぇ…間違いなく、情報はつかんでいると思われます。まあ、こちらとしても、初めから分かっている事なら、対策を打てますからね。シェイディとしても、その事を踏まえた戦術を考える事でしょう」




「そうだな」





 俺は雲一つない青空を見上げて答えるのであった。





☆★☆





 城を抜け出して、俺は外郭の外側に流れる、大河グレンデルまでやって来た。





(さすがに大河と呼ばれているだけはある。川幅が1㎞位あるんじゃないのか?)





 しかし、堤防兼、土塁の上から見下ろすグレンデルは、大河の名にふさわしいほどの水位はなく、一目見て、子供でも歩いて渡れるだろうと思われた。





「これは確かに、天然の要害には程遠い状態だわな」





 ここを簡単に突破されるのは、エアディドール陣営にとっても頭が痛い。俺は土塁から滑るように下りて、地盤の固さを確認しながら歩いて川を渡り、対岸に行く。





(水の無くなっているところは、ぬかるむ事も無く、完全に干上がってるな。マジで行軍するのに、なんの支障もない)





 対岸はかなり開けていて、おそらくはエアディドール側はここに布陣して、開戦時は討伐軍を迎え撃つと考えられる。





(水位が十分なら、グレンデルを必死で渡り、疲れている討伐軍を、地形の利を生かして、土塁の上から討っていくという戦術が有効なのだろうが…この水位では無理か。でも、できれば外郭の内側には入れたくないよな。被害が大きくなる。………そうだ!!)





 俺はある作戦を思いつき、一旦、城へと戻るのであった。





☆★☆





「明日の夜か、明後日の早朝、FCLが依頼から帰ってくると思われます。いよいよ、シーザリオ島に出発します。ハヤト様は早急に、新しい島の名前を考えておいてくださいね」





 夕食を取り終えて、部屋に戻ろうとする俺に、リスグラシューが声をかける。





「えっ!?新しい島の名前って?………なに???」




「シーザリオ様とも話し合ったのですが、エアディドールが独立するのです。私たちも島全体を私たちの領土として、独立してしまおうと考えています。ですから、島に渡った瞬間から、ハヤト様、あなた様が王として即位するのです。独立、新王の誕生に相応しい、新たな名前が必要だと、私たちは考えました」





 リスグラシューはそう言って、シーザリオとメサイアに目配せをする。すると二人は笑顔で、俺に向かって親指を立てる。





「俺が…王だって!?…みんな、それはいくらなんでも、無理がありゃしないかね?自慢じゃないが、庶民臭プンプンだぞ!!」




「問題ありません。今、大きな顔をして玉座に座っている各国の王も、元をたどれば普通の人間。代を重ね、月日が経てば、それらしい威厳が備わるものです。それに、ハヤト様は庶民臭などとおっしゃいますが、私たちから見て、ハヤト様は庶民からは、ほど遠い存在だと感じています」




「月日が経てば…か………。本当に、そうゆうものなのか?」




『そうゆうものです!!!!!』




「わ、わかった。考えておくよ。でもさ、島民100人くらいしかいないんだろ?それって、王というよりも村長じゃね?」




『王です!!誰がなんと言おうが王なのです!!!!!』





 三人の迫力に押し切られ、俺は承諾してしまう。




 そして逃げるように部屋に戻ってきた。





(はあぁ~~~、俺が王って…マジかよ)





 ベッドに横たわり、自分が玉座に座っているところを想像する。周りには、リスグラシューはもちろんの事、グルーヴやシーザリオ、メサイアたちが次々と国の問題を指摘してきて、俺に決断を迫って来る様子が脳裏に浮かぶ。





(こんなん、俺には無理だろ。………あっ、そうだ!!ふふふっ、いい言葉を思いついた!!『良きに計らえ』、とりあえず、最初のうちは、そう言っとけば良いんじゃないかな。特にグルーヴは、直近までエアディドール領を切り盛りして、繁栄させてきたという実績がある。丸投げしても、問題無いだろう。むしろ、島民のためにも、そうしたほうがいい。そうだ、そうしよう!!ふふふっ、良きに計らえ…か。いい言葉だ!!)





 途端に気が軽くなり、俺は昼間に行ったグレンデルの事を思い出す。





(シェイディのために、なんとかしてあげるんだったな。水が無ければ、魔法で作り出せばいいじゃない!!シーザリオに頼んで、ダムに水を溜めてもらう。これで一件落着や!!)





 すでに真夜中。




 俺はそっと部屋から抜け出し、シーザリオの部屋へと忍び込むのであった。

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