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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第168話 ………早く飯を食いたい

 ナナに連れられ、メサイアが着替えのために、部屋から出て行く。





「料理が冷めてしまうが、メサイアが返ってくるまで我慢だな」





 俺は湯気が立っているスープを見つめながら言う。




 しかし…周りの雰囲気がおかしい。いや、異様と言っても過言ではない。





「どうした?」




「いえ…メサイア様が頂いたドレス。少し羨ましいなと………」





 ジュリアは遠慮がちに言うが、目は真剣だ。私も欲しいアピールが凄い。


 


 ジュリアだけではない。みんな『欲しい!!』とは言わないまでも、期待に満ちた目で俺を見つめている。恐怖すら覚える圧を感じる。




 俺は危機を感じとり『ふふふっ、当然、みんなの分も作って、プレゼントするつもりだったから!!』と言って、次々にドレスを新調していく。





「シーザリオは当然、ゴールドを基調としたドレスだ。ジュリアたちは紫、俺の好きな色だな。ただ、紫に他の色を組み合わせ、一人一人デザインにもこだわった、オリジナルのドレスをプレゼントするよ。受け取ってくれ!!」




『ハヤト様!!!!!』





 一瞬で圧が消え去り、弾けるような笑顔で俺を見つめるその姿に『ほっ』と胸を撫で下ろす。





 ドレスを抱きしめ『じゃあ、今から着替えてくるわね』と、ジュリアが言う。





「えっ、メサイアももうすぐ着替えてくるだろうし、先に食事を済ませてからでもいいんじゃないか?」




「………ハヤト君、今すぐ、私たちがドレスを着た姿、見たいでしょ?」





 再び、俺の危険察知センサーが鳴り響き『み、見たいに決まっているじゃないか!!我慢出来ないよ!!』とジュリアに言う。冷や汗もの。





「ふふふっ、少し待っててね。アパパネちゃんとブエナちゃん、行くわよ!!」




『は~い』




「では、私も…」




「当然、私も着替えて参ります」





 ジュリアとアパパネとブエナに続き、シーザリオとリスグラシューも、いそいそと着替えに向かう。




 俺は後姿を無表情で見つめ『メシ…食べたいな』と呟くが、大切な事を忘れていた。今、依頼で留守にしているFCLと、商いのため、エアディドール領内を駆け回っているゼニヤッタの事を思い出す。





「用意していないと、絶対に詰められるだろうな。あぁ…恐ろしい」





 俺はダイニングで一人きり、ドレスの製作に勤しむ。





「調子に乗って、風魔法でドレスを切り裂かなければ良かった」





 独り言を言いながら作業をするのだが、脳裏には、はっきりとメサイアの全裸の姿が焼き付いている。





(ふふふっ、そうはいうもののだ。グルーヴに比べて小ぶりだが、非常に美しい、正に美乳と表現するにふさわしいお胸だったな。特に奥ゆかしさを感じさせる桜色の乳首は絶品ですよ絶品!!金髪の美女剣士メサイアの全裸を堪能する事が出来ただけでも『良し!!』とするかな)





 自然と顔がニヤける俺。





(しかし…巨乳と美乳、どちらに軍配を上げればいいのやら。グルーヴとメサイアに同時に迫られた時、はたして俺は、巨乳と美乳、どちらを選ぶ事になるのだろうか?)





 ニヤけながらも、真剣に考え込む俺に、反省という文字はない。




 最終的には『やっぱり、二人一緒でいいんじゃないかな。母娘だし、どちらの胸を選ぶとか差別にもなりかねん。うん、差別は良くない!!平等に愛でればいいだけの事。だよね!!』という、なんとも自分勝手な結論に達するのであった。





★☆★





 メサイアが着替えを終えて帰ってきた。




 純白のドレスに身を包み、神々しいまでの高貴なオーラを纏ったメサイアの姿を見て、思わず息を飲む。





「戦闘服を着て、甲冑で身を固めている姿も凛々しくて好きだが、その純白のドレスを身に着けたメサイアも…好きだ!!」





 俺の煩悩を吹き飛ばすほどのオーラをビンビンに放つメサイア。微笑で答える。




 そんなメサイアを目の前にして、今までの不埒な妄想を反省する俺なのであった。





「ところで、みなさんはどうされたのですか?」




「ドレスに着替えに行ったよ。ほら、ナナのドレスも作ったから、着て見せてくれないか?」




「えっ、わ、私にも…ドレスを!?」




「あぁ…グルーヴと共に、俺にも仕えるんだろ。当然だよ」




「ハ、ハヤト様…」





 涙ぐみながらドレスを受け取るナナ。作った甲斐があったと思う。




 しかし…





「今はまだ、私はエアディドール家のメイドでございます。そして仕事の最中。今、仕事を放り出して、ドレスを着る事はできません。ご容赦ください」





 ナナは丁寧にお辞儀をするも、毅然と答えた。





「ナナ、構いませんよ。着替えていらっしゃいよ。私もナナのドレス姿を見て見たいわ」




「メサイアお嬢様のお言葉、ナナは嬉しく思います。ですが、私はメイド長として、現在、エアディドール家にお仕えする全てのメイドに対して、厳しく指導してまいりました。その私が、仕事を放り出すわけにはいきません。…ですが、本当に心から感謝申し上げます」





 再び、深々とナナは頭を下げる。





「分かったよ。俺、ナナのそういう真面目なところ、好きだよ。シーザリオ島に行って落ち着いたら、ナナのドレス姿を見せてくれよ」




「はい。メサイアお嬢様やグルーヴ様と比べられるのは気が引けますが…必ず」




「ふふふっ、ナナは本気で、そう思っているのかもしれないが、俺は思ってない。結構、ナナの事を気に入っている。約束も忘れてない」




「ハヤト様…」




「土下座は禁止だと言ったと思うが、そんな深々と頭は下げなくていいんだ。俺としては深々と頭を下げられるより、笑顔を見せて『ありがとう』と言ってもらえるほうが嬉しいんだよ」





 俺の言葉を聞いて『ハッ』とするナナ。




 ドレスを大切に抱きしめて『ありがとうございます』と、満面の笑顔を見せて言ってくれたのであった。








【依頼へと向かうFCL…③】




 わき道にそれ、すれ違う馬車もいなくなる。




 段々と森の奥深くに入っていく。




 四人はグランの背中から降りて、山中の獣道を進む。





「このあたりがエアディドール領の中でも、良質な木材が育っているところ。だが、正直なところ、残念ながら、わたくしは木の良しあしを見分ける目は持ち合わせていないのじゃ。さて、さて。どうしたものか…」





 グルーヴが大木を手で触りながら言う。





「依頼書には、依頼主のブルーノさんから、いくつかの重要な条件が記載されています。それによると、立木の状態で、幹が太く、まっすぐ垂直に伸びているものと書かれています。あと、立っている斜面が北向きだと比較的、高品質の木材の可能性が高いとの事。それに、幹を叩いた時、高く澄んだ音が鳴れば、尚の事、良…だそうです」




「コン、コン、コン」





 アレグリアがファレノプシスの説明を聞いて、槍の柄で、幹をいくつか叩いてみる。





「全く違いが分からないわね」




「なんか根元の樹皮が腐ってない?」




「本当だわ。キノコが生えてる」




「…このキノコ、食べれるかな?」




「食べるんかいっ!!」




「いやいや…冗談よ、冗談。さすがに初めて見るキノコを食べる勇気はないわよ。毒キノコだったら困るし…」





 アレグリアのツッコミに、慌てて答えるウオッカ。少し残念そうな顔。





「これは毒キノコだよ。グランが食べたら、お腹壊すだけだけど…。人間が食べたら、たぶん、血を吐いて即死すると思うよ」




「げっ!?」




「良かったわね、グランがいてくれて。もしグランがいなかったら、ウオッカさん『念のため収穫しておこう!!』とか言って、食事のとき食べそうだもんね!!」




「ア、アレグリア。わ、私はそんな卑しい女じゃないわよ」





 ウオッカは手を後ろに隠し言うが、完全に目が泳いでいる。




 ファレノプシスがウオッカの腕をつかみ、捩じ上げる。





「リ、リーダー!?」




「これはなに?」




 


 手の平からこぼれ落ちるキノコ。





「………面目ない」





 ウオッカはシュンとして、手の平についているキノコの分泌液を見つめる…が『ウオッカ、その液が傷口からでも体内に入ると死んじゃうよ』とグランに指摘される。





「えっ!?ヤバイよ、ヤバイ!!」





 パニくって、手の平を木にこすり付け、分泌液を取ろうとする。





「馬鹿な事をするでないわ!!樹皮で皮膚が傷付いたらおしまいじゃ!!クリーン」





 グルーヴがウオッカの手をつかみ、ペンダントを握り締め、クリーンを発動する。





「あっ!?」





 綺麗になった手の平を見つめ、ホッとするウオッカ。





「あはははっ、ごめん、ごめん」





 笑ってごまかそうとする。





「だいたい、この幹、捻じれてるわね。真っ直ぐには程遠いわ。もっといい素材を、手分けして探しましょう!!」





 すべて無かった事にしようと、真剣な顔をして提案するウオッカ。みんな呆れ顔。





「…まあ、言いたい事は多々ありますが、そうするしかないわね。私とアレグリア。グルーヴとウオッカ。グランは単独で、めぼしい立木を探す事にします」




「OKよ、リーダー!!ハヤトのために、なんとか、いい素材を確保しましょう!!」





 FCLは三方に分かれて、素材となる立木を求め、山中を探し回る。





☆★☆





 探し回る事、三時間くらい。




 アレグリアは一本の立木の前で立ち尽くしている。





「どうした?アレグリア!!」




「………この木」





 上を見上げて立ち尽くしているアレグリアに、声をかけるファレノプシス。




 ちょうど、方々に散らばっていたグルーヴとウオッカ、それにグランも合流する。





「なかなかの存在感ですね」




「そうじゃのう。この山の御神体と言っても、過言では無かろう」





 ファレノプシスとグルーヴも、堂々とそびえたつ立木を見上げながら言う。





「まるで、天へと繋がっているようですね。それにしても、何年たてば、幹がこんなにも太くなるんだろう?相当の年輪を重ねていると思うわ」




「樹齢…何十年、いや…何百年。本当に立派な木じゃな」





 アレグリアとグルーヴが、木に手を添えて、畏敬の念を込めて言った。





「うりゃあぁぁぁ~!!!!!」





 ウオッカが体当たりをぶちかます。





「痛たたたぁぁぁ~。地面にしっかりと根付いていて、ビクともしないわ」




「まったく…でも、今回の依頼、この木で決まりね!!」





 肩を押さえて痛がっているウオッカに苦笑いしながら、ファレノプシスが宣言する。





「やったぁ~!!私が見つけた!!」




「ふふふっ、異議なしじゃ。アレグリア、お手柄じゃのう」




「グルーヴ様!!」





 嬉しそうにグルーヴに抱き着くアレグリア。完全に打ち解けている様子。




 優し気なまなざしでアレグリアを見つめるグルーヴの瞳は、パーティーのメンバーを見つめているというより、娘を見守る母親のようであった。




 


「では…切り倒すとするかのう」




「ねえ、ねえ!!グランがなぎ倒したいの!!思いっきりぶつかれば、勝てるよ!!」





 静かにイカズチを抜こうとするグルーヴに、グランが甘えるように言う。





「ダメよ。これは素材として使うんだから、綺麗な状態で依頼主に渡さないといけないの。グランがなぎ倒したら、いくら立派だと言っても木は木。ボロボロになっちゃうわ」




「あはははっ、グラン、これは勝ち負けじゃないからね」





 ファレノプシスがグランの鼻を指で突つつきながら注意して、アレグリアが笑いながら胸に抱く。





「くう~~~ん、いい相手だと思ったのに」





 グランは残念そうに、アレグリアの胸に顔をうずめる。




 グルーヴが木の前に立ち、アレグリアたちは距離を置いて見守る。




 一度、深呼吸をして、グルーヴは静かに腰を落とす。半身になり、鞘に手をかける。目を閉じ、全神経を集中する。




 森全体に静けさが広がる。




 次の瞬間、グルーヴは『カッ』と目を開き…





「うりゃあああぁぁぁ~~~!!!!!」





 気合と共に、叫び声を上げて、剣を抜く…が、森には静けさが広がったまま。なにも起こった様子はない。





「ふうううぅ~~~」





 グルーヴは静かに息を吐きだし、固唾を呑んで見守っているアレグリアたちの元へと歩いて行く。





『……………』





 いつ倒れてもいいように身構えているアレグリアたち。





「あのうぅ~…グルーヴ様?」




「ふっ、案ずるでないわ。切れておる」





 しばらくしても、なにも起こらないので、ウオッカが心配して声をかける。




 恐る恐る近づくウオッカ。




 人差し指で木をつつく。




 すると…、断面が少しずつ、ズレはじめ、やがて『ズドンッ!!!!!』と、倒れた。





「ヤバイ!!無茶苦茶、綺麗で滑らかな断面。少しでも疑った自分が恥ずかしいです。申し訳ありません」




「構わん。我らの間に上下関係はない。気にするでない」




「ですよねぇ~~~!!さすが、グルーヴちゃん!!」





 一瞬、キョトンとするグルーヴ。





「ふふふっ、グルーヴちゃんか…、子どものときにも、言われた事が無かった。しかし…グルーヴちゃん…か、悪くない。悪くないのう。良いであろう。これからはグルーヴちゃんと呼ぶがよい」




『グルーヴちゃん!!』





 初の依頼を成し遂げ、パーティーとしての一歩を踏み出したFCL。信頼関係と共に、友情とも言える感情が芽生えてきていたのであった。

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