↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

165/203

第164話 信頼関係

「ハヤトよ。父上の命、救ってくれて感謝する。しかし、今は時間が無い。王軍を中心にしたエアディドール討伐軍なるものが編成され、こちらへ進軍を始めたという情報が入っている。礼はその討伐軍を退けてから改めて行う」




「それは本当ですか?」





 いつの間にか、この場にいるシーザリオ。




 シェイディに声をかけ、ニヤリッと笑う。





「シーザリオ…本当だ。さて………王家筆頭魔術師のあなたはどちらに味方する?」




「ふふふっ、王家筆頭魔術師…ですか。そんなもの、今ではなんの価値も感じませんね。先代から『現王の在位中は頼む』と言われていましたが、すでに私の主人はハヤト様です。ハヤト様のお心のままに従いますよ」




「…そうか、それならなにも言う事はない。メサイア姉様も同じですよね?」




「当然です!!」




「ふふふっ、二人が敵にならなくて安心しました。二人を戦力として考えても…」




「待て、シェイディ。今回の戦はお前の初陣。エアディドールの兵や民、そして味方に付いた南方の三家がお前を、シェイディ・ド・エアディドールが運命を託すに相応しい器かという事に注目している。二人を戦力として考えたいのは分かる…が、シーザリオやメサイア、それに………グルーヴが目立つのはエアディドールの将来にとっては不安が残る。シェイディ、自らが主体となって戦うのだ」




「…父上。そうですね、………そうでした!!この戦で俺がエアディドールの頂点に立つに相応しい人間かを証明してみせます!!」




「うむっ、よくぞ申した!!」





 息子の顔を見るシャカール。嬉しそう。





「ふふふっ、少し見ないうちに立派になったのですね。私も…母上も、これで安心してシーザリオ島に向かえそうです」





 柔らかな眼差しで弟を見守るメサイア。頼もしそうな表情。





「ところで…母上はどちらに?今までの母上なら俺が止めても無視して、自らが指揮を取ると先頭に立ちそうなものなのですが…」




「お母様は冒険者として依頼を受け、パーティーを組み、森に素材の調達に向かいました。出発したばかりなので、あと三日は帰ってこないでしょう」




「………本当にここを離れられるつもりなんですね」





 少しだけ寂しげな顔をするシェイディだが、すぐに表情を引き締め『軍議を行う。騎士団長たちは、評定の間に集まれ!!』と、号令を発したのだった。





☆★☆





 俺の部屋にみんなが集まっている。





「戦争か…」





 俺の呟きにアパパネとブエナは不安そうな顔をする。





「大丈夫よ。シーザリオ様やメサイア様、なんと言ってもハヤト君が付いてるんだから、安心しなさい」





 ジュリアが二人を抱きしめる。




 アパパネとブエナも、ジュリアに母親の面影を感じているのだろう。信頼しきった顔になる。





「ふふふっ、まだ開戦するかは分かりませんよ。通常は開戦する前に、なんらかの交渉が行われるはず。おそらくですが、使者が訪れるものだと思われます。その交渉次第で開戦、あるいは和解という線もあり得なくもない」





 シーザリオが冷静に分析する。





「…そうか。俺たちはどうする?一旦、シーザリオ島に渡るのは延期するのか?」




「すでにシェイディとお父様は覚悟を決めている様子。ここは任せて、私たちは予定通り島に渡り、開発を進めましょう。シーザリオ島を押さえてさえいれば海からの脅威は無くなり、戦略的に、それだけで充分な援護になりますからね」




「分かった。メサイアの案を採用しよう。でも…メサイアはそれでいいのか?ここはエアディドールの人間として、戦いたい気持ちもあるだろう?」




「このエアディドールは長い年月をかけて要害化をしています。それに、我がエアディドールは兵馬の鍛錬を怠らず、直近でも謎の敵…まあ、私たちの事なんですが………兵士や領民の士気が高まっています。この状況で負けるのであれば、その後の統治もままなりません。私はシェイディを信頼して、ハヤト様と共に、シーザリオ島に渡る覚悟です。おそらくはお母様もそう言うと思います」





 真っ直ぐに俺を見つめるメサイアの瞳には、一切の迷いがない。




 俺は『ありがとう。後悔はさせない』と言い、メサイアを強く抱きしめた。





「方針は決まった。予定通り、俺たちはシーザリオ島に渡る。FCLが依頼から帰ってくるまでの三日間、準備を進めておいてくれ」




『はい!!』





★☆★





 真夜中、ベットに寝転びながら『自由気ままに、のんびりと暮らすという夢も、なかなか難しいものだな』と、呟く。期待と不安が入り混じり、なかなか寝付けない。起き上がり、窓の外を眺めると、シャカール様の姿が見えた。一度『グルーヴの事で、しっかりと話をしないと…』と、思っていた。




 俺は部屋から出て、シャカール様の元へ…





「おうっ!!ハヤト。どうした?こんな夜中に…」




「一度、グルーヴの事で話をしたいと思っていました」




「ふふふっ、律儀な奴だな………嫌いじゃない。飲むか?」




「頂きます」





 シャカール様は持っていたグラスを傾け、後ろに控えていたメイドに目くばせをする。




 慣れた手つきでグラスに酒を注ぐロリメイド。ウイスキーだろうか?一礼をして俺に差し出す。




 少しだけ口に含ませる…が『うわっ!?強っ!!』と、俺は顔をしかめてしまう。





「わはははっ、強すぎたか!!まだまだ少年だな」




「はははっ、面目ないです。俺にはストレートは強すぎる」





 俺はもう一つグラスを受け取る。




 魔法で氷を作り出してからウイスキーを入れて、さらに魔法で軽くステアする。




 グラスが冷えると、表面に白い霧が現れる。




 マジックバックから炭酸水を取り出して注ぎ足していくと、グラスの中で細かな泡が踊る。




 少し氷を持ち上げ全体に馴染ませてから、最後にもう一度、炭酸水を少し入れて完成。





「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ………美味い!!」





 久しぶりに飲むハイボール。たまらん!!





「凄いな。そんなに簡単に氷を作り出せるのか。………美味そうだな。俺にも一杯作ってくれないか?」




「いいですよ」





 もう一杯ハイボールを作り、シャカール様とグラスを合わせる。




 グルーヴの事でなんとなく後ろめたい気持ちがあったのだが、酒を酌み交わす事で信頼関係を作れたような気がした。





「グルーヴは物心付いた頃には、将来エアディドール家を背負うように教育され、実際、自分の幸せなど求めず、ただひたすらお家のためだけを思って生きてきた。俺との結婚も、ただ後継者を作るというだけの目的だった。実際、俺としても成り上がるチャンスだと思ったのだが、あれだけの女だ。愛情が無かったわけじゃない。しかし、シェイディが生まれ、後継者ができると、俺とグルーヴとの間は急速に離れていった。まあ、それは俺の性癖的には良かったのだが…それは置いといてだ。ハヤト、不器用な女だが…グルーヴをよろしく頼むぞ」




「分かりました」





 俺とシャカール様はもう一度グラスを合わせ、一気に酒を飲み干すのだった。








【姉と弟】




 軍議を終えたシェイディが御殿に帰ってきた。




 メサイアは情報の共有のため、二人をリビングで待ち構えていた。





「父上はどちらに?」




「涼んでくると言い、メイドを連れて中庭に…。おそらく、酒でも飲んでいるのではないでしょうか?」




「そうですか…。公爵はあなた…違いますね。おそらくは…アーキュリーとは決別する事になる。そうすれば、あなたは公爵ではない。独立し王となる。この先、エアディドール家を率いるのはシェイディ、あなたです。ゆえに…」




「姉上!!…ハヤトという男。何者なのでしょうか?あの者が作ったというポーションの効果、尋常ではない。当家にある高級ポーションより、遥かに効能が高い。いえ…高すぎるのです!!」





 メサイアの言葉を遮り、シェイディが言う。





「ふふふっ、自分の地位よりも、ハヤト様の事…気になりますか?」




「当たり前です!!姉上の恋人というのはもちろんですが、あのポーションの事も、それに、にわかには信じがたい事なのですが…」





 シェイディがナナのほうをチラ見してから『母上に勝ったという話を聞きました』と声を荒げた。




 ナナは一礼してから『グルーヴ様はハヤト様に敗れ、死を覚悟されました。しかし…グルーヴ様もまた、ハヤト様のポーションと………『ハヤト様の深い慈愛』によって救われました。私などがグルーヴ様の心情を代弁する事など、出来ようはずもありませんが、おそらくはその事により、グルーヴ様はハヤト様に対して『永遠の愛情』が生まれたものだと推察しております』と言う。




 さらに『グルーヴ様は幼い頃より、心を閉ざし、ご自分の幸せなど顧みず、ただひたすらエアディドール家のためだけを思い、生きてこられました。しかし、ハヤト様の愛情に触れられ、その固く閉ざし、凍りついた心を開かれたのです。幼少の時よりお側に仕えてきた私でもできなかった事を………ハヤト様が…』と、ナナは唇をかみしめて言った。





「………母上」





 シェイディは天を仰ぎ、なんともいえない表情。





「ふふふっ、心配する必要はありませんよ。お母様は今、とても幸せです。あなたも表情を見れば分かる事でしょう。剣が取れ、穏やかになったお母様の表情を見ればね」





 楽しげに話すメサイア。





「しかし…姉上はそれでよろしいのですか?ハヤトは姉上の恋人でしょう?よりによって、母親も同じ男を………」




 


 心配顔のシェイディ。




 メサイアとグルーヴの仲を思いやっている様。





「心配は無用です。ハヤト様は器の大きなお方。いえ、私たちには測れぬほどの器をお持ちでおいでです。先ほど、ハヤト様は何者か?と聞きましたが、ハヤト様は異世界人にして使徒様。マリヤ様によってこの世界に降臨された使徒様なのですよ!!そのハヤト様に私も、お母様もお仕えできる事となったのです。名誉でしかありません」





 嬉々として語り、悦に浸るメサイア。この場にハヤトがいたら頭を抱えていたに違いない。どうやら、リスグラシューの病が移ったようだった。





「異世界人………使徒…様。それなら母上に勝った事も、ポーションも、すべてが納得がいく」




「ふふふっ、エアディドール家にとって益しかありません。あなたもハヤト様とよしみを通じなさい」




「分かりました。エアディドール公爵…いえ、エアディドール王として、ハヤト…兄さんとは友好関係を築いていきます」




「ふふふっ、よろしい」





 シェイディと話を終えたメサイアは満足し、自室へと戻っていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。