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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第160話 バトルメイド・グルーヴ

「あっ、ハヤトに聞きたい事があったんだった。楽器屋さんから素材調達のための指名依頼を受けたんだけど…心当たりはある?」




「俺が推薦した。実はその素材、俺が発注した楽器を作るための物なんだよ」




「えっ!?ハヤトが発注した楽器?どういう事。詳しく教えて!!」




「実はピアノって言う楽器なんだけど、知らないだろう?この世界には存在しない楽器なんだ。そのピアノを誰よりもうまく弾ける才能が俺にはある。だから、いろいろ説明して発注したら、素材が必要って事になったんだよ。でもな、その楽器屋の人、過去に冒険者に依頼して痛い目に合ったって言ってたから、だったらFCLに依頼してみたらって言ったんだ。受けてくれた?」




「当然よ!!明日には出発するから。案外近場なんだけど、三日は留守にするからお願いね」




「あぁ、頼む」





 気合が入ったアレグリアの目つきが鋭くなる。





「じゃあ、私たちは依頼の計画の話し合いがあるから、着替えを済ませたら私の部屋に集合!!グランも来るのよ」




「は~い!!ウキウキするね!!」





 尻尾をフリフリして喜ぶグランが可愛い。





「今回の依頼から、わたくしもFCLのメンバーとして参加する。よろしく頼むぞ」




『本当ですかっ!?グルーヴ様の加入、心強いです!!………フォーカラーレディース改め、正式にファイブカラーレディースの誕生…ですね!!』





 アレグリアとウオッカは喜びの表情を浮かべるが、若干、ファレノプシスに戸惑いの表情が見て取れる。





「あ、あのう~………やっぱり、リーダーはグルーヴ様が務められたほうがよろしいのではないかと思います。なんというか、私がグルーヴ様に指示を出すのも気が引けますので…お願いできませんか?」




「ふふふっ、断る!!ファレノプシスよ、安心せい!!意見はするが、最終的にはリーダーの指示には従う。依頼の最中は皆、グルーヴと呼び捨てにするがよい!!」




『えっ、えええぇぇ~~~!?そ、そんな無茶な!!』




「なにが無茶なものか!!敵と対峙している時に、悠長にグルーヴ様なんて言ってられないであろう。戦場では皆が呼び捨てであった。構わん!!それに………わたくしは普段、ハヤト様専属のメイドとして働くつもりなので、すべての依頼に帯同するわけではないのでな。リーダーには、なれぬのである」




『ハヤト様の専属メイド!?グ、グルーヴ様が!?』





 全員が目を見開き驚いているが、ナナがのけぞったまま固まってしまった。





「メイド兼、護衛という役回りじゃ!!ふふふっ、所謂、バトルメイドというやつじゃな」




「俺に護衛は必要か?」




「当然でございます。人は集中すると、周りの事が見えなくなる場合があります。万が一の事に備える。それも人の上に立つ者の責務です」




「そっか…グルーヴが言うならそうなんだろう。頼んだ」




「ふふふっ、お任せください。ハヤト様に近づく輩は、ことごとく首を跳ねてご覧に入れます」





 ここでようやくナナが正気を取り戻す。





「グルーヴ様は護衛に集中され、雑務はナナにお任せください。私がグルーヴ様とハヤト様の身の回りのお世話を致します」




「ナナ、よく聞いておきなさい。わたくしはエアディドールの名を捨てるのです。今まで通りにはいきません。そしてエアディドール家が落ちぶれてメイドに身を落とすわけではない。自ら進んで、愛する人のために尽くしたいと思っているのじゃ」




「し、しかし…」




「もはや、わたくしとナナとの間には『主従の関係は無い』と言っても過言ではない。自分の事は自分で行う」




「な、な、なんと仰せになられるのですか!?このナナは、もう必要のない人間だと………」





 呆然自失。ナナは言葉を無くし立ち尽くす。





「それは違いますよ。物心ついた時から、ナナはわたくしの傍にいてくれました。それはこれからも変わりません。ただ、関係性が変わると言っているのです。主従関係ではなく………友人。違いますね。………親友として傍にいて欲しいのです」





 優しく諭すように言うグルーヴだが、少し恥ずかしそうにする仕草が可愛い。





「し、親友!?私とグルーヴ様が親友!?あわわわっ!?!?!?」





 パニくるナナ。それはそれで、ある意味、愛らしい。





「まあ、それはシェイディが帰って来て、わたくしがエアディドール領を出てからの事、それまでは今まで通りじゃ。良いな?」




「は、はい?」




「なぜ、疑問形なのじゃ?」




「あの…私にグルーヴ様の友人が勤まりますかどうか…っと言うより、なんと言うのか………私はグルーヴ様に仕える事が生き甲斐でしたので…」




「考え方を変えるのじゃ。わたくしがメイドとして足らぬところがあったら、遠慮なく叱ってくれて構わぬよ」




「私がグルーヴ様を叱る!?」




「そうじゃ!!剣と同様、メイド道を極めたいのじゃ。厳しくしてくれて構わぬ!!」





 一瞬、ほんの一瞬だけ『グルーヴを叱る』と言った時、ナナの口元が緩んだのを、見逃さなかった。俺は『ナナの奴、絶対、ふしだらな事を考えたに違いない』と思ったのだが、そこは見て見ぬふりをする。




 しかし『こじらせた熟女は厄介だな…』と、苦笑いが止まらない。




 ナナがなにを考えたか鑑定してやろうかとも思ったが、妄想する事は自由。実際に行動に移さなければ問題ない…という事で、不問としたのであった。





★☆★





 その後、シーザリオとメサイアから島へ渡る準備等の報告を受ける。エアディドール家所有の大型船を借りて、食料などを積み込む作業の後に出航の予定。その準備に三日はかかるそうなので、FCLが依頼をこなして帰って来てから出航するという事に決まった。ただ、その間にシェイディが王都から帰還するかは未知数なので、そうなった場合は俺たちだけ先に島へ渡り、グルーヴとナナは後から合流するという事にした。





「予定は決まった。今日はもう寝よう」




「では、ハヤト様。お待ちしております」





 グルーヴが妖艶な笑みを浮かべて部屋を出て行く。




 みんなの視線が痛い。




 俺は必死に首を振り『冤罪だ!!』と弁明するのであった。








【王都にて…⑦】




「全滅………精鋭700人が全滅じゃとっ!?」




「い、いえ…全滅ではありません。生き残った者もおります。………3名ですが…」




「全滅と変わらぬだろうが!!」





 アーキュリー王、セオドリック・ド・アーキュリーは、命からがら帰還した兵士を蹴り飛ばした。





「シャカールがいるとはいえ、たかが数十人。その中には子供も含まれるという話ではなかったか!!」




「申し訳ありません。シャカールをを追い詰め、とどめを刺そうとした所、息子のシェイディが現れ………我らの部隊は血の海に沈められました。昔、戦場でグルーヴの姿を見た事がございます。その姿はまるで、グルーヴが乗り移ったような絶望的な強さでありました」




「グルーヴ…グルーヴ!!今すぐ全軍をエアディドールに差し向けよ!!グルーヴだけ生け捕りにして、残りの者は皆殺しじゃ!!」





 怒りと欲望に支配されたセオドリック。




 頭の中は、自らグルーヴを凌辱する事以外はなく、賢王と称えられた面影はどこにも見当たらなくなっているのであった。




 静まり返る王の間。




 扉が開く。





「親愛なる賢王、セオドリック様。聞けば、エアディドール以外の南方の三家。ヴァレンシュタイン家、ベルフォール家、それにアスター家が王都の屋敷を引き払い、帰還したという話。我が国随一の武闘派のエアディドールにその三家が加われば脅威。国を二分しての戦は、リスクが高かろうと愚考いたします。仮に勝ったといたしましても、アーキュリーも深手を負う。それに加え…今しがた、国境線を守る部隊から周辺国が国境沿いに兵を増強していると、緊急の連絡があったと聞きました。アーキュリーがエアディドールと戦い傷を追えば、一気に国内になだれ込む事は必定」




「周辺の国とは同盟を結んでおる!!」




「…それは国が一枚岩なればのお話。内紛が起これば、周辺国は虎視眈々と我が国の領土をかすめ取ろうと軍事行動を起こすと思われます。残念ながら、深手を追えば好機とばかりに、一気に攻め込んでくる事でしょう」




「ならば!!エアディドールと周辺国、すべての国と戦争をするまでじゃ!!」




「はあぁ………」





 変わり果てた王に、ため息を付く美熟熟女。





「この聖女アゼリに、一刻の猶予を頂きたい。エアディドールに向かい、矛を収めるように交渉してまいります。もし許されないのであれば…私は………この国を去ります!!」




「!?」




「ぐぬぬぬっ、本気であるか!?」




「もちろん本気でございます。聖女が国を去る。この意味をお考え下さい」





 充血した目を見開き、歯ぎしりをするセオドリック。




 剣に手を掛ける。




 アゼリは涼やかな瞳で、変わり果てた王を見つめていた。





「………よかろう。ただし、和平の条件はグルーヴを連れてくるのじゃ。それ以外は認めん!!」




「ふふふっ、分かりました。必ずやグルーヴちゃんを連れて参ります」




「失敗は許さんぞ!!」




「…もし、失敗をしたのならば、代わりに、この身をセオドリック様に捧げます。この聖女アゼリの体を好きな様に弄ぶがよろしかろう」




「………それは…断る」




「うふふふっ、セオドリック様は恥ずかしがり屋さんなのね。では、行って参ります」





 嫌悪感丸出しのセオドリックに笑みを投げつけ、アゼリは颯爽と王の間から出て行き、エアディドールへと向かうのであった。

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