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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第146話 和解

「二杯目の母娘丼…」




「親子丼ですか?お望みなら、お城の厨房を借りてお作りしますが?」





 不用意な呟きをリスグラシューに聞かれてしまう…が、幸いな事に意味を取り違えてくれたようだ。





「い、いや!!…今はいい!!。今は…」





 前にもこんなやりとりがあったなと思い出しながら、大焦りで否定する。




 その時、忙しそうにナナが動き回っている姿が見える。





「ナナ、シェイディの姿が見えませんが、どこに?」




「王都の屋敷に賊が押し入ったという報告があり、真偽を確かめるためにシェイディ様は急遽、王都の屋敷へと向かわれました。にわかには信じられませんが、戦闘力測定人形を壊してしまうような強力な賊が屋敷に侵入したと大騒ぎになっています。まあ…グルーヴ様だけは『この城に押し入ってくればいいものを』と、おっしゃってはいますが…」





 ナナはメサイアに向かってそう言うと、また忙しそうに仕事に戻る。





『……………』





 俺たちは無言になり下を向く。





「シェイディ君って、メサイアの弟で跡取りだよな。なんか悪い事をしちゃったね…」




「ま、まあ…いい勉強になるでしょう。決して捕まらない賊ですけど…」




「シェイディ君ってどんな子なの?」




「弟は今、13歳です。少し早いですが、お母様の決断で今年元服しました。お母様からは『剣の腕前は未熟なれど、頭は切れる』との評価です」




「13歳で大人の仲間入りか…」





 俺は自分が前世で13歳の時の事を思い出そうとするが、なぜだか思い出せない。




 そんな事はもうどうでもいい。





「グルーヴ様から頭が切れると言われるくらいだから、相当優秀なのでは?」




「そうだと思います。私はずっと王都にいますから会う機会は限られていますが、エアディドール家の将来は安泰との評価です」




「どんな性格?ゴリゴリの貴族至上主義だと面倒なんだけど…」




「お父様に似て、気さくな性格をしていると思います。ただ………」




「ただ?」




「お母様に厳しく育てられ、ボヤキ癖があるかも。子供の時、私と剣の稽古をしていても、なにかと言えばボヤいていた印象が残っています」




「13歳でボヤキ癖っていうのも、なかなか苦労してそうだね」




「まあ…そうですね。それに、女性ばかりに囲まれて育ったせいなのか、男の兄弟が欲しかったと言っていました。ハヤト様が頼れる存在だと分かれば、上手く付き合っていけるのではないでしょうか」




「…だといいんだけどね。こればかりは実際に合ってみないと、なんともいえないかな。性格の相性もあるしね」





 俺は義弟になるであろうシェイディの事を思い、上手くやっていければと願うのだった。





★☆★





 晩餐会が行われる部屋に移動する。




 テーブルにはすでに豪華な料理が並べられていた。




 なぜか俺が真ん中で、両脇にグルーブ様とメサイアが座るという配置になっていた。




 俺は『ウオッカがつまみ食いをしないか』と心配をする。案の定、ウオッカは半笑いで指を咥えて、だらしない顔をさらしていた。




 リスグラシューに『ウオッカがつまみ食いをしそうになったら止めてくれ』と目配せで合図を送る。




 目立たないようにそっと親指を立て『心得ております』という顔をするリスグラシュー。できる女すぎると感心する。




 俺たちが席に着きしばらくすると、高貴なオーラと深紅のドレスを身にまとったグルーヴ様が現れる。





『……………』





 圧倒的な存在感と美しさに俺たちは言葉が出てこず、ただただ見惚れてしまう。





「どうしたのじゃ、ハヤト。そんな腑抜けた顔をして…あなたのポーションのおかげで腕は治った。ありがとう。礼を言うぞ。それに…この肌を見よ!!この真っ白で瑞々しい若返った美肌を!!」





 グルーヴ様は大胆なデザインで強調された胸の谷間を見せつける。




 さらに…





「この指…白魚のようであろう。なんと美しい指であろうか。頬のたるみもなくなり、シミやそばかすも消えた。ふふふっ、十代の肌とは言い過ぎかもしれぬが、二十代には見えるのではないか?どうじゃ、ハヤト!!」





 悦に浸るグルーヴ様は、うっとりした表情で俺に言う。





「大変結構なお胸で…いやいやいや。大変お美しいと思います。メサイアと並べば姉妹と間違えられるかもしれません」




「ふふふっ、そうであろう?正直者なのだな、ハヤトは!!」





 さらに悦に浸るグルーヴ様。




 俺に負けた事は、すでに気にしていないように見える。超ご機嫌だ。




 メサイアが立ち上がり、改めてみんなをグルーヴ様に紹介する。





「うむっ、皆とは家族同然じゃ。これからは気楽にグルーヴと呼ぶがよいぞ。道中、粗末な食事しかとれなかったであろう。遠慮などせずとも好い。まずは公爵家の食事を堪能するがいい」




「ありがとうございます、グルーヴ様」




「……………」





 俺が代表してお礼を言うと、なぜか不機嫌になるグルーヴ様。




 口を尖らせそっぽを向く。ちょっと可愛い。




 そして…





「………グルーヴで…よい」





 顔を赤らめながら呟く。





「…グルーヴ…さん?」





 恐る恐る呼ぶも、グルーヴ様はご機嫌斜めのよう。





 俺は思い切って『グルーヴ、これからよろしく!!いろいろと頼み事をすると思うが、みんなと仲良くしてくれ!!』と言う。





「ふふふっ、こちらこそよろしくお願いします。ハ・ヤ・ト・様!!」





 グルーヴは俺に向かって、大きく頭を下げるのであった。








【シェイディ視点】




 王都へ向けて馬を疾走させる。





「エアディドール家の危機である。休まず走るのだ!!」





 供を従え、昼夜を問わず、ただひたすらに手綱をしごく。




 元服から半年。




 初めて母のグルーヴから下された命令。




 王都の屋敷へ賊が押し入ったと知らせを受けて、現状を確認するという役割なのだが、僕は死を覚悟している。




 相手は戦闘力測定人形を破壊するほどの手練れ。




 もし、エアディドール家の人間に危害を加える事が目的ならば、この移動中にも襲撃を受ける可能性は否定できない。




 襲撃を受ければ…確実な死。




 ぼやきたい気持ちを押し殺し、供を鼓舞して王都への道を進む。





「敵襲よ!!」





 供の者が大声で叫ぶと、左右の茂みから十数人の賊が現れた。





「アニー、下がってろ!!」




「そうはいきません。若を先に死なす事は恥辱。かなわぬ相手とて、全力で若をお守りいたします!!どうか…私を囮にして王都へ!!」




「そ、そんな事ができるか!!お前を失ったら僕は………来るぞ!!」





 アニーは幼い時から母、グルーヴの元で共に修行してきた年上の女性。僕にとっては部下であり、友であり………初恋の女性で守るべき存在。妻にするならアニーしかいないと心に決めている大切な女性。





「へへへっ、男は殺せ!!女は犯せ!!」





 涎を垂らさんばかりの下品な顔をさらし、賊が剣を振るう…が、アニーが次々と首を跳ねていく。





「若っ!!こいつら弱いですよ!!」




「そのようだな。エアディドールを敵に回すほどの強さも度胸も感じられない。ならば…皆殺しにして、先に進むぞ!!」




「承知!!」





 アッという間に賊を蹴散らす。





「なにが犯すだ!!僕の大切なアニーに指一本でも触れさせはしない!!」




「………若」





 僕とアニーは顔を見合わすが、すぐに真っ赤になり下を向く。





「こ、今回の賊は弱かったが、エアディドールを狙う賊は強敵。決して油断するな」




「承知!!このアニー、命に代えても若、あなたをお守りします!!」




「………それは僕が言いたいセリフなんだけど…」





 僕のボヤキが聞こえたのか、優しく包み込むような微笑みを見せるアニー。





「ほらほら、ぼんやりしないで!!早く王都へ向かいましょう」




「そ、そうだな。行くぞ!!」





 僕とアニーは再び馬にまたがり、王都への道を疾走するのであった。

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