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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第139話 破壊…隠ぺい…そして逃亡計画

「メサイア様、お屋敷の厨房を見学するわけにはいかないでしょうか?」




「あっ、私も見て見たいです!!」





 リスグラシューとアパパネがメサイアに頼み込む。





「構いませんよ。ハヤト様もいかがですか?」




「俺はいいよ。料理の才能ないからね!!」





 メサイアがリスグラシューとアパパネ、そしてジュリアを連れて部屋から出て行く。





「あぁ…ハヤトとシャカール様が戦うところ見たかったなぁ~」




「やめてくれよ。最悪、戦うつもりではいたけど、俺はなるべく戦いたくはないんだから…」




「でも…絶対、おもしろい戦いになると思うのに…SSSランクの風魔法、見たかった!!」




「無理、無理、無理!!まだ一回も使った事ないんだから、実戦では使えないよ。無理だから!!」





 俺は戦いをけしかけてくるアレグリアに言う。





「確かに一回も使った事が無いとなると、実戦で使いずらいという事は理解できます。どうでしょう?屋敷の修練場で風魔法、試してみませんか?」




「えっ!?やめとこうよ。メサイアもいない事だし…」




「大丈夫ですよ!!私はメサイアと知り合った幼い時からこの屋敷に出入りしていますし、修練場も利用しています。最近はメサイアがいないときにも、勝手に利用させてもらっているくらいですからね!!」




「…マジかよ。どうする?」





 シーザリオの提案を受け、FCLに聞く。





「早く行くわよ!!」





 アレグリアがドアを開け出て行く。




 当たり前のようにファレノプシスとグランを抱きかかえたウオッカが後に続く。





「うふふふっ、FCLはやる気のようですよ?」




「…ヤレヤレだな」





 シーザリオと共に俺も重い腰を上げ、苦笑いを浮かべながら部屋から出て行くのであった。





 ※※※





 誰もいない修練場に三体の人形がある。





「これは?」




「戦闘力測定人形です。この人形に向かって攻撃をする事により、自身の戦闘力が表示されます。かなりお高い魔道具ですよ」




「…ふ~ん」





 俺は全く興味がなく、軽く人形の胸を叩く。





「アレグリア、突いてみせなさい」




「いいんですか!?」




「壊れるものではありませんので、問題はありませんよ。思いっきり突いて見せなさい!!」




「よ~し!!」





 シーザリオの言葉を受け、アレグリアが槍を構える。




 腰を落とし、人形に向かってすり足で『ジリジリッ』と間を詰めていく。





「やあぁぁぁ~!!」





 喉元を突き上げるように、アレグリアは渾身の一撃を放つと、71という数字が表示された。





「71!?…この魔道具、百点満点なんですよね?また、微妙な数字。どうなんですか、シーザリオ様?」




「70越えはかなり優秀ですよ。決して恥ずかしがる数字じゃないわ」




「良かった!!」





 シーザリオの言葉を聞いて満足そうなアレグリア。ドヤ顔でウオッカを見る。




 ちょっとムッとするウオッカ。グランを下ろし、そのまま人形に突進し、体当たりをぶちかました。





「………61…か」




「まあまあ、気を落とさずにね!!盾役のウオッカさんが61は凄いんじゃないの?知らないけど!!」





 勝ち誇った顔のアレグリアがウオッカの肩を叩きながら言う。





「くっ!?ヒッププレスなら、もう少し高い数字が出るかも…」




「これはあくまで攻撃力を測る魔道具。もし防御力を測る魔道具があれば、間違いなくあなたが一番でしょう」




「う~ん、そうか~~~」





 シーザリオに言われ、ウオッカは少し苦い顔をしながらも納得する。





「では…うりゃあぁぁぁ~~~!!!!!」





 ファレノプシスが人形の胴体を薙ぎ払う。





『81!!やっぱり、リーダーは凄い!!』





 思わずアレグリアとウオッカが称賛の声を上げる。




 ふたりに称えられ、満足そうなファレノプシス。




 だが…





「81はかなりの数字ですよ、ファレノプシス。ちなみに、私は90越えを叩き出した事がありますけどね!!」




「90越え!?」





 シーザリオの一言に驚きの表情が隠せない。





「…渾身の一撃だと思ったのに。シーザリオ様は90越えかぁ………」





 もう一度、槍を構えるファレノプシス。





「ふふふっ、これも修練。三体あるので、気のすむまでやりなさい」




『はい!!』





 アレグリアとファレノプシス、そしてウオッカが、三体の戦闘力測定人形に向かって、一心不乱に攻撃をするのであった。





★☆★





 三人が戦闘力測定人形に向かって攻撃を繰り出している。表示される戦闘力は、ほぼほぼ俺が鑑定した値と合致している。





「この魔道具、かなり正確な戦闘力が測定できるんだね。俺の鑑定した戦闘力とほぼほぼ同じだ」




「そうなんですね。体感でもある程度、信頼性はあると思っていましたが、ハヤト様がそう言うのなら値段相応の性能はあるようですね。相当お高い魔道具ですから良かったです」




「でも、俺が鑑定した時の数字より、若干高めに表示されている気がする」




「ふふふっ、それは日々の修練により、三人が成長しているという事だと思いますよ」




「そうか!!みんな頑張っているから、ちゃんと成果が出ているのはいいね」




「そこまでっ!!」





 シーザリオが一心不乱で攻撃を放つ三人を止める。





「あなたたちの日々の研鑽、称賛に値します。素晴らしい成長のスピードです。早く私の領域に近づいて来るのを期待せずにはいられません。特別に私の90越えの攻撃をお見せしましょう。この世界の頂点の攻撃力を…ね!!」





 戦闘力測定人形に向かって手をかざすシーザリオ。




 魔力が手の平に集中していく。




 魔力が圧縮される。




 …さらに圧縮されている。





(なんか、ヤべー雰囲気…)





 俺が『シーザリオ、手加減をしたほうが…』と言いかけた瞬間、シーザリオの手から水魔法が放たれた。




 魔力を極限まで圧縮した水の弾丸が連射された。




 一瞬で100発は放たれたのではないだろうか?




 凄まじい爆音が修練場にこだました。




 霧状に散布された水や埃で、周りの視界が悪くなる。





「…凄い。これが魔術師シーザリオ様の90越えの攻撃力」





 アレグリアが呆然と立ち尽くしながら呟いた。




 霧が晴れ、埃が消えると、そこには無残に破壊された戦闘力測定人形の残骸が転がっていた。





「あっ………あれっ?」





 シーザリオが蒼ざめている。





『凄いです!!シーザリオ様!!これが90越えの攻撃力。人形が原型を留めてませんよ!!』





 落ち着きを取り戻したアレグリアとファレノプシス、そしてウオッカが称賛の声を上げる。





「えっ…えぇ~とっ………これは…」





 言葉が出てこないシーザリオの目が泳いでいる。




 シーザリオに触発されて、俺も風魔法を試してみる。




 指先に魔力を集中して圧縮していく。以前より慣れたせいか、簡単に魔力を扱えるようになっている。




 戦闘力測定人形に向かって手刀を振りかざす。




 頭の中では一刀両断するイメージを作っている…が、残念ながらなにも起こらなかった。





「う~ん…まだまだだな」




「まあ、初めから上手くは行かないわよ!!」





 アレグリアが慰めてくれる。




 しかし、その時…少しずつ人形がズレ始め、頭から股にかけて、真っ二つに切断された。




 


『……………』





 音を立てて崩れ落ちる人形を見て、誰も言葉を発せない。




 だが…





『グランもできるよ!!』





 そう言って、グランが元の大きさに戻り、残り一体の人形に向かって突進していく。




 グランの体当たりを受け、人形は凍り付き吹っ飛ばされた。




 壁に激突して粉々に破壊される人形を見て、グランが『褒めてよ!!』と言わんばかりに駆け寄ってきた。




 俺はデカグランを受け止める…が…





「どうするんだ、シーザリオ。お高い人形が粉々だ。しかも…三体全部だ」





 グランを撫でながら小声で言う。




 『ハッ』と気を取り戻すシーザリオ。





「幸いにも誰も見ていません。公爵家の兵士も今日は遊びに行っていて、今頃は女を抱き、酒に溺れている事でしょう。たぶん、明日の昼までは誰も修練所に来ない。逃げましょう!!予定を変更して、明日の早朝、王都を出発してエアディドールへ向かう事にします」




『えええぇぇぇ~~~!?マジでっ!!逃げるの!?』





 俺たちは慌てて修練所から出て応接室に戻った。





「王都の料理やサービスを学んでベガに取り入れるって話はどうするんだよ?そのためにジュリアやリスグラシュー、それにアパパネまで王都に連れて来たんだろう。それに、ブロディさんからミスリル鉱石を買ってきてくれと頼まれているんだ」




「…王都もエアディドールもそう変わりません。港があり、貿易が盛んなエアディドールのほうが発展している部分もあります。それにサービスという点なら、グルーヴ様がおられるエアディドールの城のほうが、断然質が高いんですよ。それに、一見様のハヤト様にミスリル鉱石など売ってくれる鉱石問屋などありません。諦めてください。私は晩餐会までに報告を済ませて帰ってきますので…失礼します」





 慌ただしく部屋から出て行くシーザリオ。




 部屋に残された俺たちは、修練場の惨状を思い出し、気が気ではない。




 ここで天井裏から一匹の黒猫が舞い降りてきたかと思ったら、クルっと一回転をして黒影猫族の姿に戻るリバティが現れた。




 リバティは万が一のために、天井裏に潜んで情報収集をしたり、様子を窺うように指示をしていた。





「ハヤト様、ご安心ください。私が賊の襲撃があったように、修練場に細工をしておきました」




「本当かっ!?」




「はっ!!」





 リバティは頭を下げ、言葉少なに黒猫の姿に戻り、天井裏に戻っていく。




 俺たちは顔を見合わせ『ヤレヤレ』という感じでソファーに腰掛けるのだった。








【リスグラシュー視点】




(さすがはエアディドール家のお屋敷。厨房は充分なスペースが確保されていて、調理器具もそろっている。スタッフの動きも洗練されていて無駄がない。あと目を引くのが、見た事もない魔道具。…ちょっと、用途が分からないわね)





 私は将来ハヤト様が築くであろう、まだ見ぬ『ハヤト城』を想像する。





(ふふふっ、ハヤト城の厨房にも最新の魔道具を置いて、ハヤト様に最高の料理を提供しなければ…)





 そんな事を考えていると…





「アングラード家の厨房と比べてどうですか?」





 メサイア様が聞いてきた。





「侯爵家にいた時には、厨房に出入りした事は一度もありませんでした。正直、気にも留めた事が無かったです。今思うと、無為な日々を過ごしてきたなと悔やまれてなりません」




「無為な日々ですか…そうですね。私ももっと早くハヤト様と出会えていたらと思う事はあります。ですが…今、この歳に出会えた事に意味があるのだと思うようにしています。実際、ハヤト様はこの世界にいなかったのですから…」




「出会えた事に意味がある。本当にそう思います。すべてが必然にして運命」




「リスグラシュー、時間はあります。厨房の魔道具を使い倒して学んでいきなさい。あなたが屋敷に滞在する間、自由に厨房を使用する事を許可します。あなたの才能なら、すぐに我がエアディドール家の料理人を超える事ができるでしょう」




「ありがとうございます!!いろいろと学んで、ハヤト城が完成するまでには、最高の料理人になっていたいと思います」




「ハヤト城!?」




「はい。シーザリオ島にハヤト様の城を作れないかと思案しています」




「なるほど…大規模な開発が必要ですが、大賛成です!!実は私…城の設計に興味があり、いろいろと勉強していたのです。私に城の設計を任せてください!!」




「メサイア様が…分かりました。メサイア様とシーザリオ様と私で、ハヤト城の築城計画を進めていく事と致しましょう」




「ハヤト城築城ですか…胸が高鳴りますね!!」




「では…メサイア様。私からの注文です。ハヤト城の厨房はここの厨房の3倍の広さにしてください」




「3倍!?」




「はい。これからハヤト様の家臣を見つけていかなければなりません。クロカゲだけでは明らかに足りない。一般の兵士も必要でしょう。城に何千人もの人間が常駐する事を考えると、広い厨房でなければ対応できません」




「な、何千人!?…ふふっ、ふふふっ!!大きくでましたね、リスグラシュー!!」




「はい。ハヤト様にふさわしい、立派なお城を築城致しましょう!!」





 メサイア様と手を握り合う。




 ジュリアさんとアパパネが不思議そうな顔で私たちを見ている。




 こうして、メサイア様がお城の設計をする事により、私のハヤト様覇王化計画がまた一歩、動き始めたのでした。

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