第135話 自分の鑑定結果…
お茶で口直しをしているリスグラシュー。
「た、たぶん、異世界人と味覚が違うんだよ」
「そうでしょうか?私の作る料理をハヤト様は美味しいと言ってくださいます。味覚の問題ではないと思うのですが…」
焦る俺の言葉にリスグラシューは納得をしない。
「私が食べてあげる!!」
ウオッカが嬉々としてパスタを豪快に口に含んだ。
「ふふふっ、ウオッカなら、多少不味くても喜んで食べてくれるだろう…」
「……………」
微動だにしなくなったウオッカ。
無言で立ち尽くす。
そして、表情を無くしたウオッカはそのまま皿を置き『ごちそうさまでした』と呟いた。
「ウオッカさんが食べ物を残した!!」
アレグリアが驚愕する。
俺も思わぬ事態にうろたえる。
「まさか、ウオッカさんが残すなんて、これは相当不味いのでは…」
ファレノプシスが眉間にしわを寄せた。
「馬鹿を言うな!!み、味覚が違うだけだって!!この世界の人間には、俺の繊細な味付けが分からないだけだ」
俺は自らが魔法で作り出したミートパスタを、勢いよくかき込んだ。
「!?」
俺はウオッカと同様に、無言になり皿を置く。
そして…
「………クソ不味いな」
そう呟くと、その場に膝から崩れ落ちていく。
「な、なぜだ…なぜなんだ」
俺は見た目だけは美味しそうなパスタを見つめながら何度も呟いた。
「ハヤト様、味はともかく、無からなにかを作り出すという事は成功したのです。これは大変な事ですよ!!」
「シーザリオ、優しいな。ありがとう」
俺はシーザリオの手を取り立ち上がる。
「私が思うに、ハヤト様には『料理の才能がまるで無いだけ』という可能性が高いと思われます」
「俺に料理の才能が…無い。確かにそうかもしれない!!」
「かもしれない?ハヤト様、当然、ご自分の能力を鑑定せれていますよね?」
「いや、していないよ」
メサイアの言葉に何気なく答える。
『自分自身を鑑定してない!?』
俺の言葉を聞いて、この場にいる全員が大きな声を上げる。
「どうして自分の能力を鑑定してないのよ。自分自身の鑑定はできないって事?」
「いや、別にできると思う。なんと言おうか…俺は人を助けるために鑑定をしていただけなんでね!!」
キリっとした顔をして、俺はアレグリアに言った。
「まあ、分からないではないんだけど…鑑定、してみたら?」
「そうだな。してみるか。でも、アレグリア。どうしてそんなウキウキした顔をしてるんだ?」
「それはハヤトの能力に興味があるからじゃない!!私の予想だと火魔法はSSSランクだと思うわ」
「そうかな?俺は特に火魔法が得意という感覚はないんだが…。ただなんとなく、シーザリオが水なら俺は火かなっと思って使っただけだからね。ちょっと待っててくれ」
俺は自分自身の鑑定を始める。
ハヤト 男 16歳 身長178㎝ 体重67㎏ 童貞 マリアの加護
属性 火・風・氷・水・月・雷
戦闘 097 防御 100 精力 098
政治 017 魔法 100 芸術 086
料理 001 生産 084 想像 091
商業 023 建築 071 魅力 096
装飾 073 創造 087 信用 088
採掘 007 音楽 094 研究 087
付与 093 裁縫 071 忍耐 088 ………
いつもの様に、これはほんの一部だ。まだまだ鑑定した情報はあるのだが…キリがない。
(………童貞って。良かった。誰にも見られなくて。いやいやいや、今はそこじゃない)
俺は美女たちに囲まれながら『ホッ』とする。
戦闘を選択する。
戦闘 099
剣術C 槍術D 刀術SSS 斧術D 棒術D 弓術S…
魔法を選択する。
火C 風SSS 氷S 水A 月SS 雷S 土D 光B…
(風がSSS!!火は…Cか。大した事ない…が、しかし!!俺、もはや人外だろう。シーザリオと同じく魔人で間違いないな)
俺は自分自身の能力に驚愕する。
(火とか風、氷や水は分かるが、月って何だろう?)
俺は月を選択する。
(月明かりの下で能力が倍増する…か。って、この能力から倍増するのか!?俺、もう…無敵じゃないか!!これがマリア様の加護の力、やり過ぎじゃあないだろうか…。それにしても。精力98から倍増したら、俺の夜のお勤めが大変な事に…いや、待てよ。みんなを満足させるのは大切な能力ともいえる)
俺は思わず、乱れに乱れた狂乱の宴を想像して、自分自身の能力にあきれはてる。
俺が自分の能力に呆れていると『ハヤトの能力、教えてよ。ムッチャ興味ある!!』と、アレグリアが興味津々という顔で聞いてきた。
みんなに取り囲まれる。
(『教えてよ』って言われてもなぁ…。もはや『自分はバケモノです』っていう能力だから、言いたくないよ。それに、精力絶倫なんて言ったら、ドン引きされないだろうか?不安だ。俺はのんびり暮らしたいだけだし…)
俺はみんなの顔を見渡す。
「まあ、落ち着いてくれ。とりあえず、料理の才能はなかった。正直、アレグリアとジュリアより低い。っていうか、ここにいる誰よりも料理の才能はなかったよ」
「…そうなんですか?あんなに焼き魚が美味しく焼けるのに…」
「…あれは塩をふって焼いているだけだから料理とはいえないよ」
「まあ、確かに…」
「料理で大事なのは味付け。俺が作り出したミートパスタは見た目だけで味がない。だからクソ不味い!!」
「そんなに自信満々に言わなくても…」
「あはははっ、事実だから仕方が無い。リスグラシュー、俺は今後一切料理は作らないぞ!!すべて任せる!!」
俺は自虐的に笑い、宣言をしたのであった。
【アレグリア視点】
「ウオッカさんが…ウオッカさんが………料理を残した!?」
ハヤトが魔法で作り出したパスタの皿をそっと置くウオッカさんを見て、私は驚愕の声を上げてしまった。
悲しそうな顔をして残りのパスタを見つめるウオッカさんがやけに切ない。
「そ、そんなに不味いわけが無いだろう!!」
パスタをかき込むハヤトはピクリッとも動かず、しばらく静止した後、膝から崩れ落ちた。
シーザリオ様が言うには、ハヤトには料理の才能が無いのではという事。
(ハヤトは自分の能力を鑑定してないのかしら…)
私は疑問に思う。
当然、みんなも疑問に思ったらしい。
メサイア様がハヤトに自分の事を鑑定していないのかと聞く。
(………やっぱり、なんで自分の事を鑑定していないのよ!!)
キリっとした顔をして『鑑定はしていない!!』と言うハヤトに呆れる私。『鑑定してみたら?』と提案する。
「私の予想だと火魔法はSSSランクだと思うわ」
「俺は火魔法が得意という感覚はないんだけどね」
ハヤトが目を閉じ、自分自身の能力を鑑定し始める
ワクワクが止まらない!!
鑑定が終わったのか、ハヤトがスッと目を開けた。
「ハヤトの能力、教えてよ。ムッチャ興味ある!!」
私は鑑定結果を待ちきれずに聞いてしまう。
結果…料理の才能は無い事が分かった。
(料理の才能が無い………って言うか、私やお母さんより才能が無いって…酷くない!?)
ガックリと肩を落とすハヤト。
リスグラシューが『あんなに焼き魚が美味しく焼けるのに…』とフォローする。
どうやら料理の才能が無いので、味付けができないらしい。
魔法で作り出したパスタが無味だったのもそのせいのようだった。
「あはははっ、事実だから仕方が無い。リスグラシュー、俺は今後一切料理は作らないぞ!!すべて任せる!!」
ハヤトが宣言する。
(なんでもできそうなハヤトでも、苦手な事もあるんだ…なんか『ほっ』としたわね。どうせ人生相談所にお客さんは来ないし、ポーションもゼニヤッタさんに委託販売をする事に決まったんだから…いい機会よ。やっぱり魔法の才能を生かして、ハヤトは冒険者になるべき!!)
私はしかめっ面で宣言をするハヤトを見ながら考えるのでした。




