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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第122話 グラン争奪戦

「ハヤト様、テイムしているんですよね?」




「そこは間違いない」





 シーザリオが恐る恐る口を開いた。





「フェ、フェ、フェ、フェルリンをテイムしたのか、テイムしたからフェルリンに進化したのか。その辺はどうなんですか?」




「メサイア、フェルリンじゃないよ。フェンリル!!」




「も、も、も、申し訳ありません!!」





 メサイアが珍しくパニクっている。





「最初はプラチナウルフだったという事は間違いない。名前を付け………いや、おそらく俺が魔力をグランの体に流し込んだ時に、プラチナウルフからフェンリルに進化したんだと思う。俺の体とグランの体が同時にとんでもなく光ったからな」





 全員、黙り込んでしまった。





「全く、仕方がないわね」




「はははっ、ごめんな!!」





 アレグリアが俺の胸からグランを抱き寄せる。





「みんな大丈夫よ。一瞬ビックリしたけど、ハヤトがテイムしてるんだし、それに…こんなに可愛らしいんですもの!!」





 アレグリアが頬をすりすりすると、グランは『キューン』と鳴き、眠そうに前脚で目をこすった。





『起きちゃった?でも…か、可愛い!!』





 みんなの顔が一気に崩れる。





「グランはプラチナウルフとしては弱い個体で、仲間に崖から突き落とされ、群れから追われてしまったんだ。そして大怪我を負い、温泉で癒していた。グランは温泉で癒しても助からないと分かってはいたのだが…その時、俺と出会って進化し強くなった。でも『もう群れには帰れない。帰りたくもない』と言っている。みんな…怖がらずに、仲良くやってほしい。もう、グランには帰る場所が無いんだ」




「…グラン」





 アレグリアが目を閉じ、グランにキスをする。





「グラン、恐がったりしてごめんね。あなたは私たちの仲間よ」





 シーザリオが優しく頭を撫でる。





「…群れから追われた。家から追われた私と境遇が似ていて、放ってはおけません。怪我を負い絶望の中、さぞ心細かった事でしょう。私とそっくりです。テイムもしていますし、伝説の魔獣フェンリルになったとしても、グランはハヤト様を裏切る事はないでしょう」





 アレグリアがリスグラシューにグランを預ける。




 グランは少し目を開けると、リスグラシューの服の匂いを嗅ぐ。そして手を『ペロペロ』と舐めだした。





「どうしたの?」





 リスグラシューが小さな子供に語り掛けるように聞く。





「お腹が空いているんじゃないかしら…アレグリアがお腹が空いた時の顔に似ている気がするわ」





 ジュリアがグランとアレグリアの顔を交互に見ながら言った。





「えっ、私………そんな顔してる!?」




「はははっ、確かにそんな顔をしている時があるよね!!グランは俺の魔力しか食べてないから、何か食べ物が欲しんじゃないかな?」





 俺がグランの額を撫でながら言うと、アレグリアは慌てて否定するが、思い当たる節があるのか、顔が真っ赤になっていた。





「そうだわっ!!」





 リスグラシューが何やら懐から取り出した。





「これは黒影猫族用のちゅーちゅを改良したものですが、お肉を原料にしてすりつぶしたものです」





 指ですくい、グランの口元へ持っていった。




 少し警戒し『スンスン』と匂いを嗅ぐグランだったが、可愛らしい舌でペロッと舐める。





「なにこれ!?美味しい!!」




「ふふふっ、どうやら気に入ってくれたみたいね」





 グランは何かに取りつかれたようにちゅーちゅを舐める。





『くっ!?また食べ物で買収ですか!!』





 シーザリオとメサイアが悔しそうに声を合わせて言った。





「何の事でしょうか?」





 リスグラシューはすまし顔で気にしていない。





『リスグラシューさん、私たちもちゅーちゅを上げたい!!』





 アパパネとブエナがウッキウキの顔をしてリスグラシューに頼み込んでいる。





「ふふふっ、人差し指に少しだけすくって」




『は~い!!』





 二人の差し出した指を『ペロペロ』と舐めるグラン。





「グランの舌、ちょっとザラザラしてて気持ちいいよ」




「本当だね。アパパネちゃん」





 二人はグランが伝説の魔獣フェンリルだという事など忘れ、満面の笑顔を見せている。





「あぁ!!すごく美味しかった!!ご主人様の魔力と同じくらい美味しかったよ。ありがとう!!リスグラシュー」





 グランはお礼とばかりに、リスグラシューの頬を舐める。





「う~ん、可愛い!!グランは私の物よ!!」





 リスグラシューは力一杯グランを抱きしめた。





「ズルいわ。私もグランちゃんを抱きしめたい!!」





 いつもは微笑みながら見守っているジュリアも、グランの可愛らしさに我慢ができなくなったようだ。リスグラシューの胸からグランを奪った。





「あっ!?お母さんズルい!!」




「アレグリア、あなたはさっき抱いてたでしょう!!」




『ジュリアさん、私も抱きたい!!』





 グランはジュリアとアパパネとブエナに抱きしめられる。





「みんな大好き!!」





 グランも大喜びしている。





 ここでたまらずシーザリオとメサイアまで参戦してグランの争奪戦が始まる。もはや伝説の魔獣という事など、どうでも良くなったかのようだった。




 しかし…





「ハヤト様、野盗が出ました!!旅人でしょうか。馬車が襲われています!!クロカゲが対応していますが、野盗の人数が多く押されているようです」





 御者をしているウオッカの声が響き渡る。





「アレグリア、馬車から降りてきなさい。仕事です。私たちTCLが野盗を蹴散らしますよ!!」





 ファレノプシスの気合が入った声を聞き、アレグリアは目つきを変えて馬車から飛び出していくのであった。








【リバティ視点】




 ハヤト様の旅の邪魔にならないように、私とお父さんたちは先行して魔物や魔獣、そして盗賊などが待ち伏せていないか警戒をする。





「んっ!?リバティ、聞こえるか?」




「はい。わずかに人間の声が聞こえます。あっ!?馬がいななく声まで…どうやら、この先で、盗賊に襲われている者がいるようです」




「そうだな、リバティ!!お前はハヤト様にこの事をお知らせしろ。俺たちは助けに向かう」




「分かりました。お父さん…いえ、族長、どうかご無事で」




「うむっ、無理はするまい。俺たちはなんとか時間をかせぐ。早くいけ!!」




「承知!!」





 数日前までは空腹で体を動かすのが辛かったのだが、今は充分な食事も取れて体も軽い。




 すぐにハヤト様の乗る馬車の姿が確認できた。




 御者を務めているウオッカさんが私に気づく。




 隣に乗っていたファレノプシスさんが飛び降りて、私のほうに駆け寄ってきた。





「何かあったようだな?」




「はい。この先で野盗が現れました。今、何者かが襲われているものと思われます。族長たちが助けに向かいましたが、多勢に無勢。助けを求めにまいりました」




「ふふふっ、ウオッカさん、聞いた?」




「TCLの出番がやってまいりました!!」





 ファレノプシスさんが『ニヤリッ』と笑い、ウオッカさんが拳を握り締める。




 そして…





「ハヤト様、野盗が出ました!!旅人でしょうか。馬車が襲われているそうです!!クロカゲが対応していますが、野盗の人数が多く押されている模様!!」





 ウオッカさんが馬車を止めて叫んだ。





「アレグリア、馬車から降りてきなさい。仕事です。私たちTCLが野盗を蹴散らしますよ!!」





 ファレノプシスさんの声と同時に、アレグリアさんが槍を握り締め、馬車から飛び出してきた。




 夕日に照らされたアレグリアさんの目つきは鋭く、とても私にヘンテコな変化の舞を教えてくれた人と同一人物とは思えなかった。




 


(たぶん私と歳はあまり変わらないと思う。でも…すごく強そうでカッコいい!!私もあんなふうになりたいなぁ)





 私はアレグリアさんの凛とした佇まいを見て同年代でありながら、ひそかに憧れの気持ちを抱いたのでした。

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