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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第111話 シーザリオ島

 頭を下げる黒影猫族の皆さんを見て『俺…何もしてないのに』と、戸惑う。





「これが内助の功というやつですね!!」





 シーザリオがご機嫌な顔をして言った。




 


(確か『内助の功』って妻が夫を助ける事だと思うのだが…。いつの間に婚約者から妻になったのだろう?でも、今更いちいち否定しても仕方が無いし、スルーしとくか!!)




 


 俺は婚約者から妻へ変わった事を聞こえなかった事にする。




 今はその事よりも、気になる事がある。





「みんなが俺の指示を待たないで動いてくれると助かるよ。それにしても、シーザリオの領地は島なんだね」




「はい。ただし面積だけは広くても、ほとんどが森に覆われていますから、人間の住める土地がありません。島民の数は、おおよそ100人程度しかいません」





 興味津々でシーザリオに聞くが、当のシーザリオは少し苦い表情をした。





「ハヤト様、シーザリオ島は、王国でも開発を試みたのですが、森には強力な魔物や魔獣が多く住みついており、断念したという経緯があります。調査だけで何人の役人が殺された事か…。持て余した王国がシーザリオに押し付けたというところが正直なところです」





 メサイアの言葉を聞いてシーザリオがため息を付く。





「でも…そのシーザリオ島。行ってみたい!!」




「ハヤト様、そんなウキウキした顔で言われても、遠足じゃないんですからね!!ちょうどエアディドールの港から船が出ています。王都からエアディドールを経由し、私の領地をご案内しますよ。でも、本当に海と森しかありませんから、三日で飽きると思います」




「シーザリオ、何を言ってるんだ!!森と海しかない。これがいいんじゃないか!!」




「はあ?」




「起きたい時に起きて、食べたい時に食べる。のんびりと釣りでもしながら、自分が食べるだけの農業をする。当然、眠たくなったら好きなだけ寝る。その上、最愛の人たちと温泉でも入りながら、淫らな宴を毎晩のように催すんだよ」





 俺は思わず、自身の欲望まみれの理想の生活を力説する。





『………最愛の人…淫らな宴!?』





 何を想像したのだろうか?シーザリオたち女性陣が顔を赤らめた。





「い、いや、そこは置いといて、俺は結構そういうのんびりとした生活に憧れているんだ」




「ふふふっ、ハヤト様がそういう生活をお望みなら、私たちは従うまで。もしよろしければ、このリスグラシューにお任せ頂けないでしょうか?」





 リスグラシューが何やら含みのある笑顔を浮かべながら言った。





「分かってくれる?」




「当然です!!」




「じゃあ任せるよ!!」




「ありがとうございます!!このリスグラシュー、命に代えてもハヤト様の理想の生活を実現させてご覧に入れます!!」




「やだなぁ~、そんな大げさな事じゃないよ。あくまでも理想だよ、理想。俺も子供じゃない。現実の厳しさは、こっちの世界に転移する前に十二分に味わって分かっているつもりだよ。そんな生活が実現できたらという夢物語だ」





 リスグラシューは『私にお任せ下さい!!』とばかりに、深々と頭を下げたのだった。






 ストームさんたち黒影猫族のみんなも食事を食べ終え、ようやく落ち着き一息ついている。





「皆さんお腹一杯ですか?」





 俺はもうそろそろ大丈夫だろうと思い、ストームさんに話しかけた。





「ハヤト様、ありがとうございます。このご恩、子々孫々まで忘れずに、必ずお返しします」





 ストームさんに続き、黒影猫族のみんなが頭を下げた。




 


「頭を上げてくれ。俺も先が見えず、不安な気持ちを抱えて生きてきたから、あなたたち、黒影猫族の皆さんの気持ちがよく分かるんだ。俺は自分の出来る事をしただけだよ。大した事じゃないし、忘れてもらっても構わないからね」




『…ハヤト様』





 黒影猫族のみんなは静かに、もう一度頭を下げた。





「私たちは猫人族の中でも、気配を消すという特技があるものの、戦闘力はあまりありません。森の中で息を潜めて生き伸びてきただけなので、お役に立てるかは分かりませんが、何なりとお申し付けください」





 ストームさんが真面目な顔をして言う。





「えっ!?黒影猫族のみんなはスキル持ちでしょ?」




「いえ、私たちの中にスキルを持っている者はおりません」




「またまた!!黒影猫族の変化へんげ、見せてくださいよ!!みんな黒猫に変化できるんですよね!!」




「………ハヤト様、その、黒影猫族とは、私たちの事なのでしょうか?」




「えっ!?」





 俺はストームさんの返事に戸惑う。





「変化とは一体…」





 ストームさんも俺の言葉に戸惑っているようだった。





「俺の鑑定によれば、あなたたちは黒影猫族という種族になります。総じて隠密、斥候、偵察、捜索という能力に特化した種族。変化のスキルも長い年月をかけ、黒影猫族が固有に獲得したんじゃないかな。見た目的に猫人族と似ているのなら、遠い昔に種族として枝分かれしたものだと思われます」




「…はあ」





 ストームさんたちは俺の言葉を疑ってはいないものの、今一つ『ピンッ』ときていない様子だった。





「変化のスキルが使えないとなると、どこかの時点で失われたロストスキルという可能性が高いな。シーザリオ、そんな話を聞いた事はない?」




「聞いた事はありません…ですが、その話が本当なら、画期的な事です。失われたスキルを復活させる、こんな事が現実になるのなら…ハヤト様、世界が変わりますよ!!」





 シーザリオは興奮を隠せない。





「でもシーザリオ、どうやってそのロストスキルを発動させるの?ストームさんたちは変化できないと言っているんだが…」




「………知りません。ハヤト様、鑑定して分からないのですか?」





 一気に現実に引き戻され、冷静になるシーザリオ。





「…調べてみる」





 俺はスキルの項目の変化を選択する。




 そこには『変化のポーズで発動する』とだけ記載されていた。





「なんか変化のポーズがあると書かれているんだが、どんなポーズなのかはまでは分からないな。ストームさん、何か黒影猫族に伝わるポージングなどありませんか?」




「ポ、ポージング!?我々には何も…誰か思い当たる奴はいないか?」





 さらに戸惑いを募らせるストームさんが、一族のみんなに問いかける。




 黒影猫族のみんなは顔を見合わせ首を振る。





「う~ん、残念!!」




「…これは惜しいですね。何とかならないですかね」





 俺とシーザリオは腕組みをしながら考える。





「ポージングが分からないなら、今から作ればいいじゃない!!あなた、今から私が考えるポージングを真似してみて!!」





 アレグリアがそんな事を言い出し、同じくらいの年齢の黒影猫族の女の子を指名したのであった。








【リスグラシュー視点】




 黒影猫族の皆さんが、私の作った料理を夢中で食べている。もちろん、それだけでとても嬉しい事ではありますが、ハヤト様覇王化計画のピースがそろっていく、そんな気がして心が躍る。





(ふふふっ、まずはこの一族の胃袋を鷲づかみにして、離れられなくしてしまいましょう。そして、情報収集と情報操作に特化した隠密部隊を作り上げる)





 私は頭の中で構想を練る。





(………戦闘力は高くはない、という事でしたが、能力を生かせば暗殺部隊を編成できる可能性も考慮しなければ…。くくくっ)





 私は自然とこぼれる笑みを手のひらで覆い隠す。





(それにしてもシーザリオ島。名前だけは耳にした事がありましたが、相当大きな島だとの事…。なんとかこの島を武装化し、ハヤト様の拠点として開発できないものでしょうか…。まあ、少し気が早いですかね。まずは一度シーザリオ島に出向いてみない事には、時期尚早というところでしょう)





 私はハヤト様との未来を思い胸を熱くする。




 


「シーザリオ様、後でお話があります」





 私は何気なくシーザリオ様に近づき囁く。




 シーザリオ様は私の気持ちを察しているかのように、含み笑いをしながら頷いたのであった。

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