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神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう  作者: 爆進王


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第102話 はにかむシーザリオ

「早く丘まで向かおう」





 俺は人通りが激しい街中を、早歩きで城門へと向かおうとする。





「まあ、グルーヴ様と対面するまでには、まだ十分な時間があります。焦らずに行きましょう!!」





 俺の焦る気持ちとは裏腹に、シーザリオは俺の腕に自分の腕を絡ませ、体を密着させてきた。




 俺は柔らかな胸の感触に反応して、思わずシーザリオの顔を見る。




 シーザリオが意図的に、俺の腕に自分の胸を押し付けてきている事を理解する。




 至近距離で視線が合う。




 シーザリオは微笑を浮かべ、俺の瞳を見つめる。





 「私は今まで『愛する人と二人きりで街を歩く』そんな事は叶うはずのない夢物語だと思っていました。でも…今、実際にハヤト様と二人きりでリーズの街を歩いています。丘までの少しの時間で構いません。『愛する人と二人きりで街を歩く』そんな私の夢を叶えて頂けないでしょうか…」





 はにかみながら、そんな事を言うシーザリオが愛おしい。





「…シーザリオ。俺で良ければ構わないよ」




「ありがとう…ございます」





 シーザリオは俺の肩に顔を乗せ目を閉じた。





(こんな事で喜んでもらえるなら、シーザリオの思うがままにすればいいよ)





 俺はシーザリオの髪を撫でながら、その美しい横顔に見惚れる。




 しばらくシーザリオの思うままにさせる。





「行きましょうか」





 シーザリオは満足したのか、俺にそう言い微笑みかけた。




 俺とシーザリオは腕を組み、リーズの街並みを散策しながら城門へと向かった。城門を抜け少し歩くと、丘の上に向かう坂道があった。




 その坂道は結構な距離があり…





「げっ!?ここを登っていくのかよ!!」





 俺は思わずそう言った。





「ふふふっ、ハヤト様。おんぶをしてあげましょうか?」





 シーザリオは少し意地の悪い笑顔を浮かべた後、背を向けてしゃがんでみせる。





「だ、大丈夫に決まっているだろう!!」





 俺は思わずそう言うが…





(若返っていて良かったよ。おっさんの体のままなら遠慮したい)





 そう思わずにはいられなかった。





「では…」





 シーザリオが腕を組むのを止め、手を差し出してきた。




 俺は『大丈夫なんだけど…』と苦笑いをしながらも、その手を握る。





(白くて長い指、柔らかい手の平)





 俺はシーザリオに手を握られ、心まで包み込まれるような安らぎを感じる。





「うふふふっ、私は魔法が主ですから、剣をあまり握りません。結構、女性らしい手をしているでしょう?」




「そうだね。魔力の確認のために背中に手を当てられた時も思ったよ。優しい手をしているなってね!!」




「本当ですか?」




「本当だよ!!シーザリオと手を繋いでいると安らぎを感じるよ」




「…ハヤト様」





 俺とシーザリオはそんな話をしながら坂道を歩いて行く。




 しばらく歩いて行くと、丘の頂上が見えてきた。見上げる形になるので全体は見えないが、メサイアの姿が確認できた。





「メサイア!!」





 俺は大きな声を出し名前を叫ぶ。




 メサイアが俺とシーザリオに気が付き、大きく右手を振る。




 俺も大きく手を振るとメサイアは笑顔を浮かべ、さらに大きく両手を振るのだった。





「あの笑顔…嫌な予感がします!!」




「えっ!?」




「三人が無事ならいいのですが…」




「無事って…アレグリアたちが怪我でもしているとでもいうのか?それならポーションを持ってるけど…」




「怪我だけならいいのですが…」




「またまた!!シーザリオも冗談ばっかり!!」





 俺は笑いながらシーザリオの顔を見る…が、しかし…





「ハヤト様、申し訳ありません!!」





 シーザリオはそう言い、俺の手をほどき頂上まで駆け出して行った。





「……………」





 俺は無言でシーザリオの背中を見つめていた。しかし、シーザリオの表情を思い出すと急に心配になり、急いで丘の頂上へと駆け出していくのであった。








【稽古の様子】




「さて…あなた達の実力、見せてもらいましょうか」





 メサイアはそう言うと、今までの温和な表情が一変し、鋭い目つきでTCLの三人を見据える。





「は~い!!私からお願いしま~す!!」





 待ちきれない!!そんな表情のアレグリアが笑顔で手を挙げた。





「ふふふっ、アレグリア。シーザリオとの戦いを見た時から、一度、あなたと戦いたいと思っていました。お手柔らかにお願いしますよ」




「お手柔らかにって!!私なんて、まだまだぜんぜんですよ。メサイア様にかなうはずありません。でも!!少しくらいは焦らせたいです!!」





 アレグリアは眼帯を外そうとする。





「アレグリア、その眼帯を私に」




「えっ!?」





 メサイアはアレグリアが外した眼帯を受け取り、自ら装着する。





「うむっ、なかなかいい感じです。視界が制限されて稽古には効果がありそうです」





 首を振り、視界を確認しながらメサイアが剣を抜く。





「メサイア様、眼帯を外してください。現状、メサイア様との実力の差がどのくらいあるのか、それを感じたいのです」




「ふふふっ、いい心がけです。ですが…それは時期早々と言わざるを得ません。もし、眼帯を外させたいのなら、アレグリア、実力を示しなさい」




「分かりました。行きます!!」





 アレグリアは槍を構えながら、すり足で『ジリジリ』とメサイアに近づいていく。





「勢い任せで突っ込んでくるかと思いましたが、意外ですね」




「ファレノプシスさんとの稽古で私も成長しているんです!!」




「いつでも突いてきて構わないですよ」





 メサイアがアレグリアに向かって剣を突き出した。





「!?」





 アレグリアは少し驚いた顔をしたが、慎重に間合いを詰めていく。





「やあぁぁぁ~!!」





 アレグリアがメサイアに向けて突きを放つ。




 鋭い突きだったが、メサイアは突き出した剣を少しだけ動かし、軽くいなして見せた。





「くっ!?」





 アレグリアがそれを見て、連続で突きを放つ。




 メサイアは涼しげな顔をしたまま、アレグリアの突きをいなしていく。





「アレグリア、踏み込みが甘い!!それでは私に槍先は届かない。何を恐れているのです。相打ち覚悟で踏み込んできなさい!!」





 メサイアがアレグリアに檄を飛ばす。





「この~!!」





 アレグリアが踏み込んだのと同時に、メサイアが一気に間を詰める。





「へっ!?」





 気の抜けた声を出したかと思うと、勢いよく後ろに吹っ飛んでいった。アレグリアの繰り出した突きは見事にかわされ、メサイアに懐に潜り込まれ、鞘をみぞおちに叩き込まれたのだった。見事なまでのカウンターが決まる。




 アレグリアは胃の中の物を全部吐き出しうずくまる。





「ふふふっ、ハヤト様に見られなくて良かったわね。次はウオッカさん」





 メサイアがウオッカに向けて、鋭い視線を投げかける。





「ひいっ!?」





 ウオッカが盾を構え『カメカメ作戦』の体勢を取る。




 それを見てメサイアが剣を一閃する。




 風圧だけでウオッカを吹っ飛ばし、岩に叩きつけた。




 ウオッカはそのまま前のめりに崩れ落ち『ピクリッ』ともしない。





「次は当然、ファレノプシス。あなたの番ですよ」





 ファレノプシスが静かに槍を構えた時…





「まだ、まだ…私は負けていません!!」





 アレグリアが槍を杖代わりにして、フラフラになりながらも立ち上がる。





「ほおぉ~」





 メサイアが立ち上がったアレグリアを見て感心し、悠然とアレグリアの前まで歩いて行く。





「まだ、心は折れていない…見上げた精神力です。尊敬に値しますよ。ですが…今はファレノプシスの戦い方を見ていなさい。彼女は同じ槍使い、現状の実力はあなたよりも数段上。見る事も稽古のうちです」




「…は、はい」





 アレグリアが少し悔しそうな顔をして腰を下ろす。




 メサイアはそんなアレグリアを見て微笑んだ後…





「さあ、TCLのリーダー、ファレノプシス。私を楽しませてくれ!!」





 そう言い放ち、鋭い視線でファレノプシスと対峙したのだった。

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