↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身代わりの君  作者: くれぱす


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/28

7


家に戻り息を落ち着かせた途端、ドアベルが鳴った。

きっと、浩二だろう。

最近は、節子が昼寝をしているこの時間に浩二が訪ねてくる事が毎日の日課のようだった。



彼は翻訳を生業としている為、時間を自由に使えるらしく、

浩二いわく、この時間はちょうど、気分転換の時間らしい。

話し相手を求めて、由紀子をちょくちょく訪ねてくる。



「こんにちは」

「いらっしゃい」


リビングのソファまで案内するなり綺麗にラッピングされた物を

由紀子に差し出してきた。



「はい、これ」

「なに?」

「いいから開けてみて」


少しびっくりしたが、丁寧にラッピングをほどくと

以前、由紀子が話していたのを覚えていてくれたみたいだ。



「これ、私の大好きな料理研究家のエッセイね」

「うん。今朝、街の本屋に行ったら発売されていてね。

ちょうどいいと思って買ってきたんだ」

「嬉しい。前に話したのを覚えていてくれたんだ。

発売するのは知ってたんだけど、今日だったんだ。忘れてたわ。

お支払いするわ。少し待ってて」


由紀子が財布を取りに行こうとすると浩二はその手を掴み引き留めた。



二人はハッと見つめあった。

驚きの中にも、親密な雰囲気が二人を包む。

浩二は、由紀子の手をギュッと握り、引き寄せようかと少し力を入れたが、

残念そうに口元に笑みを浮かべ、由紀子の手を名残惜しげに離した。



「お金はいいよ」

「でも、悪いわ」

「これぐらい、どうってことないさ」



由紀子は少し迷ったが、ありがたく本を受け取ることにした。

そして、今の浩二の行動で、自分が動揺していると悟られないように言葉を続けた。



「お礼と言っては何だけど、今朝クッキーを焼いたの。

一緒にいかが?」

「君の手作りのお菓子かぁ・・・・。すごくおいしいのを知っているだけに残念!

食べたいのはやまやまなんだけど、今から仕事で出かけないといけないんだ」

「そうなの?じゃ、これをわざわざ持ってきてくれたの?」

「早くユキちゃんに渡したくてね」



その言葉に、由紀子は満面の笑みを浮かべた。


浩二は、由紀子がここの生活に不便を感じないようにと何くれと無く、彼女を気遣ってくれる。

彼のその気持ちが嬉しい。



きっと自分の父親が入院した事を、気に病んで、自分と節子の役に立とうとしてくれているのだろう。

そんな浩二の心遣いが嬉しくて由紀子は、心からの笑みを浮かべる。


浩二はその温かで偽りのない笑顔に見とれた。

さっきは、自分から離れて行こうとする由紀子を引き留めたくて、無意識のうちに、彼女の手を掴んでいた。


自分が彼女の笑顔にどれだけ気持ちが暖められているか。

その笑顔を自分だけの物にしたいとどれほど思っているか。

今の自分の立ち位置が歯痒くて仕方なかった。

この出会いが嬉しくもあり、また、やりきれなくもある。



「浩二さん、いつも本当にありがとう。この本も、すっごく嬉しい」

「それだけ喜んでくれるとプレゼントした甲斐があつたよ」

「クッキー、包むわ。持って帰って」


浩二はその言葉と笑顔で満足しなければと自分を納得させ、ニッコリと彼女に頷いた後、由紀子からもらったクッキーを大事に抱え、玄関を出ていった。



浩二の背中がドアの外に消えるまで見送り、

暖かい気持ちが由紀子の心を満たし、歌でも口ずさみそうになった時、それを蹴散らすような低い声が聞こえた。






「こうやってあいつを弄んで、ここの生活を楽しんでいたのか」



その声とともに、由紀子のウェストに太い腕が絡みつき、

覆い被さるように背中から抱きしめられ、耳たぶを甘噛みされた。



由紀子はその感覚に体をぶるっと震わせながら

全身が凍ってしまったかのように、息さえも出来なかった。








こんなタイミングで現れるとは・・・・

ベタすぎでしょうか?

ベタすぎですよね・・・・・。

まだまだ、踏んでいきたいと思います。


お話には全く関係ありませんが

「ガンバレ!日本!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。