絶体絶命の危機に
昨日俺達の距離は縮まった。旅路も少し賑やかになった気がする。
「森を抜けたら、国に着くわね。 気を引き締めていこ!」
ルキルの道案内のおかげで、予定よりもかなり早く国(国境)の近くまで来ることができた。本当に感謝しかないな。
「あのさ、セレス。 私の役割は果たされたと思うけどこれからも旅について行ってもいいかな。 ほら私も役に立ったでしょ。 だからお願い。」
確かにルキルは俺のことをすごく助けてくれた。でも本当に良いんだろうか。俺は教団に狙われているみたいだし、こいつを危険な目に合わせるわけには……
「ふふっ。みいつけた。小さな小さな裏切り者。」
――ッ!?
思考に没頭していたせいで、俺の反応が一瞬遅れた。
「ルキル!」
だが、咄嗟に叫んだときには、すでに教団の容赦ない一撃が彼女の頭上へと肉薄していた。
ルキルは反射的にそれを外したが深い傷を負ってしまった。
「不意打ちなんて教団は卑怯ね。」
ルキルは口から血を吐きながら啖呵を切った。それを見た俺の胸の奥が熱くなる。――俺がなんとか守ってやらねえと。
「ルキルから離れろ!」
俺はそう言うとルキルの前に飛び出し思い切り魔法を放とうとした。
その時だった。
「盛り上がってるねえ。僕も混ぜてよ。」
白い服を来た男が茂みから出てきた。
その男は瞬時に魔法陣を展開した。
同時にルキルを襲った女も凄まじい踏み込みを見せる。
すかさず俺も防御魔法を張るがこいつをかばいながら戦うのは少々厳しい。防御魔法を展開しながら考えていた、その瞬間だった。
「んー? ガキがいじめられてるぞぉ? 正義のヒーロー参戦しまーす。」
聞き馴染みのある声とともに短刀をもった筋骨隆々とした男が俺達の前に立ちはだかった。
そして敵の魔法を切り刻み、女をなぎ飛ばしたのだ。
「良い根性したガキだな。 安心しろ。 ゴミ処理は俺の仕事だ。」
いつも通り狂った笑顔を浮かべて男は奴らに向かっていった。
遅いくせにでしゃばんなよ。だけど助かったぜ。
俺の前世の旅仲間、狂人・ジルン。




