目指すは、前世俺がいた国
胡散臭い男を吹き飛ばしたのは良いが、もしかしたら追手が来るかもしれない。
そう考えた俺は相棒が気絶している間に周辺の警戒と出発の準備を済ませておいた。
ちょうど相棒も目が覚めたことだし、さっそくここを発とう。
そう思ったがやはり気になったのは彼女の背中だ。
いくら優秀な剣術かとはいえ、こんな小さな体に対して背負っている大剣はあまりに重そうだった。
「なに...? これくらい、いつも持ってるから平気だけど。」
じっと見てくる俺の視線に気づいた彼女が少し不服そうに口をとがらせる。
『質量軽減』
「……っ!? え、軽っ……何これ!?」
彼女は背負った大剣の柄に手をかけ、目を丸くして驚きの声をあげた。
まるで羽根でも持ち上げているかのように、小さな体で大剣をひょいひょいと動かしている。
「これあんたがやってくれたの⋯?」
信じられないと言った様子で見てくる彼女に俺は小さく頷いた。
すると彼女は急に恥ずかしくなったように背中を向けた。
「……ふ、ふん。 まあ、軽いに越したことはないから、一応お礼は言っておくわ。 ありがと」
「お前ちょっとツンツンしてんな。」
俺が素直に思ったことを口にすると、彼女は一瞬で顔を真っ赤に染めた。
「つ、ツン……何よそれ! うるさいうるさい、からかわないでっ!」
恥ずかしさが限界突破したらしい彼女が、俺の胸元をポカポカとしばいてくる。
子どもとはいえ、優秀な剣術家だ。地味にちょっと痛い。
「悪かった、悪かったからストップ! そろそろ出発しようぜ」
俺が両手を上げて降参すると、彼女はぷいっとそっぽを向いて、ようやくポカポカを止めてくれた。
まだ少し耳が赤い。
「……ふん。それで、これからどこに行くつもりなのよ」
呼吸を整えた彼女が、大剣を背負い直しながら真っ直ぐに俺を見てくる。
「俺は、国境を越えた先にある国を目指したいんだ。ずっと、気になっている国があってな」
「……へぇ、あっちの国なんだ」
彼女は少し意外そうな顔をした後、どこか懐かしむように、けれど少し複雑そうな目を細めた。
「あそこ、私の故郷なのよね。教団に殺し屋として拾われる前に住んでたから、普通の街道は教団の息がかかってて危ないってこともよく知ってるわ。……仕方ないから、私が安全な裏道を案内してあげる」
「おお、お前の故郷なのか。裏道まで知ってるなんて、頼りになるな、相棒」
俺が素直に感心してそう言うと、彼女はまた少し照れくさそうに顔を赤くした。
「あ、相棒なんだから、これくらい当然でしょ! ほら、遅れないでついてきなさいよね」
彼女はそう言って、迷いのない足取りで森の奥へと歩き出す。
俺はその小さな背中を追いかけ、隣に並んで歩き始めた。 俺たちの、しばらくの旅が始まった。
どうでしたか?
相棒との旅がついに始まりましたねえ
相棒の名前もまだ知らないですが色々と互いに知り合っていくでしょう
次回にもご期待ください




