あのお方がお怒りだ
「後悔するぞ。神だろうがぶっ殺す」
俺は威勢をあげた。でも全く動じる気配もない。どうやら神だというのは真実のようだ。
「そろそろおしゃべりも飽きてきちゃった。行くよ」
杖あるのは卑怯だろう。だが神を倒せば前世の仇を討てるかもしれない。そう思えば男なら引くに引けない。絶対にぶっ倒す。
ガキの杖に魔力が集中し始めた。来る。
『天罰・氷河』
「ゴフッ」
反応できなかった。なんとか魔力結界を自分で張っていたから致命傷にはならなかったが油断しすぎた。
「どうした。威勢の割には骨がないなぁ」
さっきの戦いもそうだがここで治癒魔法を使うとこいつを倒すだけの魔力がなくなる。
「なんのこれしき。痛くも痒くもない。わざわざ治癒魔法をかける必要もねえよ」
先手必勝とはこのことか。ならこっちも先手取らせてもらうだけだ。
『最大重力』
そしてガキの体を潰しにかかる。
避けられても関係ない。避けるなら空中だ。すると捉えやすくなる。
俺は指先に魔力を強く込める。
『神生最期』
これは前世で神様でも殺せるようにと開発した魔法だ。どんなやつでもこの魔法が当たれば塵となって消える。
ガキの体が膨張する。そして破裂する。
だがやはり神といったところか。この魔法を浴びてすぐに体が再生し始めた。そして急につまらなそうな顔をした。
「今まで食らった魔法で一番素晴らしいものだった。だが卑怯なことはしたくないね。ルシードがこの程度のはずがないじゃないか。君が本気じゃないのに勝ってしまうと僕の尊厳にも関わる。姫ならこの扉の奥にある。ここまでで見逃すとしよう」
そう言うとショタは去っていった。ふざけんなよ。何がしたかったんだ。
「てめえ。俺の勝ちってことだろ?情報を教えるっていう約束を果たせ」
ショタは振り返りもせずに進んでいく。元々情報を伝える気はないっていう気かよ。
俺が言葉を続けようとしたその時だった。
「しまった。あのお方がお怒りだ。すみませんお許しを⋯⋯!」
俺の魔法が今世で初めて通じなかった男が血を吐きながら地面に倒れ込み命乞いをしていたのだ。
そしてぐしゃっと言う鈍い音が鳴り響いた。
そして完全に息の根が止まった。




