天才と神の相対
『神域測量』
瞼を閉じた瞬間、頭の中に教会の構造が流れ込んでくる。隠し通路や地下室の配置までもが鮮明に把握できた。
だが俺は少し違和感を感じた。
本来ならこの魔法は人のいる場所も鮮明に把握できるはずだ。でもそれがぼやけるどころか一切把握できないのだ。
(魔力結界か……)
納得は言った。前世でも俺の探知を警戒して魔力結界を張る人はよくいたからな。
とはいえ常人のそれじゃちょっとぼやける程度でここまで完全に塞がれることはなかった。
だが結界というのは隠したいものの周辺になればなるほど魔力が強くなる。そして教団が隠したいのは姫様の位置。
となれば結界内で最も魔力の大きいところに姫様がいる可能性が高い。
『魔力導引』
俺の魔力が矢印となって地面を示した。
地下か。面倒くさいところだな。階段使うにもどこにあるかわかんねえし迷わせるための罠かもしれない。
指先に魔力を込めて床を壊す。そして魔力でクッションを作って無事に着地した。
だがそこにあったのは俺の期待していたような場所ではなかった。
ただの暗闇の部屋であったのだ。
「見当外れか」
俺は魔力を練り直し上に行こうとしたその時だった。
「フフフ。やっと見つかってくれたね。僕の子どもを随分いじめてくれたみたいだけど仕返しさせてもらうね」
俺は背筋が急に寒くなるのを感じた。
「いじめてなんかないさ。なんせ俺は正義の味方だからな」
寒気を抑え俺は振り向きざまにこういった。
そこにいたのは小さいショタだった。
「いーや君は僕の子どもをいじめた。皆言うんだよね。セレスって人にいじめられましたーって」
ショタに子ども?違和感を覚えたがこれほどの魔力があるなら長生きしているのかもしれない。
「あのさ。もう始めようか。今日は眠たいから」
そういうとショタはもっていた杖を構える。
だけど相手が誰であろうと俺に勝てるはずはない。
「良い度胸したガキだな。自己紹介くらいしてくれよ。俺はセレス。冥土の土産に教えてやるが俺は世間では大罪人って呼ばれている。」
するとショタが笑い出す。
「君も同じくらいの年に見えるけどね」
そしてショタは咳払いをして俺の方を見てくる。
「自己紹介を省いて悪かった。無礼を詫びよう。僕はこの教団の教祖、つまり神そのものだよ」
なにかが切れる音がした。頭に血が上ってくらくらしそうだ。
「おいてめえ。その冗談は俺には通じねえぞ」
だが俺の凄みに動じずそのガキは言った。
「いいよ。もし僕が死にかけるようなことがあれば何があったか。君について少しだけ、僕の知っている範囲で教えてあげるよ。ルシード君」




