狂人との再会
ジルンは俺を強く抱きしめた。実はジルンは狂人とは言われているが誰よりも情に厚く俺に救われたからと言っていつも俺を助けてくれた。
「すまなかったな。 勝手に死んでしまって。」
ジルンは泣きながら俺の顔を見た。
「嘘じゃねえよな。 嘘ついてたらガキだろうとぶっ殺すからな。」
やっぱ変わってねな。でもだから安心する。俺は笑って頷いた。
──そんな俺達の再会を切り裂くようにルキルが悲鳴に近い声を上げた。
「ルシードってあの大罪人!? 嘘に決まってるわ! だって魂ごと消されたって!」
そうえば前世の俺は世界を滅ぼそうとした大罪人として浸透してるんだったな。
その時ジルンが俺から手を離した。そして凄まじい殺気をルキルに向けた。
「おいクソガキ。 誰が大罪人だって? もう一回言ってみろ。」
まずいジルンがやる目をしている。
戦闘の中でどれだけ自分が罵られようが笑っているような男が俺が罵られた瞬間こうだ。せっかく再会できたのにこういう熱いとこだけは直ってない。
「ジルン、俺はもう大丈夫だ。 だから短刀を収めろ。」
こんな狂人でも昔から俺の言うことだけは素直に聞いてくれる。
「良いのかよ! こいつはお前のことを大罪人なんて……」
「それはこいつのせいじゃねえだろ。 皆が騙されてんだ。 こいつに言ったところでどうにもなるもんかよ。 こいつは俺を助けてくれたんだ。 許してやれ。」
まあ薪集めてくれたしな。その功で許してやるか。良かったな薪集めといて。
「分かった。 ルシードが言うなら見逃してやる。 だけど次言ったら許さねえからな。」
ルキルは青ざめて小さく頷いた。全く子どもをいじめ過ぎなんだよ。可哀想に。
あとこんなところでルシードって呼ぶなよ。バレたらどうするんだ。
「ジルン、俺はセレスだ。 ルシードって呼ぶな。」
俺が沈めて睨むとジルンは「あ?」と間抜けに返してきた。
「セレス? なんだその可愛い名前は。 お前はルシードだろ?」
「だから、今世間ではルシードは大罪人なんだよ! 大声で呼ばれて正体がバレでもしたらどうするんだよ。」
「あー……。そういうことか。わりぃわりぃ」
全く反省していない。こいつは戦闘以外では結構バカなところあるからな。
なんにせよ俺達が前世住んでいた国に入る前に最強の仲間と再会できたのは熱すぎるな。
これでハッピーエンドに一歩は近づいたんじゃないのか。
「再会されちゃったねえ。 全く無能だよね。 せっかく私達が作り上げた世界なのに危機が訪れたなぁ。 そうだ、良いこと思いついた。 子どもはまだ魔力が小さい。 でもそれ以上に精神が弱い。 そこで教団の皆に命令だ。」
”ルキルを殺せ”




