第7話 錬金術
ホクホク顔で市場を後にしギルドへ向う。
既にビックとゲイルはギルドでオレを待っていた。
「待たせたかい?」
「いや、さっき来たばかりだ。査定はもう少しかかるらしい」
「レン〜、お陰でフルメンテナンス出来そうだよ」
「今までは、誤魔化しながら使ってたからな、助かったよ」
「それは良かった。オレも嬉しくなるな」
「メンテナンスに時間がかかるけど、宿代も余裕で稼げたから、暫くゆっくり出来るぜ」
ビックとゲイルは、メンテナンス出来るまでゆっくりするそうだ。
「ビック、メンテナンス終わったら、[マジックバッグ]取りに行こうぜ」
「ん?近くで[マジックバッグ]が取れるのかい?」
「あぁ、〔アルケラ〕から1日程の所にダンジョンがあってな。稀に[マジックバッグ小]が見つかるのさ」
「容量も少なく時間経過するけど、[マジックバッグ]は便利だからな〜」
「以前挑戦したけど、5日間潜ったが見つからなかったよ」
「買うと高いしさ、レベル上げと魔石集めを兼ねて探して見ようぜ」
「レンも一緒に行かないか」
「オレは遠慮しとくよ。少し〔アルケラ〕の情報が欲しいからね」
「残念だけど仕方ないか」
雑談していると、査定が終了したらしく、名前が呼ばれた。
「大変お待たせしました。素材の買取り金額はこちらになります。3等分で間違いありませんか」
「うひょ~、1人金貨20枚!!」
「少し多くないかい?」
「もうすぐ、王都で武闘大会が行われる為、ランクの高い冒険者が少なく、素材や魔石が不足しているのですよ。」
「素材の状態も大変良く、とても助かりましたので、査定金額に色を付けていますよ」
「ありがとう。口座に入れて下さい」
宿に戻り、1階の食堂で打ち上げを行った。
「武闘大会なんてのもあるんだね。ピックとゲイルは出ないのかい?」
「去年出て予選落ち。今年はパスだよw」
「オイラも出なくて良かった〜。こっちの方がホクホクだよ。レンは出ないのか?いいトコまで行きそうでね」
「ん〜、今は興味無いかな。」
「これからどうするんだ。〔サーエンド〕に戻るのか」
「少し錬金術を見てみたいな。明日ギルドで工房を紹介して貰おうと考えてる。あわよくば、錬金術を覚えられないかと思ってね」
「ははっ、レンは何にでも興味を持つんだな」
「覚えたら、[ポーション]を格安で売ってくれよw」
「あぁ、期待しないで待っててくれw」
「私達は暫く〔アルケラ〕に滞在するから、困った事があれば相談してくれ」
「ありがとう。今回色々教えてくれて助かったよ」
「オイラたちの方がお礼を言いたいくらいだよ」
「最初は敬遠されてたケドねw」
「それは言わないでくれ〜」
楽しい内に打ち上げを切り上げ解散とした。
明日、錬金術を見れると良いな。
翌朝、鐘1つのちょっと後にギルドへ行き、錬金術工房を紹介して貰った。
工房の名前は〈ミリーの錬金工房〉。若手の新鋭工房で、最近では[ライ]を作った実績がある。
大きな工房は邪魔になるので、見学お断りなんだって。
鐘2つ頃〈ミリーの錬金術工房〉に行って見ると、中心街の外れに少し大きめの工房があった。
中に入ると色んな[ポーション]や[調味料]があり、その中に[ライ]も並んでいる。
カウンターの人に見学の要件を伝えると、工房主を呼んでくれた。
「初めまして、レンと言います。錬金術を見学させて貰えますか」
「工房主のミリーだよ。ギルドから連絡貰ってるよ。ゆっくり見ていくと良いさ。レンは錬金術に興味があるのかい?」
「はい、どうやって作っているのか興味が湧きまして、見せて貰えたらなと」
「良いよ、みせてあげる。それと、畏まった話し方はしなくて良いよ。気軽に話そうさ」
「わかった。お願いするよ」
奥の工房に入ると、8人が作業している。
意外にも科学の実験室のような雰囲気で驚いた。
「昔は大きな[錬金釜]で作っていたんだけど、今は魔道具か補助してくれるから、この広さでも色々作れるのさ」
ミリーはそう言って、[ポーション]を作っている机に近づいた。
「錬金術といっても料理と一緒さ。レシピ通りに作るのは同じ。才能があれば【錬金術】のスキルを覚えられるよ」
「そうなんだね、じゃあ【錬金術】のスキルが無くても作れるのかい?」
「道具さえあれば作れるさ。但し品質や量、スピードに違いが出るね」
「なるほど、料理もスキルがあった方が美味いもんな」
「そうさ、それと【錬金術】スキルがあれば【分析】を覚え易い。【分析】があれば、新しい物が作りやすくなる」
「【分析】?【鑑定】とは違うのかい」
「【鑑定】は【分析】の上位スキルだね。なかなか覚えられるもんじゃないよ」
【分析】は熟練度がアップすると、成分や用途、品質が判り、【鑑定】は更に人や魔物のレベルやスキルも判るらしい。但し、【分析】の熟練度がカンストしても、なかなか【鑑定】は覚えれないと聞いた。
【鑑定】を覚えるには他の条件が必要なのかな?
「【錬金術】の他に、【分析】【錬成】【分解】や他のスキル熟練度によって術者のレベルが変わるのさ」
「なるほど、後は素材の組み合わせで、新しいレシピを作っていくんだね」
「よくわかったね。[ライ]もそうやって、偶然見つけたんだ。食べ方は【分析】で[食用、水に漬けると柔らかくなる]と出たのさ」
(ん?この世界では、炊く事は知らないのかな?後で聞いてみよう)
「レンも[ポーション]を作ってみるかい?」
「いいの?作ってみたい」
「オッケー、レシピはこれだ。レンはスキルが無いからこっちの道具を使ってね。出来上がったら品質を比べてみよう」
レシピには、①薬草をすり潰す、②魔力水で煮込む、③ゆっくり撹拌し色が均一になれば完成 とある。
(成る程、誰でも作れるが、魔力水を買うと割に合わないから作らないのか。)
早速、道具の使い方や分量を聞いて作ってみた。
「完成!」
【鑑定】で見ると[初級ポーション]と出た。ついでに【錬金術】のスキルもゲットしたよ。
「ちょっとまって、えっ、もう出来た?えっ、[初級ポーション]出来てる」
聞くと、普通は等級が付かない[ポーション]が出来るらしい。それもほとんど効果が無い品質なんだって。
等級が付いてからが売り物になり、最初から出来るのはあり得ないと言われた。
ミリーさんが、「見学者の用紙に名前記入して貰うの忘れてた」と奥から用紙を持って来た。
良く見ると[ギルド入会用紙]と書かれている。
ミリーさんをジト目で見ると、「ちっ、気づいたか〜、是非この機会に入会を」と言われたので、丁寧に断ったよ。
騙そうとしたお詫びに、魔力水の作り方を教わった。
教わった後で、「高品質の[ポーション]が出来たら買い取るよん」と言われ、油断も隙もないw
一通り見学させて貰った後で、ミリーさんからお願いをされた。
ランクの高い冒険者が少なくて、錬金素材が不足しているらしい。
オレがCランク冒険者と知り、素材の入手を頼んできた。
「正式な依頼として、ギルドを通すからお願い出来ないかい。報酬に色を付けるからさ」
「どんな素材が欲しいんだい」
「ここから約1日の所にあるダンジョン下層の素材さ」
「もしかして、稀に[マジックバッグ]が出るダンジョン?」
「そうだよ。上層や中層の素材はランクが低くても採取可能だけど、下層の素材は難しくてね」
「入った事はないけど、Cランクで大丈夫かな?」
「深層や下層の深い階に入らなけりゃ大丈夫だよ」
「わかった、期日はあるかい?」
「急なお願いだから、無理は言わないさ。できるだけ早く欲しいケドね」
欲しい素材の種類を聞いてギルドに向う。
ギルドでミリーさんの依頼内容を伝え、ダンジョンについて聞いてみた。
「ミリーさんの依頼は確認し処理いたします。ダンジョンについては、こちらをご確認下さい」
渡されたのは[南領地ダンジョンガイド]だった。
判明しているダンジョンが載っている案内冊子だね。
基本、ダンジョンはそれぞれ階層によって推奨ランクがあるらしい。
1階〜5階はFランク推奨
6階〜15階はEランク推奨
16階〜35階はDランク推奨
36階〜50階はCランク推奨
51階〜60階はBランク推奨
61階〜70階はAランク推奨
71階以上はSランク以上推奨
階の後半はパーティー推奨
1階〜10階は上層
11階〜40階は中層
41階〜60階は下層
61階以上は深層
魔物はダンジョンによって異なり、攻略方や個別の情報は、それぞれのギルドで販売されている。
ダンジョンの魔物は討伐すると、魔石と素材をドロップする。稀に武器や防具、アイテムもドロップするそうだね。
採取素材はそのままで、魔力を内包して外の物より品質は上みたい。ダンジョン産と呼ばれている。
10階層毎にボスが居て、倒すと転移ゲートが使える。
いちいち1階からスタートする必要が無いから便利だよね。
ダンジョンは不明な部分が多く、転移ゲートも解明されていない謎の1つだよ。
ギルドで情報を買って、準備が出来たら行ってみますか。




