第6話 護衛依頼終了
次の日、朝食を食べ終えた後、ガディさんから意外な提案を受けた。
「皆さん、今日の野営地まで狩りを行いながら進みませんか」
「えっ、良いのか?凄く有り難い提案だが、レンはどうだ」
「オレは良いが、何か裏がありそうだな」
「はははっ、バレましたか。実は、昨日手に入れた〈ゴールデンフォックス〉で味をしめてしまいまして。もし、欲しい素材が手に入りましたら、購入させて頂こうと」
「さすが商人だな、金の臭いに敏感だ。レンどうする?お前さんのスキル頼りだぜww」
「納得が行く理由だねww。オレらにも得になるから良いよ」
「やった〜、今回の護衛依頼は大当りだ!」
ゲイルは飛び上がって喜んだ。
「では、それぞれ欲しい素材を確認しますか」
ガディさんは〈シルクディア〉〈ゴールデンフォックス〉〈コットンディア〉の毛皮類。
ゲイルとピックは〈ロックアームベア〉〈フォレストウルフ〉の爪やキバが金になるから欲しいらしい。
もちろん、他の魔物も見つけたら狩って行くことで合意した。
結果から言うと大成功だった。
〈シルクディア〉1匹、〈コットンディア〉20匹、〈ロックアームベア〉5匹、〈フォレストウルフ〉32匹、〈ホーンラビット〉7匹、〈ダブルホーンラビット〉2匹、〈ハンマーヘッドボア〉5匹、〈ゴブリン〉12匹、〈ツインテイル〉3匹の大収穫。
3人の目が金貨に見えたのは気の所為だろうかwww。
森を抜け、野営地に着いても興奮が冷めなかった。
「すげぇよ、今日1日でどんだけ稼げたんだ!」
「【索敵】は素晴らしいですね。魔物の位置が判るだけで、これ程安全に狩りが出来るとは」
「しかも、レンの[マジックバッグ]で素材を諦める事も無かったしな」
狩った魔物はオレが預かる事とした。
「では、食事の後で素材の配分をしますか」
「そうだよ、飯も楽しみなだよな〜、今日は何が出てくるんだ?」
「今日は[唐揚げ]を出しましょうか」
「[唐揚げ]とはどんな料理なのでしょうか」
「1口大に切った肉を、[塩][胡椒]で味付けして、油で揚げた料理だよ」
「また、知らない料理だな。レンの出す料理は外れが無いから、楽しみだ」
テントを張り、結界を準備している間も皆んなソワソワしていた。
今日は[唐揚げ][シチュー][薄肉のソース焼き][パン]で良いかな。
「お待たせしま・・」と言い終わる前に、皆んな配置についていた。
「どうぞ」と言うと、全員が[唐揚げ]にかぶりついた。
「何だこれは、外はカリカリ、中はジューシー、味付けは[ステーキ]と同じだが、違った旨さがある」
「肉は〈エッグバード〉だよ。アクセントに[ニンニー]を追加してみた」
「うめぇ、酒が欲しくなっちまう」
「こっちのお肉も美味しいですね。ソースに果物を使っているんですか?」
「そう、[ミッカ]の果汁を混ぜてソースを作ったんだよ」
市場で見つけた食材に、ニンニクに似た[ニンニー]、オレンジに似た[ミッカ]やジャガイモに似た[イモー]があったので買っておいた。
付け合せとして、[イモー]を[はちみつ]で煮詰め、[なんちゃって大学芋]も作っておいた。
何度もお替りするから足りなくなるかと思った。
大量に作り置きしていて正解だね。
ガディさんは「貴族向けの宿に……領主様へのアピールに……いや、侯爵様に直接……」と悪巧みを考えているよwwww。
レシピのお願いは増えそうだね。
食後、呆けている2人と、悪巧みを考えているガディさんに声をかけ、素材の分配を行った。
「レンは本当に欲がないな。3等分だとオイラたち恐縮しちまうぜ」
「レンの【索敵】のお陰だからな、2等分でも貰い過ぎだぜ」
「私もこんなに安く買取りさせて貰って良いのですか?」
「気にしないで良いですよ、その代わりオレのスキルを内緒にして貰えればね」
「それは勿論だな、でも分配はどうする?解体するにも時間がかかり過ぎるな」
「オレ良いスキル持ってるぞ」そう言って、〈ホーンラビット〉1匹を【自動解体】で解体。
「何が起きた??あっと言う間に解体されたぞ」
「レ、レ、レンさん、今のは??」
「あぁ、【自動解体】のスキルだよ。素材にして分配しよう」
「……オイラもう、レンだからで良いや」
残りの魔物を解体し終わると、ガディさんが詰め寄って来た。
「レンさん、うちの専属になりませんか。好待遇をお約束します!」
「いやいや、オイラたちのパーティーに入ってくれ。一緒に金持ちになろう!」
「ちょ、ちょっと皆んな急にどうしたんだ。」
落ち着かせるのに苦労したよ。
なんでも、オレの持っているスキルがレア過ぎて、護衛・狩り・料理どれを取っても一流の腕だとか。
とりあえず、ガディさんの分も解体し[マジックバッグ]にしまっておいた。
必要の無い部分は【ファイヤーボール】で燃やして処理。
明日には目的の街に着くらしい。
ガディさんが「引き戻って狩りを……」と言うより先に、「予定より早く着いて良かったですね」と釘を刺しておいた。
寝る前に雑談で街の情報を聞いた。
今まで居た街は〔サーエンド〕。南領地の最南端で辺境泊が治めている。
〔魔物の森〕に隣接しているので、魔物素材が特産みたいだね。
目的の街は〔アルケラ〕。錬金術が盛んな街。
ガディさんは、定期的に魔物の素材を卸しているそうだ。
【錬金術】で薬・調味料・合金等、色んな合成を行っているから、新しい調味料をゲットできるかも。
ガディさんとは〔アルケラ〕の支店まで護衛で終了。
ピックとゲイルは武器・防具のメンテナンスで暫く滞在するそうだ。ゲイルは「豪遊出来る〜〜」と喜んでいた。
他にも、漁業・農業・鍛冶・畜産・クラフトが盛んな街があり、機会があれば訪ねてみたいね。
次の日は、何事も無く〔アルケラ〕に到着。
門でチェックを受け、無事に支店まで護衛完了。
素材を指定の場所に出した時、ガディさんから小さなプレートを貰った。
「是非これを貰って下さい。当商会の優先会員証です。本店・支店問わず優先で対応し、商品購入の際は1割引となりますよ」
「今回初めての依頼なのに、良いんですか?」
「勿論ですよ。今まで数多く依頼を出していますが、こんなに快適な旅程は初めてです。レンさんには驚かされっ放しでしたよ」
「ありがとうございます。褒め過ぎな気もしますが」
「とんでもない。まだ、専属の件は諦めていませんよ。如何ですか?」
「ははっ、丁寧にお断りしますねw」
「とても残念ですが仕方がない。これを機会にお近付きになれればと思います」
「こちらこそ、今後も宜しくお願いします」
ガディさんから、依頼完了のサインを貰いギルドへ向う。
「護衛依頼完了承りました。皆様には依頼人より特別報酬が追加されます。口座に入れますか?」
ピックとゲイルは口座があるらしく、一部を受け取り残りを口座に入れていた。
口座の説明を聞くと、報酬を預けられ、どこのギルドでも引き出せ、便利そうだ。ギルド証がキャッシュカードの役割も果たしていて、何気にハイテクだよね。
「では、レンさんの口座をお作りしますね。全額いれますか?」
「それでお願いします。これから素材の買取りもお願いしますので、一緒に入れて下さい」
「それと、今回の護衛依頼完了で、レンさんはCランクとなります」
周りの冒険者から「おめでとう」と言われ、少し恥ずかしかった。
「では、ギルド証をお預かりしますね。登録が終わりましたらお返しします」
ギルド証を預け、ピックとゲイルと共に買取りカウンターへ向う。
「レンさんですね。〔サーエンド〕のギルドより話しを伺っています。解体場へ案内しますね」
「直接解体場?レンどういう事だ」
「〔サーエンド〕のフェイさんから、レンさんが来たら、素材を解体場で出して貰わないと大変な目に合うと連絡がありまして」
オレは苦笑するしか無かった。
解体場へ行き素材を出すと、「連絡の意味が…判りました…」と言われた。
量が多く時間がかかるので、先にピックに紹介された宿を確保する事にした。
その後、ピックとゲイルは鍛冶屋でメンテナンスに出すので別行動。
ギルドで待ち合わせ、夕食を共にする約束をして、オレは市場へ向かった。
市場では、減った調味料を補充。市場をみて回ると、嗅ぎなれた臭がした。
(この臭いは醤油!!)
「そこの兄ちゃん、うちでも何か買っとくれ」
醤油の臭いがする店を覗くと、ちょっと違う調味料が置いてあった。
試しに味見させて貰うと、醤油と味噌の味がする調味料を発見。
「そいつは[ソイ]、ビンの実を絞ったやつだね。こっちは[ミゾ]、ビンの実をペイスト状にしたものさ。どっちも肉に塗って焼くと美味いよ」
正しく醤油と味噌の味。[ソイ]が醤油で[ミゾ]が味噌だった。
その他に、[ライ]と呼ばれる米も見つけた。
「[ライ]は最近錬金術で品種改良された食材さ。お湯でふやかして食べると腹持ちするよ」
思わず慣れ親しんだ食材を見つけて、大量買いしてしまった。




