↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/73

第63話 フィッシの名物

 翌日、ギルマスと洞窟へ向う。

 操船はペレにお願いした。

 洞窟前に着くと、ギルマスも入口を見つけられなかった。

「見事な【隠蔽】だね。全然判らなかったわ」

「【隠蔽】を外すかい?」

「いや、このままにしておくよ。調査が終わる前に、荒らされたら堪らん」


 中に入ると、ギルマスの目が興味を示す。

「結構広いね。自然の洞窟を利用して広げた感じか」

「部屋は寝るだけの利用かな?一部屋5人位の寝床があった」

「海賊だとしたら、100〜150人位の規模か。結構大人数だな」

「あの大きな扉が宝物庫だよ」

「どれ、見てみよう」


 中を見ると、ギルマスの目の色が変わる。

 どうやら、謂れの品があったらしい。

「レン、ここは海賊の根城に間違いなさそうだ」

「何か見つけたのかい?」

「あれだよ、なんだか判るかい」

 テーブルの上にカードが置いてあった。

「昔のギルド証さ。今は小さくなったが、昔はあの大きさだったんだ」

「返り討ちにした冒険者のコレクションか」

「他にも侯爵家の紋章が入った剣が飾られてるね。こりゃあ、ちゃんとした調査が必要だな」


 アグリカの遺跡同様、侯爵様を通して調査が必要となった。

「レン、すまないが財宝は一時侯爵様預かりとなる」

「それは構わないケド、オレも暫く拘束される?」

「それは大丈夫だ。第一発見者として話を聞かれるだけだよ。事件性がないからね」

「なら良かった。今回はガディ商会の護衛で来てるから、迷惑がかかったら申し訳ないからさ」

「あんたは侯爵様と知り合いなんだろう?「またレンか…」とぼやいていたそうだw」


「あっ、侯爵様に遺品は遺族に返してあげてと伝えて欲しいな」

「ありがとう、伝えておく。ギルドも協力するさ」

「宜しく。そう言えば、〈ハンマーオルカ〉を討伐した海域は解放されるのかい?」

「岩礁地帯の付近だけ、調査が終わるまで封鎖されるが、他は解禁だよ」

「良かった、材料が足りなくなったら不味いからね」

「確かにガディ商会の露店は凄い行列だな。私も食べたが、やみつきになりそうだ。後、領主様と組合長がレンを探していたぞ」

「何だろう?後で顔を出してみるよ」


 ギルドを離れ露店に向かうと、驚く光景が目に飛び込んできた。

 まだ販売してから三日目なのに、露店を4倍にしていたよ。

 しかも、どの露店も行列が出来ている。

 驚いていると、ガディさんがオレを見つけて走り寄ってきた。


「レンさん、丁度良かった。組合長が来ていて、お話しがあるそうですよ」

「了解!しかし凄いね。露店を増やすの早くない?」

「これでも足りない位ですよw」

 何でも、昨日は並び過ぎて、お客や他の露店からもクレームがあったそうだ。

「それで、急遽露店の数を増やしたんですが、まだまだ足りなさそうですよ」


 説明を聞きながら、露店の裏側に回ると組合長が露店の状況を見ていた。

「組合長、丁度レンさんと会いまして、お連れしましたよ」

「おぉ、スマンな。初めましてレン殿、〈ハンマーオルカ〉の討伐助かりましたぞ」

「初めまして組合長。依頼をこなしただけですので、お気になさらずに」

「噂に違わず謙虚ですな、どうぞ気軽に話して下され」

「ありがとう、そうさせて貰うよ。何か用事があったのかい?」


「今回、領主様と話したんですが、今売っている商品を、〔フィッシ〕の名物にさせて貰えないかの相談ですぞ」

「まだ、物珍しさで買っていく人が多いから、名物となる判断は早いのでは?」

 ここで、ガディさんも参戦。

「レンさん、とんでもない。お客様の半分以上はリピート客ですよ」

「そうなの?」

「そうですぞ、これから噂が広まり、更に増えるでしょうな」


 確かに、これ以上増えると、1店舗だけでは対応しきれなくなる。

「領主様が探していたのも同じ内容かな?」

「でしょうな、アポ取ってみますか?」

「ガディさん、お願いしても良いかい」

「判りました。面会の日時が決まればお知らせしますよ」

「じゃあ、手土産を用意しなきゃね」

「面会の時は、私も同行しますぞ。早ければ明日になりましょうぞ」


 ガディさんが面会を申し込んだ所、明日の鐘2つ過ぎに決まり、ギルマスも参加すると連絡が入った。

 手土産は、先日〈ハンマーオルカ〉を討伐した際に、ゲットした食材を使う。

 出すのは[刺身][寿司][海鮮丼]だよ。

 実は、既にペレさんに試食して貰い、好感触を得ていたから大丈夫だと思う。

 最初は戸惑っていたけどねw


 組合長が用意してくれた馬車に乗り、ギルマスと合流して領主邸に向かう。

 組合長とギルマスがいれば、門のチェックは顔パスで楽チンだ。

 領主様は既に応接室で待っていてくれた。

「レンさん、ガディさん、ご足労頂きありがとうございます。領主のガガルガと申します」

 軽く挨拶を交わして、早速本題に入る。


 内容は、ほぼ組合長から聞いたのと一緒。

 災害後、復興したが観光客の来訪が芳しくないらしい。

 悩んでいる所に、今回露店の話が持ち上がった。

「試しに食べてみた所、衝撃が走りまして、お代わりしようとしてもあの行列なので、泣く泣く諦めましたよw」

 どうやら行動力のある領主様らしい。

 その足で組合長の所に向い、今日の運びとなった。


「聞けば漁場の解放や、調査団の派遣もレンさんが関わっていると聞きましたよ」

「確かにガッツリ関わっているな。てか、当事者だからなw」

「レンさんは〔アグリカ〕の遺跡も、同じ様に発見しましたねぇ。あれで〔アグリカ〕の名物が増えましたよ」

 ギルマスとガディさんが追い打ちをかける。

 領主様の目が期待に輝く。


「確かにこれ以上お客が増えると、1店舗では賄いきれないか。ガディさんはOK?」

「元々レンさんのアイデアですから、お気になさらずに」

「判ったよ、詳しい話しをしようか」


 オレとガディさんは、レシピの作成と技術指導。

 レシピを購入した店主は、技術指導で合格を貰う。


 ギルドでは、露店の管理と販売許可証の発行。

 技術指導で合格した店主に、販売許可証を発行する。


 漁業組合では、販売許可証の露店に優先及び、割引卸し。

 領主様は、領内外への広報と、漁業組合への補填。

 勿論、ガディさんも商人を通して広報を協力。

 ガディさんとオレとギルドはレシピ販売から利益配分となる。

 領主様は税収が増える考えだ。漁業組合を補填しても、利益は出るだろう。


 早速、候補を募り販売体制を整えた。

 因みに、[タウコ焼き]と[エウビフライ]もレシピ開示したよ。

 試食でも好感触だしね。


 オレとガディさんは、〔サーエンド〕に戻る為、技術指導は最初の6人にお任せ。

 指導料を上乗せしたら、喜んで引き受けてくれた。

 後は、どう転ぶか楽しみだね。

 領主様から永住を求められたが、キッパリとお断り。


 最後に、手土産として[刺身][寿司][海鮮丼]を出すと、全員の顔色が変わる。

「レンさん、失礼ですが生で食べるのはちょっと…」

「生臭さが先立って、とても美味しいとは…」

「私もちょっと…」

「…」

 ガディさん、領主様、ギルマス、組合長それぞれ及び腰だね。


「生臭さで敬遠されているのは知っているよ。騙されたと思って、一口食べてみて」

 [ソイ]と[ワサー]を出して、食べ方を見せてみる。

 すると、組合長が何かに気づいたのか、[刺身]を一切れ食べた。

「美味い、魚の生臭さが全然無いですぞ。レンさん、これは一体…」

 続けて[寿司][海鮮丼]にも手が伸びる。

「ほんのり[酢]の効いた[ライ]が[刺身]に合いますな、これも美味い」


 見ていた3人も興味が勝ったのか、[刺身]に手が伸びる。

「[ソイ]との相性が良いですね」

「お酒にも合いそうですな」

「本当に生臭さが消えてるよ」

 さっきと評価が一変して、[寿司]と[海鮮丼]にも手が伸びる。


「何故生臭さが無いのですか?」

 売れる臭いを嗅ぎ取ったのか、ガディさんが食い気味に聞いてくる。

「本当の手土産は"血抜き"だよ。きちんと処理をすれば、生臭さは消えるんだ」

「血抜きか…全ての魚にやるのは難しいですぞ」

 組合長は現実的だね。

「生で食べる大型から中型に行うと良いよ。小型は血が少ないから、そこまで必要ないかな」

「処理の方法でこんなに変わるとは、信じられないですぞ」


「[ツウナ]の部位を食べ比べてみてよ」

 赤身、中トロ、大トロ、中落ちを出す。

 「おおぅ、油の乗り具合で味が変わりますな」

「料理の幅が広がるのと、生で輸送が難しいから、イメージを払拭出来れば〔フィッシ〕の特産になると思う」

「確かに、生のイメージを払拭するのは、難しいでしょうな」

「だから、ガディ商会人気店のオススメで広げて行くのさ。中間の料理も効果的かな?」


 その場で[カウツオ]の[タタキ]、[サウモン]や[タウイ]を使った[カルパッチョ]を作る。

「半分生の料理だよ」

「[タタキ]の芳ばしさがいいですな」

「[カルパッチョ]の見た目も綺麗だね」


 試食していると、領主様が突然真面目な顔になった。

「レンさん、貴方の知識に何をもって報酬とすれぱ良いのでしょう」

「ん?レシピの分配で良いよ」

「そうはいきません。全く釣り合いが取れてないじゃありませんか」

「確かに、長年漁業に携わってますが、こんな処理の方法や料理は初めてですぞ」

「何か要望を仰って下さい。可能な限り叶えますから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。