第61話 海産物で一儲け
無事〔サウザリアン〕を通過し、〔フィッシ〕に向う。
海岸線が近づくと、魔物の種類に変化があった。
中型の鳥タイプは、カモメに似た〈フラッシュシーガル〉が、群れをなしている。
大型の〈ジャイアントトロス〉はアホウドリが近いかな?
大きさは3倍以上だけどね。
他にもナメクジ型の〈アッシュスラッグ〉や、レア魔物の《ミラースワン》が増えてくるそうだ。
《ミラースワン》は臆病な魔物で、周りの景色に溶け込み遭遇率は少ないらしい。
まぁ、鳥タイプの魔物素材は、肉と嘴が良く使われていて、骨は軽いが脆いので、使われていない。
ガディさんの説明を聞いていると、〔フィッシ〕に到着。
潮風の独特な臭いが懐かしい。
市場は朝と昼に行くのがオススメらしい。
漁で揚がった新鮮な商品が並ぶみたいだね。
今日は市場の場所を確認だけしておこう。
宿を確保してからギルドへ行くと、迷わす解体場に案内された。
どこも連絡が行き届いているよw
道中の魔物素材を出すと、職員に驚かれるまでがワンセットだよね。
今回は野営時の討伐のみだけど、充分多いらしい。
依頼ボードを見ると、食材の調達や採取が多かった。
珍しいのは、大型魔物警報が張られていた事だよ。
お馴染みの〈シーサーペント〉〈クラーケン〉〈リバイアサン〉は実在するよ。
この海域の大型魔物は〈ドリルシャーク〉〈ハードタートル〉〈ハンマーオルカ〉〈シースネーク〉《ドラゴンホエール》と聞いた。
今回は、〈ハンマーオルカ〉が目撃されたそうだ。
まぁ、注意喚起だね。
市場へ行くと、閉まった露店が多かった。
開いている露店を覗くと、貝類が売られている。
残りの貝を買う代りに質問すると、店主は喜んで教えてくれた。
市場の賑わう時間は、鐘1つと鐘2つが合図。
水揚げされた海産物が1番多い時間らしい。
調理は焼く・茹でるしか無く、調味料は[塩][ソイ][胡椒]がメイン。
驚いたのは、生でも食べれると聞いた。
寄生虫の様な物は無いが、生臭くて生で食べる人は殆どいないみたい。
魚は干して保存させる様だ。
店主にお礼を言って、近くの食堂に入る。
お任せにすると、[ホウケ]の塩焼きと[ホウタ]のスープが出て来た。
ホッケの塩焼きとホタテの野菜スープだね。
米やパンは無く、おかずだけが出て来た感じ。
塩だけでも美味しいや。
明日の市場が楽しみだ。
翌日、鐘1つに市場へ行くと、昨日とは違い活気に満ち溢れていた。
道の両脇に露店が立ち並び、多くの人が行き来している。
漁の地元だけあってどれも安い。
まだ生きている魚や貝もあるから、水揚げされたばかりなんだろうね。
ワクワクしながら露店を見ていった。
結論から言うと、歯止めが効かなかったw
買ったのは、[ツウナ][カウツオ][ニウシン][ホウケ][ホウタ][アウサリ][タウコ][イウカ][ブウリ][サウモン][ツウブ][タウイ][カウニ][エウビ][カウキ][アウジ]
大体知っている魚貝だったよ。
その日によって、並ぶ商品は変わると聞いた。
偶に魔物も並ぶらしい。
露店を進むと、奥の方から良い臭いがして来た。
焼き魚、スープ、パンに挟む料理が多い。
料理のバリエーションが少ないのは残念。
以前の様に、ガディさんと試してみようかな?
一通り見た後にガディ商会へ行くと、ガディさんが待ち構えていた。
「レンさん、市場はどうでした?」
「色んな食材があって楽しかったよ」
「料理は食べてみましたか?」
「焼き魚とスープを食べて、美味しかったね。使われている調味料が少ないのは残念かな?」
ガディさんの目が金貨に変わるw
「ではでは、料理人を用意しますか?」
「〔アグリカ〕を思いだすねw」
「ですです!でも、領主様に怒られますかな?」
「まだ、新鮮なまま流通が出来ないから問題無いよ。作るとしても一部だしね」
「なんと!そんなにアイデアが浮かんでいるのですか?」
「そのままでは使えないアイデアもあるけどねw」
2人の悪巧みが始まった。
作る料理は[ホウタ]のバターソイ焼き、[ホウケ]のソイ焼き、[タウコ焼き]、[エウビフライ]だ。
ガディさんが料理人を手配する間、[タウコ焼き]の魔道具を作成する。
一度に30個作れるプレートを4つ作成。
昼過ぎに6人の料理人が集まった。
皆んなガディさんの知り合いだ。
「2つは調味料を変えた料理、2つは新商品だから練習が必要だよ」
早速、ガディ商会で練習が始まった。
[ホウタ]のバターソイ焼き、[ホウケ]のソイ焼きは問題無し。
[ホウタ]のバターソイ焼きは、殻のまま焼くのがポイントだね。
[タウコ焼き]、[エウビフライ]は作り方を見せながら説明する。
[エウビフライ]は温度と時間を覚えれば問題無し。
[ギャッベ]の千切りに[エウビフライ]を乗せて、[タルタルソース]をかければ完成。
[タウコ焼き]はボール状にするのが苦戦気味。
2本の串で器用に転がせるまで時間がかかったよ。
さすが料理人だけあって、夕方迄には全員作れる様になった。
鰹節はないケド、[ソース][マヨネーズ]はマスト。
作った料理は、ガディ商会の従業員が味見役。
全員から、間違い無く売れるとお墨付きを貰った。
ガディさんは屋台の準備やレシピ登録を担当。
ギルドの申請をして貰い、明日から販売を行う。
因みに、明日の販売は[ホウタ]のバターソイ焼き、[ホウケ]のソイ焼きだ。
調味料を変えただけなので、直ぐに真似されるだろう。
この2つはレシピ登録をしておく。
一度に出しても対応出来ないので、慣れたメニューからスタート。
ガディさんは、[ソイ]と[バター]の在庫を確認してるよw
売る気満々だねw
翌日、市場の1番端で屋台を開く。
昨日準備した食材は、それぞれ300個。
周りは鐘1つと共に販売する中、少し余裕をもって販売開始。
人が料理に流れてきた頃合いから開店させた。
焼き始めると、周りに[ソイ]の香ばしい香りが立ち昇る。
それを【ブリーズ】で市場に向けて誘導。
反応があった頃合いで声を掛けて行く。
「さあさあ、本日からの新作だ。今迄と違った[ホウケ]と[ホウタ]焼きだよ。限定300食だから早いもん勝ちだ!一度食べたら、やみつきになる事間違い無し!」
香りと威勢の良い呼び込みに、客の興味が引けた。
新しい味付けに躊躇いを見せたが、[ソイ]の香ばしい臭いに1人が食いついた。
「話のネタに食べてみよう。1つづつくれ」
「毎度あり!熱々の内に食べるのがオススメだ!」
商品を受け取り、食べるのを周りは注目している。
(あれ?反応が無い)
最初の一口は目を見開いたが、その後は黙々と食べていた。
食べ終わり、感想を聞こうとした所、「追加で3個づつ包んでくれ。こんなに美味いもの、家族にも食べさせてやりてぇ」
「毎度あり、不味いのかと思いましたよ」
「あそこで騒ぐと、追加出来なくなると思ってな。こいつは思った以上にうめぇぞ」
その言葉を皮切りに見ていた客が並びだし、噂が噂を呼んであっと言う間に長蛇の列が出来ていた。
「本日は完売しました!」
鐘2つを待たずに、用意していた食材が無くなり完売。
明日も販売する旨を伝え、解散して貰う。
ガディさんは、仕入をして貰ってるが、鐘1つの買い付けだけでは足りなさそうだね。
鐘2つの買い付けは分担して[ホウケ]と[ホウタ]を確保した。
明日は更に売れるだろう。
ガディ商会に戻ると、オレに来客があったらしい。
ギルド職員から来て欲しいとの伝言だ。
仕込みを任せてギルドに向う。
ギルドに着くと応接室に案内される。
「呼び出してすまないな、ギルマスのガレリアだ」
待っていたのは、女性のギルマスだった。
「初めまして、レンと言います」
「堅苦しいな、お貴族様みたいな話し方はやめてくれ」
「わかったよ、それで用件は何だい?」
「指名依頼だ、大型魔物の調査を頼みたい」
「警報が貼られていた〈ハンマーオルカ〉かい?」
「正解だよ。可能であれば討伐も」
「判った、調査してみるよ」
「助かる、どこぞの商会が[ホウケ]と[ホウタ]を買占めるから、足りなくなりそうでな。警戒している漁場を解放したいのさ」
「耳が痛いねw」
「凄い人気じゃないか。既に話題となっているぞ」
「おかげ様で明日も売れそうだよ」
「依頼人は、漁業組合長だ。向こうも儲けるチャンスと思っているだろうな」
「違いないw」
資料室で近隣の魔物を確認してからギルドを出る。
明日はギルドが保有する船を出して貰う予定。
小型船で充分と伝えておいた。
ガディ商会へ行き、明日の販売打合せを行う。
まぁ、今日と同じであれば大丈夫かな。
臨時の売り子も確保して準備万端。
どれだけ真似する店があるかな?
売れ方が落ち着いたら、残りの料理も出せば問題無し。
「エウビフライ」と[タウコ焼き]は真似が難しいからね。
揚げる調理法が浸透するまでは独占出来るだろう。
[アウジフライ]も売れるかな。




