第58話 あれから
あれから約60日経過。
色々なレシピを開発。
料理・お菓子のみならず、調味料・魔道具・調理道具も増えた。
お菓子では、[スポンジケーキ][チョコ][ミックスプリン][アッポパイ][クリームサンド][アイス][アッポ飴][キャンディ][ドーナッツ][アマイモー焼き]。
料理では、[ボアカツ][カツ丼][親子丼][チャーハン][餃子][カレー][ボアのジョガー焼き][ボア丼][ミックス焼き][皮巻き][タマネーリング][ミートパイ][ロールキャベー][ナスーのミート巻][やわらかパン][具入りパン][ボール焼き]。
調味料では、[ケチャップ][ソース][ラー油][お酢]
魔道具・料理道具では、冷凍室・計量機・温度計・丼鍋・焼きイモー機・トング・スライサー・ピーラー・ケーキ用シート・ふるい・卸し金・製粉機を作った。
勿論、ミリーやデカルさん、レティシア、ガディさん、フェイさん、ザッハを巻き込んでね。
特に30日以降は、人材育成も合わせて進めている。
同時にインフラ整備もスタート。
予想以上に[クリームケーキ]が売れ、資金確保に目処がついたらしい。
いったい幾らで売ったのやらw
インフラ整備の前に、北側区画の整備を行なう事となった。
西地区と東地区を拡張して、集合住宅を建設。
一度北地区を更地にして、飲食街と宿屋街を作る。
西地区と東地区は農場と工場も拡大。
集合住宅は、木造3階建てで30世帯が収容可能。
屋上に給水タンクを設置し、地下水をポンプで汲み上げ、水を配給する仕組みにした。
風呂無し、トイレ共用だが、〈スライム〉を利用した下水処理を考案。
定期的に水で流し、地下に貯まった汚物を〈スライム〉が処理する仕組みだ。
水の汲み上げと排水には、【クリーン】のフィルターを魔道具で作成。
こうして始まった街の拡張は、建設特需となり内外から人が集まった。
外壁の拡張、畑の拡大、集合住宅・工場の建設が同時スタート。
職人や冒険者、子供達から年配者まで仕事にありつき賑わいをみせた。
この世界は魔法やスキルがあるので、予想以上のスピードで進行。
集合住宅完成後は、北地区の住民を優先に割り当て、北地区の開発を進めて行く。
メインストリートをコの字に作り、周りに店舗を配置。コの字の内側や外側は、倉庫・工房とした。
給水と下水は集合住宅と同様。
【消臭】の魔道具も設置して臭い対策も追加。
コの字のメインストリートは、右側がお菓子、左側を料理、奥側を物品販売として計画。
建設が進む中、宿泊施設の不足が懸念された。
急遽北側を拡張して宿泊施設を増設。
貴族用と一般用を用意するが、全体的に人材育成が間に合っていなかった。
冒険者ギルドや自警団では限度があった。
「いっその事、専門ギルドを作ろう」
「専門ギルドとは?」
「例えば、商業ギルド、料理ギルド、運搬ギルド、宿泊ギルド、生産ギルドの様に、得意分野で運営させるのさ」
「1つのギルドでは賄いきれんか」
「多分パンクするよ。余り細分化するのも統制が取れなくなるけどね」
「ふむ、ではどの様に分けるか……」
「今迄のギルドを冒険者ギルドとして、商業ギルド、生産ギルドを新規に設立かな?」
後日ギルマスを交えて、商業ギルドを飲食店・宿泊施設・乗り合い馬車、生産ギルドを農場・工場・工房に振り分ける。
それぞれにギルマス・サブを任命し、教育を含めて管理を行っていく。
オレはアドバイザーとして関わる事になった。
レシピを使用する店は、雇われ店主の扱いとなる。
レシピ・器具・店舗を提供する替りに、店主や従業員を固定給与とし、利益の5%をオレ、残りを領主様へ配分。
3カ月赤字の場合は、店主交代となる。
ここで初めて、この世界の暦を知ったよw
1日は1の鐘から始まり、約6時間毎に2の鐘、3の鐘がなり、4の鐘は無し。朝・昼・夕・夜で、夕から夜は曖昧らしい。約24時間が1日だね。
30日で1ヶ月、12ヶ月で1年。
季節は3ヶ月毎に変わり、寒・暖・暑・冷。
1カ月毎に、寒入・寒中・寒去の呼び方はあるが、余り使われでないようだ。
今は寒中だが、南の領地は暖かい。
北の領地では雪が積もっているらしい。
建築・インフラ整備・人員教育が進む中、既に注目されている技術があった。
集合住宅と給水・排水システムだ。
どこの領地も井戸から水を汲み上げ、そのまま下水を川に流している。
その為、水を汲む労力と、下水の臭いが問題だ。
〈ラット〉の大量繁殖や、病気の蔓延も下水の垂れ流しが原因だろう。
川の水も生活範囲の上流側しか利用出来ない状態だ。
急遽、上下水道のシステムをレシピ化して、有償での技術提供する事にした。
特殊技術として、【クリーン】機能のフィルターと【減圧】を利用したポンプ、【加圧】を利用した給水の魔道具を秘匿する。
定期メンテナンスで利益を確保出来る予定だ。
集合住宅は人口が集中する都市部で注目されている。
こうして、建築分野でも人材育成が必要となった。
オレは暫く人材育成に力を注ぐ。
排水システムが出回ると、メンテナンス人員が不足する為、【クリーン】【水魔法】【加圧】を覚えさせる人員を教えて行く。
教育現場は下水道。
今後のインフラ整備に向けて、下水道の清掃を行いながらスキルを覚えさせて行く。
例に漏れず、イメージからのスキル習得と、実践での熟練度アップだ。
時折[スライム]もいるので確保する。
勿論[ラット]は退治の対象。
ゴミや討伐した[ラット]は1箇所に纏めて、捕まえた[スライム]に処理をさせて行く。
全員自警団で【魔力操作】迄は習得済。
【水魔法】の適性があるので、先に【クリーン】と【加圧】を習得させた。
数日は熟練度を優先。
仕上げに【水魔法】と【加圧】を組合せた【ジェットウォーター】を習得。
【ジェットウォーター】を覚えるのに、ちょっとしたコツが必要だ。
先ず【ウォーターボール】を空中で固定し、そこに【加圧】をかけていく。
この時、固定が弱いとそのまま飛んで行って失敗する。
【ウォーターボール】が固定されたまま水が噴出出来れば、第1段階終了。
第2段階は、水の補充。
噴出し続けると水が減って行くので、同量の補充が必要になる。
第3段階は、噴出した水を纏めて行く。
そのままだと放射状に噴き出し威力が弱い。
吹き出す方向に指向性を持たせれば【ジェットウォーター】のスキルがゲット出来る。
このスキルは一見水を押し出す魔法に見えるが、【加圧】のコントロールで威力が上り、切断出来る様になる。
まぁ、そこまで威力を上げるのは、水を糸状まで【加圧】する必要があり、魔力量も【魔力操作】も上級レベルまで必要だから、今の段階では問題無し。
配管内の汚れを押し出すだけだからね。
しかし、【魔力操作】の熟練度が低い為、覚える迄に時間が掛かった。
押し出しながら水を加える部分と、指向性を持たせる部分は、時間が掛かったよ。
それと、魔力量の問題もあった。
これから魔力をギリギリまで使って、魔力量を増やす必要がある。
目標は【ジェットウォーター】50回連続発動。
地味な作業だが、クリア出来れば高給での就職が確約されているので、頑張って貰おう。
スキルを覚えた後は、後続の人員を育成させる。
第2陣迄は自警団に【魔力操作】までを手伝って貰うが、第3陣からは【魔力操作】も指導させて行く。
こうして、それぞれの分野で必要なスキルを習得させ、人員を増やして行く算段だ。
最後の仕上げに、実際のメンテナンスを行えば終了。
点検口から実際に【ジェットウォーター】を使い、【クリーン】を掛けていく。
力加減の調整と、魔石の交換が出来れば合格。
まだ連続50回は厳しいが、実践を行って行けば大丈夫だろう。
こうして、各部所の初期人員を育成し、体制を整えて行った。
今は月2回の会議を行い、領主様を交えて問題点の洗い出し。
各ギルマスからの問題点を聞き出し、対策・対応を行っている。
今回の議題は、レシピの漏洩と貴族のやっかみ対策強化についてだ。
当然、今でも狙う輩が多く、騎士団や自警団が警備にあたっている。
レシピは【契約】を行っているが、抜け道があるみたいだね。
完全には防げないと聞いた。
そこで、オレは分業制を行い、一部をブラックボックスにして対応を提案。
一例で、お菓子では【砂糖】や【ホイップクリーム】の製法だ。
料理では【ケチャップ】や【ソース】を秘匿。
魔道具では、新しい魔法陣を隠して、ダミーを見せる方法を取った。
脅された場合は、間違ったレシピを渡す様、指示している。
因みに、北領地の【砂糖】を使用しても、品質や価格の違いで、同等にはならないのは実証済。
間違ったレシピには、【追跡】の魔法陣を潜ませているので、仕返しが楽しみだ!
既に5人程捕まえている。
残念ながら、その内の1人は【契約】に引っ掛かった。
ハニートラップに嵌まり、レシピの漏洩を試みたらしく、あっさりバレて幽閉されている。
他の4人は実験台になって貰った。
試したスキルは、【魔力感知】と【結界】を合わせた【魔力遮断】。
相手の大元となる魔力塊を【魔力感知】で探り、【結界】で遮断するスキルだ。
魔力を使えないと、スキルも魔法も使えなくなる為、絶望感は半端ない。
【追跡】を掛けて解放すると報告に戻り、依頼主も判明し、尋問を行なうより効果的だった。
黒幕はブラックリストを作成し、警告をふくめて売買拒否の報復。
まぁ、自業自得だよねぇ。




