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第55話 魔法陣の仕組み

【転写】が終わった魔法陣を見せて貰う。

 20枚程ある魔法陣の効果を聞き、並べて見る。

 どれも基本的な図形は共通。

 3重の円があり、中心は黒丸。

 円の間に文字や図形が描かれていて、それぞれ効果が異なっている。


 よく見ると、同じ文字や図形の配置が見られたので、並び変えると3つの共通した部分が浮かび上がった。

 1つ目は魔法かな?

 ファイヤー、ブリーズ、ライト、ウォーター、サイレント、クリーン、ヒート。

 2つ目は状態変化?

 遠見、浄化、脱水、分離、結晶化、軽減、集塵、荷重。

 3つ目は動作?

 撹拌、粉砕、研磨、裁断、連打。


 外側の羅列が発動ならば、内側の羅列はスキルかな。

 同じ文字や配置を探していると、"ピン"とくることが多くなった。

 もしやと思いスキルを見てみると、【解読】が増えている。

 更に【言語理解】を意識し、【解読】を使うと【文字解読】が増えた。


 改めて魔法陣を見ると、外側は魔力増幅と発動、内側はスキル名と経路接続の配列が判る。

 魔力を通すと魔力が増幅され、発動とスキルが連動。

 中心の円から、中と外の円に沿って効果が伝わり、魔道具が動く仕組みだ。


 羅列には、動作に関係無い文字もあったので、解読を難しくしていたんじゃないかな。

 それを抜いても問題無しは確認済み。

 クレイルさんも驚いていたよ。

 文字は古代語に分類されていて、全て解読されていないと聞いた。


「凄いぞレン!魔法陣の研究が進むぞ。しかし、古代語の解読は難しいな」

「今の文字じゃあ発動しないのかな?」

 ふとした疑問を声に出すと、クレイルさんの目が大きく見開いた。

「試して見る価値はあるぞ!魔法陣の文字は解読出来ているんだろう」

「判った、意味のある単語を抜き出してみよう」


 最初に判った共通の単語は詠唱・変化・作動を表す言葉だ。

 スキル名も判る。

 魔力の増幅は、増やす・強化・増幅・湧き出す・纏める 等、スキルに関連した言葉。

 図形は、魔力を繋げる役割らしい。


 単語を置き換えて動作確認すると、作動したがオリジナルと比べ効果が弱い。

「全く同じとは言えないが、これは新たな発見だ!」

「何が違うのかな?」

「言葉の強さや図形との相性、何処かで魔力のロスがあるかもしれんな」


「あっ、クレイルさんが発見した事にしてね」

「何故だ?殆どレンが解読しただろう。流石にそこまで厚顔無恥にはなれんぞ」

「じゃあ、メインはクレイルさんで、オレは助手で頼むよ」

「判った、論文の作成はこちらでやっておく。レンとの連名で出させてくれ」

「まぁ、仕方ないか。今後の研究と検証は任せた」

「偶にアドバイスは欲しいな」

「新しい魔法陣が見つかったら解読するよ」

「それは助かる。是非お願いだ!」

「論文を発表する前に、領主様への報告も宜しく!」

「やはり必要か」

「確実に!」


 因みに、スキルを意識して【転写】試してみると、【付与】も覚えてしまった。

 これも【極み】の効果なのだろうか。

 これでピースが揃った。

 クレイルさんにお礼を言って工房を後にする。

 熱心に工房入りを懇願されたが、丁寧にお断り。

 今後も協力する事で納得して貰う。


 翌日、錬金工房に顔を出すと、ミリーに泣き付かれた。

「レン〜〜、[黃水晶]と[プク草]の使い方が判らないよ〜〜」

 あれから、試行錯誤しているが、進展していないらしい。

「どれどれ、どんな事試したんだい?」

「試した事は此のメモに書いてある」

 分厚いメモを見て、溜息をついた。

「ミリー、メモを見るだけでも時間が掛かるから、その間寝ると良いよ。目の隈が凄い事になってるから」

「判った、少し寝て来る」

 ミリーが部屋に戻ったのを見届けて、メモに目を通す。


 素材毎に変化を付けて試行錯誤しているが、失敗の文字だらけ。

 どうやら、この素材でも[ハイポーション]を作れるらしい。

 [ヒールマッシュ][魔力水][聖光草]の組合せでも[ハイポーション]が出来ていた。

 メモには、[プク草]や[黃水晶]を細かくして試しているが、失敗の文字が付いている。

 そのまま一緒に煮込んでも失敗みたいだね。

 焼く・炒めるも試しているのが笑ったよ。


 読み終えた頃には、2の鐘が鳴りミリーが起きてきた。

 目の隈も薄れ、少しは眠れたみたいだね。

「どうレン、何か案はありそう?」

「そうだね、[プク草]は効果を高める働きがあり、[黃水晶]は光属性の魔力を蓄えているから、魔力に焦点を当てて試してみようか」

「どうやるの?」

「そうだね、試して無いとしたら……」

 少し考えて、思い付いた事を試してみる。


「先ずは[ハイポーション]を作ってくれるかい」

「判った、ちょっと待っててね」

 数分で[ハイポーション]を作って来た。

「[プク草]を[魔力水]で膨らませて、その中に[ハイポーション]と[黃水晶]を入れてっと」

 [黃水晶]をそのままと、砕いた物で試してみる。

 [プク草]を[魔力水]に浸し加熱すると、[ハイポーション]の色に変化が見られた。


 加熱を止め【鑑定】してみると、[メガポーション]下級と表示された。

「うおぉぉぉ、何でこんな単純な事を思い付かなかったんだろう」

「試し過ぎて、麻痺したんじゃないか?まさか、二段階の作成とは考えないしさ」

「一度思い込むと、視点を変えるのは難しいか。詰まった時には気分転換だね」

「まだ下級だから、もうひと工夫必要か」

「でもこれで目処が付いた。多分[黃水晶]に魔力補充か、加熱時に魔力補充で大丈夫だと思う」

「[プク草]が効果を高めるか」

「多分だけどね」


 更に8種類を試してみる。

 ①直接魔力を流す

 ②直接光属性の魔力を流す

 ③[黃水晶]に魔力を加える

 ④[黃水晶]に光属性の魔力を加える

 ⑤〜⑧は①〜④を[魔力水]に浸し加熱する

 で試した。


 結果は④が中級、⑧が上級、それ以外が下級。

 番外として、オレが限界まで光属性の魔力を溜めた[黃水晶]を使うと特級が出来上がったよw

 どうやら、「黃水晶」を使わないと、表面だけで反応が止まり、変化しなくなっていた。

 後の問題は、光属性の育成か協力だね。

 これは教会へ依頼するか、領主様と相談だな。

 最低、光属性の適性が無くとも、下級は作れるので問題無しとした。


 ミリーにレシピ作成を依頼し、オレは【付与】を試す。

 土台となる宝石をカットし、自分のスキルを【付与】していく。

 最初は献上品を意識して、【結界】【状態異常無効】を【付与】してみる。

 効果は劣化版てとこかな?発動には魔力を流す必要があるね。

 課題はあるけど、成功としておこう。


「さて、もうひと工夫しますか」

 金属の土台に【魔力吸収】の魔法陣を描く。

 自然の魔力はそのままでは使えない為、土台と魔石の間に【魔力変換】の魔法陣を挟む。

 魔石は薄い板状に加工し、宝石との間に経路となるシートを挟み繋ぎ合わせる。

 魔法陣は【魔力操作】で、極小化が可能。


 付与宝石、経路シート、魔石、【魔力変換】魔法陣シート、【魔力吸収】魔法陣付き土台の5層構造で、パッシブ効果が得られた。

 これで、魔力不足でも効果が見込めるだろう。

 誰に試……献上するかは領主様と相談だ。


 ネックレス、指輪、ブレスレット、ブローチでサンプルを作る。

 お遊びとして、王冠とティアラや儀礼用の剣も作成。

【付与】は【結界】と【状態異常無効】

「ある程度、宝石の大きさが必要なので、指輪やブレスレットは不格好かな?」

 まあ、サンプルだから良いかと、領主様と侯爵様の家族分を作っていった。


 ミリーのレシピ作成を待って、領主様へ報告を行なう。

 ギルドに行き、領主様の予定を聞くと、5日後で予約が取れた。

「レンさん、領主様への内容はレシピと【付与】に関する報告で間違い無いですか?」

 フェイさんの問いに「間違い無いですよ」と返すと、ギルマスが待っている応接室に通された。


「おぅレン、呼んでスマンが領主様からの指示だ」

「何かあったのかい?」

「お前の報告は心臓に悪いから、先に確認しといてくれとのお達しさ」

「非道い言われ様だね、役に立ちそうな物を考えただけなのに」

「役には立つが、争いの種にもなるな。して、今回は何を作ったんだ?」


「[メガポーション]のレシピとスキルを付与したアクセサリーさ」

「[メガポーション]?初めて聞きますね」

「ダンジョンでサンプルを手に入れてね、ミリーと作成してたんだ。ギルマスは領主様の所で報告済みだよ」

「もう完成したのか、あれから数日しか経ってないぞ」

「【鑑定】で素材は判ったからね。今回は手順が難しかったよ。二段階の作成が必要だったからね」

「レシピは判った。アクセサリーはこの前と違うのか?」


 見て貰った方が早いので、現物を見せる。

「これは、【結界】の効果があるネックレスだよ」

 2人は暫し言葉を失う。

「た、試しても良いか?」

「どうぞ、ギルマスが付けて、フェイさんが攻撃してみてよ」

 フェイさんは、未だ固まっていた。

「周の魔力を吸収するから、誰でも効果があるよ。【結界】の範囲は自分の周りだけ。膜状に【結界】が張られている感じかな」


 固まっているミリーさんを呼び起こし、ギルマスに攻撃して貰う。

 攻撃は、弾くと言うより滑らせる感じだね。

 徐々に攻撃を強めて貰うが、ギルマスに届く事は無かった。

「すげぇな、これなら素手の反撃も可能だぜ」

「あくまでも一時凌ぎの防御だから、逃走一択だよw」

「確かに生存率は上がるな」

「これは王族・貴族が欲しがるでしょうね」

「レン、お前みたいに役に立つ物で、人を困らせる奴は初めてだよ」

「本当ですね」

「心外な!非道い言われようだ」

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