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第54話 魔道具と付与

 騎士団へ行き、ギルから報告を受ける。

「後3人で課題はクリアです」

 まだ約束の期日には猶予があるので、クリアは間違い無いだろう。

「凄いね、予想よりかなり早く達成出来そうだ」

「ゼフ団長とキャロが張り切ってまして、協力しながら教えているんですよ」

「良い傾向だね」


「魔道師団は全員クリア出来ましたよ」

「騎士団ももう直ぐさ」

 ゼフとキャロがオレを見つけて、話しかけて来た。

「あぁ、驚いたよ。教えるコツを掴んだようだね」

「キャロに魔力操作のコツを教えて貰ったのさ」

「団長には動きの繋がりを教わったわ」

「動きの繋がり?」

「重心移動と円動作かしらね。動きが止まらない様にする動作は見事だったわ」

「魔道師団の近接戦闘も様になってきたぜ」

「ホント【身体強化】と無詠唱で、戦略の幅は広がっわね」


「上手く連携出来れば、少人数でも集団戦を優位に進めたり、撤退の成功率が上がるよ」

「まぁ、実際痛い目に合っているからなw」

「かなり強くなってるけど、慢心には気をつけなよ」

「判った。それはそうと、褒美が何か気になってしょうが無いんだが」

「私も!」

「僕も!」

「仕方ないか、騎士団は3人残っているけど、クリアは間違い無さそうだしね」

 皆んな子供の様に、ワクワク感で一杯だよw


「ゼフとギルは【ファイヤー】を使える?」

「生活魔法のか?使えるぞ」

「僕も使えますよ」

「じゃあ、剣を魔力で覆えるかな?魔力の鞘を作る感じだよ」

「こ、こうか?」

「そう、その鞘の厚みを薄くしてみよう」

 オレは剣を借りて見本を見せる。


「くっ、レンの様に薄く出来ねぇ」

「まぁ、今はそれぐらいで良いかな?そうしたら、その鞘に属性を付けてみようか」

「あっ、魔法の要領ですね」

「キャロは魔法を使えるから判るよね。」

 剣に纏った魔力に火属性を付けて見せる。

「レ、レン!そいつは【フレイムソード】じゃあねえか!」

「どう?カッコいいでしょ!」

「マジか!絶対ものにしてやる!!」


「魔力の層が厚いと、本来の切れ味が鈍くなるよ。出来る限り薄くした魔力に、属性を付ける事がオススメだね」

「レン、俺は属性を持ってないぞ」

「生活魔法の【ファイヤー】で練習すると良いよ。熟練度が上がれば火属性が付くから」

「!!!!レンさん、ちょっと待って、待って、待って……属性か付くですって?」

「あっ、まだ内緒だったw」


「えっ、本当に?後天的に属性を付けられる?」

「前回キャロに【ブリーズ】で練習する様に言ったのも、風属性を付ける為さ」

「サラッと言って良い内容じゃないよね!」

「だから、皆んな内緒にしておいてね」

「強引に巻き込みやがった」


「まぁ、生活魔法と属性魔法では威力が変わるから、一生懸命覚えるんだよ」

「領主様は、この事知ってるのか?」

「報告済みさ。光属性で実例も確認してるよ」

「私頑張る!」

「ゼフとギルは【ファイヤー】で反復。先ずは【ファイヤーソード】を覚えよう」

「魔力に属性付けるのは、慣れて無いから難しいな」

「魔法やスキルはイメージが大事だよ。炎の剣を意識したら良いね。火属性を習得出来れば【フレイムソード】になるから威力がアップするね」

「うしっ!明確な目標が出来た!」


「次はキャロだね」

「何を教えてくれるの?」

「混合魔法さ。スキルは【ダブル】も必要かな」

「混合魔法!中級魔法じゃない!」

「そうなの?前回の課題はクリア出来た?」

「【並列思考】は覚えたけど、【ダブル】はまだ」

「両手に【ファイヤーボール】と【ブリーズボール】を出してみて」

 魔法発動まで3秒と6秒で、利き手が慣れているので早いみたい。


「発動は早いね。3秒のズレは慣れの誤差だね」

「遅い方で練習したら大丈夫かな?」

「そうだね、誤差を無くせば【ダブル】は覚えるかな。一応両手に出せるから、次の段階に進めるよ」

「やったあ、教えて、教えて」

「見本を見せながら説明するけど、バランスは繰り返しで覚える必要があるからね」

 オレは両手に【ファイヤーボール】と【ブリーズボール】を出し、5メト先で重ねる。

「これが混合魔法の【ストーム】だよ。風属性の【ウィンドボール】と組み合わせると【トルネード】になり威力と範囲が上がるのさ」


 実際に【トルネード】を見せて比較させる。

「かなり違いますね」

「熟練度や威力の違いで、合わせる魔力量を調整する必要があるんだ。バランスが悪いとはじかれて終了さ」

「【魔力操作】も大事ですか…」

「もしかして、大雑把だった?」

「多分…と言うか、感覚で使ってました」

「まぁ、頑張ってとしか言えないかなw」

「そんなぁ」

「覚えれば、色んな合成が出来る様になるよ」

「はぁ、近道はありませんか……」

「地道な訓練が近道さw」


 それぞれの訓練を少し見てから、領主邸を後にした。

 これからガディさんに魔道具師を紹介して貰う予定だ。

 南西外れに建つ一軒家が彼の住まいで、〈クレイルの魔道具工房〉の看板が見える。

 扉をノックすると、中から男性が現れた。

「初めまして、レンと言います。ガディさんの紹介で来ました」

「工房主の【クレイル】だ。丁寧な言葉は要らんぞ。しかし、魔道具作成を見たいとは物好きだな」

「魔道具と【付与】に興味がありましてね」


 中に入ると、工房内は雑然としていた。

「散らかっているが気にするな。片付けが下手でな」

 作業台に案内されて、実際に魔道具を作る過程を見せて貰う。

「魔道具は、効果が決められた魔法陣に、回路を通して魔石又は、水晶から魔力を流し発動させる」

 長方形の板を出し、片方の端に魔法陣を描き、もう片方に魔石を置いた。

「この魔法陣は【ライト】の魔法だ。魔法陣と魔石を回路で繋ぐと…」

 魔法陣の中央が光出す。

「これに回路遮断や出力調整の摘みを付けて、ライトの魔道具が出来上がる」


 内容はシンプルだった。

 ただ、魔法陣の知識が無い為、覚える必要があるな。

 回路は【魔力操作】でいけそうだ。

「魔法陣は決まった図式が有るのかい?」

「実は判明して無いんだ。偶然発動したのを記録して、それを【転写】してるだけさ。魔力を流せるインクを使う必要はあるがね」

 以外にも、魔道具は偶然の産物だったよ。

「文字、数値、図形の配置に意味は有ると言われてるが、明確には判っていないんだ」

「判明している魔法陣は、教えて貰えるのかな?」

「教える事は出来るよ、どうせ魔道具を分解したら判るからねw」


「魔道具全敗に大きめな物が多いよね?」

「魔法陣の大きさがネックかな。小さくすると、文字や図形が重なったり、線がくっついて発動しなくなるのさ」

「線を細くは出来ないの?」

「筆記具の太さで決まるけど、今購入出来る一番細い[魔力ペン]がこの太ささ」

(うん、太いね。そういえば、レシピの文字も太く大きめだったな)


「魔法陣は、遺跡やダンジョンで見つかるか、文字や図形を変えて試すかだな」

「危なさそう」

「過去に、爆発した事もあったらしい。新しく試す時は回路を長くして離れるか、防御が必要さ」

「魔法の詠唱との関連性は?」

「先人達が試したけど、どうやら違うらしい。どちらかと言えば、スキルの方が近いとされているな」

「何が違うんだろう?」


「魔法の詠唱は3つのピースで出来ていて、1つ目は魔力の呼び起こしと溜め、2つ目は属性と種類の決定、3つ目は発動だ」

(呪文でイメージをし易くしている感じかな)

「スキルは固有の効果が記憶されていて、魔力を流し発動すると言われている」

「魔法陣も固有の効果だから、スキルに近いと言う訳か」

「まあ、実証はされていないがな」


「【付与】はまた別物?」

「【付与】は物にスキルの効果を付ける事が出来る。魔法陣の様な模様はないが、魔力で発動させるのは同じだ。ただ、人の魔力でも発動可能なのは、魔法陣と違うな」

「どんなスキルも付けれるのか?」

「自分が持っているスキルに限定されている。しかも、明確な効果や魔力量が少ないスキルが【付与】可能だ。【錬金術】や【火魔法】【料理】は付与されず、【ファイヤー】【撹拌】【吸血】と言ったスキルは可能だ」


「成程、ありがとう。参考になったよ。魔法陣の一覧を見せてくれるかい?」

「私は【転写】のスキルがあるから、後で渡そう」

「助かる。これでお礼は足りるかな?」

 金貨を100枚渡すと、「貰い過ぎだ」と言われた。

「魔道具を買って、魔法陣を調べる手間を考えたら、安いものさ」

「有り難く頂くよ、魔道具の開発に使わせて貰おう。正直助かるw」

「正直が一番さw」


【転写】している間に魔法陣を描かせて貰ったが、線が歪む。

「意外と難しいだろ?特に円を描くのは」

 基となる魔法陣の上に特殊な紙を被せると、下の魔法陣が透けて見える。

 それをなぞるんだが、線が難しい。

 最初はプルプルしてしまい笑われた。

 改良する場合は、空白を作り別の文字や図形に変えるようだ。


【ライト】の魔法陣を描いたが、試して見ると明かりが弱い。

「此処と此処が掠れているな。此処は線の太さが違う」

 5回目で漸く合格を貰った。

「驚いた、覚えるのが早いな。ペンを使い慣れているのか?」

「文字を書いた事があるくらいだよ。それにしても繊細な作業だね」

「何回も描いていれば、【転写】のスキルが手に入る。それまでの辛抱さ」

「確かに【転写】を覚えたら便利だね」

 とは言っておいたが、【転写】は入手済み。

 内緒にしとこう。

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