第52話 帰路
侯爵邸を出た後は、ガディ商会の支店に降ろして貰う。
ガディさんと帰路の確認を取る為だ。
「レンさん、お疲れ様です。無事終わりましたかな」
「無事終わりましたよ。さて、帰りはどうしますか?」
「道中の狩りは要りませんので、途中の〔アルケラ〕に数日滞在しても良いですか?」
「大丈夫ですよ、オレはダンジョンにでも行ってきます」
「ては、明日出発しましょう」
ルートと日程を確認し、食料を補充してから宿に戻る。
〔アルケラ〕までの道中は、2回〈ゴブリン〉と戦闘になった他は問題無く進んだ。
ガディさんは、支店の注文品やお客様の依頼品を納品。
〔アルケラ〕には2日間滞在予定となった。
翌日、オレは久し振りに〔アルケラ〕のダンジョンへ潜る事にした。
目的は宝石と水晶だ。
41階から60階迄を周回して、〈ジュエリーゴーレム〉や採掘でゲットして行く。
水晶は採掘場を外し、【サーチ】に反応した場所のみとした。
三周した所で本日は終了。
以外と宝石や水晶をゲット出来たね。
2日目は61階からスタート。
61階からは深層となる為、最初は慎重に進む。
65階迄は〈オーク〉、66〜67階は〈ハイオーク〉、68階からは〈オーガ〉とエンカウント。
時折〈キリングアント〉が出てきて、仲間を呼ばれた時には厄介だったよ。
70階のボスは〈オークジェネラル〉〈ハイオーク〉〈オーク〉の混成部隊。
ボスドロップは[肉]、[牙]、[魔石]中〜大、[月刀牙]。
[月刀牙]は湾曲した刀で【鑑定】すると名が付いていたので、レアな武器かな?
採掘場は、1階に2〜3箇所あり、隠し通路も3カ所発見。
宝箱には、[マジックバッグ]中、[メガポーション]☓5、[ミスリルの大剣]をゲット。
小さな宝箱から大剣が出てきて、「手品かよ!」と突っ込んでしまったw
71階から75階迄は、昆虫系の魔物がメイン。
[ジャイアントスコーピオン][アイアンクワガ][魔鉱ビートル][ポイズンセンチピード][ニードルモスキート][エンペラードラゴンフライ]がそれぞれ群れて襲ってくる。
76階から80階はゴーレムがメイン。
時折昆虫系も出たが、ゴーレムに潰される事もしばしば。
77階では、〈ジュエリーゴーレム〉のモンスハウスもあったが、当たりなのか外れなのかは微妙。
倒し切ればウハウハなのだが、逃げ帰ると報酬無しはキツいね。
80階のボスは〈ジャイアントゴーレム〉。およそ10メトの巨大ゴーレムに、〈ロックゴーレム〉〈アイアンゴーレム〉〈ジュエリーゴーレム〉が付き添っていた。
報酬は、[ジャイアントハンマー][鉄鉱石][魔石][宝石][アイアンメイス]がドロップ。
かなり宝石が集まったので、81階から地上に戻る。
ギルドの出張所で、素材の一部を買取って貰おうとしたが、量が多いので〔アルケラ〕での買取りを懇願された。
ギルドへ行くと、1/3出した所でストップ。
今は潤沢に素材は有るらしく、70階層の昆虫系素材を多く引き取って貰う。
査定を待っている間、受付の奥からギルマスがあらわれ、手招きされる。
どうやら奥に来いとの合図らしい。
行って見ると、少し呆れ顔。
「レン、お前何やったんだ、〔サウザリアン〕のギルマスからAランクの推薦が来てたぞ」
「特に何も……遺跡の発見?〈クリスタルウルフ〉の献上?侯爵様の騎士団との対戦? ぐらいしか思い当たらないかな」
「……判った、もう何も言うな。Aランクにするからギルド証を寄越せ」
「試験とか良いのか?」
「ソロで80階のボスを討伐しといて何を言ってる。ここでのAランク試験は、ソロで70階ボス討伐だ!」
「クリアしたな〜」
「持ち込まれた素材の報告を聞いて驚いたぞ。まあ、レンだと分かり納得はしたがな」
「高ランクの冒険者は戻って来たんだろ?」
「大体がBランクで、70階迄を周回だよ。80階までは殆どいない」
「だから昆虫系の素材を多く引き取ったのか」
「余り出まわら無いからな。Aランクのパーティーが立ち寄った時ぐらいだ」
「まだあるよ?」
「お前の持ち込み量は、ギルドが破産するわ!」
「皆んな控え目だねぇ」
「ぬかせ!ギルド証が出来たら受付で受け取れ。話は以上だ」
「判った、ありがとう」
受付でギルド証を貰い、Aランクの説明聞く。
緊急時の強制参加、買物や宿の割引、引退後の職業斡旋がランクアップだね。
Sランクには、レベル100以上と王家の推薦が必要だとか。
まぁ、王家に関わりたくないからAランクのままでいいや。
残りの素材は〔サーエンド〕のギルドに持って行くか、ミリーへのお土産にしよう。
ガディさんにも必要かを聞いてみるかな。
ガディ商会へ行き、素材の確認をすると、昆虫系を欲しがった。
ギルドで聞いた通り、70階層の素材は少ないみたいだね。
「レンさん、普通は2日間で集める量じゃないですよ」と呆れ顔。
明日の旅程確認をしながら、付与と魔道具の事を聞いてみた。
「魔道具には、[魔石]か[水晶]を使います。それぞれに合った属性が使われ、定期的に魔力の補充が必要ですな。[魔石]を使う時は、属性の付与が必要で、〔サーエンド〕にも生業とする者はいますよ」
「[魔石]に属性魔力を込めるだけ?」
「動かすには魔力を通す回路が必要だと聞いています」
(成る程、魔力経路と似た様な仕組みかな)
「もう一つ、効果を出す為の陣が必要です」
「陣?」
「例えば、レンさんが購入した[魔道コンロ]ですが、火を出す陣と動力の[魔石]、それを繋ぐ回路で出来ていますぞ。それに魔力を流す・止める・絞るの摘みで制御します」
「付与も同じなのかな?」
「付与は[魔石]や[水晶]に直接陣を刻むか、貼り付けて効果を出すと聞いています。詠唱を刻む方法もあるみたいですな」
「魔道具師とは違うの?」
「魔道具師は回路を使って、機能を追加したり、専用の道具を作れる者達ですぞ」
「面白そうだね」
「便利なんですが、難を言えば大きい事ですかね。小型化が難しいみたいですな」
「そうなんだ。ありがとう、参考になったよ」
「レンさんが魔道具を作った際は、是非当商会で扱わさせて下さいね」
「作るとは言ってないのに?」
「これまでの行動を見てるとねぇ」
「興味はあるケドねw」
「〔サーエンド〕に着いたら、魔道具師を紹介しますか?」
「ありがとう、宜しく!」
やりたい事か増えていくね。
翌日、オレ達は〔サーエンド〕に向けて出発。
道中は【宝石加工】と【彫金】のスキルを磨いた。
ガディさんにアクセサリーの作成を依頼されたが、注文が殺到すると身動きが取れなくなるので断わった。
"ぐぎぎっ"と言葉にならない声が聞こえたが、諦めて貰おう。
お詫びに宝石付きのブレスレットをプレゼントをして恐縮されたが、練習用に作った物なので問題無し。
小さな声で「あぁ勿体無い、貴族へ…人気の…」と聞こえてきたが、聞こえ無い振りをしてスキルを磨いたw
領主様に贈るアクセサリーを相談したら、「侯爵様にネックレスを贈ったので、違う物が良いでしょうな。指輪が良いのでは?」とアドバイスをしてくれた。
因みに侯爵様へ贈ったネックレスを見せると、加工した宝石に驚いていた。
このネックレスだけで豪邸が一軒建てれるそうだ。
宝石を加工出来る職人が少ない上に、見たことの無いカットの価値がプラス。
カットはスクエアが近いかな。熟練度が上がるとカット出来る種類が増えるみたい。
最初は楕円形か涙目形が、今では四角や円形、球状も加工可能。
(MAXはブリリアントかな?)と思いつつ熟練度を磨く。
ガディさんは、まだ諦めていない雰囲気を出しながら、感心して加工を見ていた。
休憩時、ついでにダンジョンでドロップした[ジャイアントハンマー]と[月刀牙]を査定して貰った。
「[ジャイアントハンマー]はコレクション用ですな。重くて扱える人は居ないでしょう」
「[月刀牙]は銘がありますのでレアですな。曲刀を使う人は少ないですが、レアの武器は高く売れますぞ」
「ガディさんの所で扱う?」
「当商会では難しいでしょう。売るならオークションがお勧めです」
「ありがとう、参考にするよ」
(レア武器はコレクションしてみようかな)と考えつつ武器を仕舞っていった。
最後の休憩が終わり、〔サーエンド〕まてラストスパート。
今回も無事に帰る事が出来た。
ガディ商会で素材を引き渡し、ギルドへ向う。
フェイさんに、「今回の量は控え目ですね」と言われたので、「まだあるけど出す?」と言ったら、周りの職員の方が慌てていたw
ギルマスに呼ばれ応接室で報告。
侯爵様推薦でのAランク昇格も、話は聞いていたようで、Aランクに解放される場所の説明を受けた。
「レンさん、Aランクおめでとうございます。当ギルドでは未開拓エリア奥の調査を依頼し、それを支援いたします」
地図を広げ、未開拓エリアの範囲を教えてもらう。
とは言っても、未開拓なので地図に載っていない範囲なんだけねw
「期限や誓約はあるの?」
「無いですよ、有益な情報と判断されれば、報酬を支払います」
「判った、時間があれば行ってみるよ」
「地図の拡大もそうですが、植生や魔物の調査も宜しくお願いします」
「何があるのか楽しみだね」
「楽しみと言ったのはレンさんが初めてですよ。油断しないで下さいね」
「領主様にはこれから報告か?」
「まだ帰って来たばかりだからね。これから予定を聞くよ」
「待ってろ、予定を聞いてやる。フェイ頼む」
フェイさんは頷き、応接室を出て行った。
待っている間、侯爵様とのやり取りを話すと、「お前だけだよ、そうゆう事が出来るのは」と呆れられた。
「レンさん、領主様は明日の午後なら、空いているそうなのでお願いしておきました」
「ありがとう、お礼を込めて今回のお土産」
道中に作ったブレスレットを2人に渡す。
「おいおい、こんな高価な物何処で手に入れたんだ」
「ん、オレが作ったんだよ。領主様には指輪をペアで贈る予定」
2人はその指輪を見て驚いた。




