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第50話 再び侯爵様とご対面

 さあ、今日は〔サーエンド〕に帰ろう!の前に寄る所があるんだよね〜。

 嫌々ながら馬車に乗ると、ガディさんに笑われた。

「遺跡発見に加え、お土産も用意しておいて、今更ですかw」

「面倒臭いんだよね〜、お土産はガディさんからって事にしない?」

「言い終わる前にバレる嘘は吐きたくありませんなw」

「いっその事、持ち帰って領主様に丸投げするとか」

「長いお叱りを受けたいのですかなw」

「だよね~w」

「自業自得ですし、諦めなされ」


「そういえば、帰りの素材集めは少なくて良いのかい?」

「はい、行きに買い取らせて頂いた素材が、捌けていないので大丈夫ですよ」

「毛皮が多すぎたかな?」

「いえいえ、毛皮は助かりますよ。特にレンさんからの毛皮は傷も少なく、使える部分が多くて嬉しい限りです」

「そうなの?」

「傷が多い毛皮は、補修をするのに余計な手間がかかりますので。更に洗浄も必要無く大助かりですよ」


 ガディさんに、毛皮の使える部分を教えて貰い、狩りの参考にして行こう。

 そう伝えると、「普通はそんな余裕は無いんですケドね」と溜息をつかれたよ。


 旅程は順調に進み、〔サウザリアン〕に入る。

 ギルドを通し侯爵様へ面会を打診して貰うと、2日後に決まった。

 依頼ボードを見ても緊急性が無いので、面会までは街を楽しむ事にしよう。

 ギルマスに〈クリスタルウルフ〉を見せて欲しいと頼まれたので、明日の夕方までギルマスの部屋に置いておく。

「あげるかい?」と聞くと、「いらん、命が惜しい」と返ってくるのはお約束らしい。

 多分、明日は目の下に隈が出来ているだろうねw

 ギルマスの部屋に設置すると、子供の様に興奮していたのは内緒にしておこう。直ぐにバレると思うケドw


 特に目的もないので、ギルドを出た後ちょっと悪戯心が湧いた。

 人気の無い裏路地に入り声を掛ける。

「後ろの3人は誰の指示かな?」

 ザワッと気配が揺れ、男性が顔を出す。

 ギルドから後をつけていた3人組だ。

「バレていたのか。ならば仕方が無い、我々に付いて来てもらおう」

「知らない人に付いて行っちやダメって言われてるから、行けないな〜」

「虚勢を張るのも今の内だぞ、痛い思いをしたく無ければ大人しく付いて来い」

「嫌だと言ったら?」


 途端に3人が身構える。

「ならば仕方が無い。痛い目をみてもらおう。行け!」

 号令と共に2人が左右に走り込む。

 連携は慣れているようで、同時に攻撃が放たれたが、当たる寸前で動きが止まる。

【ネット】で相手を拘束したよ。

「う、動けん、何をした」

「さあね、もう一度聞くけど、誰の指示?」

 相手は黙り込んで奥歯を噛みしめる。

「【ハイキュア】、答えるまでは好きにさせないよ。誰の指示?」

 男達の表情が驚きから恐れに変わる。

「このまま尋問しても時間の無駄かな」

 何も応えないので、後は任せる事にした。

「屋根のお二人に引き渡しても良いかい?侯爵様の所で調べて貰っても良い?」


 すると、屋根から2人が現れた。

「気づいていたのですね。何故、我々が侯爵様の縁だと」

「以前も面会の時に居たからね」

「今日は特に注意していたのですが、バレましたか」

「悪意が無いからスルーしていたけど、この3人はアウトだよ。放っとくと周りに被害が出るからさ」

「判りました、連れていきます」

「毒は取り除いたから、一先ずは安心だよ」

「恐れ入ります。ではこれにて」

 2人は動けない3人を担ぎ去って行った。

「さて、観光の続きでもするかな」


 その後は特に問題も無く、侯爵様との面会となった。

 侯爵様の配慮か、応接室には2人きりしか居ない。

 勿論、護衛は隠れているケドね。

「侯爵様、お久し振りです。」

「息災の様だな、献上品は受け取った。王家との交渉に使わせて貰うぞ」

「恐れ入ります」

「……堅苦しい言葉はもういいぞ、2人の時は普通通り話せ」

「助かるよw 良いのかい?」

「なに、文句を言う奴も居らんしな。しかし、〈クリスタルウルフ〉は凄いな。思わず見惚れてしまったぞ」

「運良く仕留められて良かったよ」

「〈ゴールデンワイバーン〉も驚いたが、それを上回るとはな。完全体はこれで3体目だ」


「1体目はスネークだったっけ」

「それも幼体のな」

「他の2体はお主が仕留めたものだ」

「オークションに出したら凄い金額になったよw」

「儂も参加したが、ひと目見ようと観客が押し寄せてな、危うく中止となる所だったわ」

「そんな騒ぎになったんだ」

「〈クリスタルゴート〉だけを別日にずらし、閲覧料で儲けたみたいだぞ。通常のオークションより稼ぎがあったと関係者に聞いたなw」

「だから五等分でも、凄い金額が振り込まれたんだ」

「参加は公爵家、侯爵家に限定され、侯爵家が競り落としたよ。多分王家の代理人だな」

「他から文句は出なかったの?」

「商人達も狙っていたが、王家の影が見えたら引いていった。まぁ、競り落としても奪われるだけだがな」

「怖いねぇ」


「遺跡と言い、偉業レベルの内容ばかりだぞ」

「ん~~喜んでくれたならそれで良いかな。遺跡は保護するんだって?」

「あぁ、管理は〔アグリカ〕の領主に任せるよ。発掘品は記念館を作り、解読後展示予定だ」

「何か判ったかい?」

「どうやら女神様を祀る一族が残ったらしいな。新天地が失敗に終わった時の保険らしいが、魔物に襲われ放棄した記録を見つけたよ」

「だから、持ち出されず保管されたままだったんだ」

「他は古い農耕方法や、女神様との交信記録もあったと聞いている」

「まさに歴史的資料だね」


「〔アグリカ〕の観光スポットになると喜んでいたぞ。本来ならばお主に権利があるのだが、本来に放棄で良いのか?」

「良いよ、管理出来ないからね」

「金も名誉も要らんとは、欲の無いことよ」

「好き勝手に出来るのが一番さw」

「それが難しいんだがなw」

「恩返しと思ってくれれば良いよ」

「判った。それと、もう一つ報告だ」


「一昨日捕まえた男達の依頼主が判ったぞ」

「誰かな?」

「〔セントラ〕に居を持つ男爵だよ。レンを利用してのし上がるつもりだったのだろう」

「お礼の挨拶に行った方が良い?」

「止めとけ、王家に介入されるぞ。既に警告はしている」

「そう言う事か」

「そう言う事だ」

 この件の黒幕は王家か公爵絡みみたいだな。

 成功すれば取り込み、失敗して報復されれば取り押さえるシナリオか。


「まあ、対応は実害があればで良いか」

「暗殺か指名手配されるぞ。良くても飼い殺しだな」

「問題無いよ、試してみる?」

「興味はあるな、どうやるんだ」

「模擬戦をしよう。侯爵様が誇る騎士の50名と対戦するよ」

「勝てるとでも?」

「勝てないとでも?」

「良かろう、実力を見せてくれ。対戦は2時間後だ!」


 対戦方式を話し合い、ルールを決める。

 郊外の演習場で行い対戦は5試合。武器・防具・魔法・スキル・罠の使用可。相手を殺さ無ければ何でも有り。

 1試合目は10人戦

 2試合目は30人戦

 3試合目は50人戦

 4試合目は50人戦(森林戦)

 5試合目は侯爵様(代替人)を守る防衛戦

 とした。

 勝敗は行動不能・気絶・降参となる。


「これを一人で勝てるとでも?」

 侯爵様の顔が引きつる。

「何か懸ける?オレが負けたら何でも言う事を聞くよ」

「良かろう。儂が負けたら何でも言う事を聞こう」

「決まり!結果が楽しみだね」

 侯爵様の何とも言えない表情が印象的だった。


 侯爵様と共に邸内の訓練場へ向う。

 騎士団長に挨拶をし、今回の対戦内容を話すと、見下した顔を向けた。

「侯爵様、本当に良いんですか?」

「あぁ、本気でやってくれ。負ける事は許さんぞ」

「了解しました。判らせてやりますよ、騎士団の実力を」

「怪我をしても直してあげるから、安心して攻撃してね」

「な、な、」騎士団長は顔を真っ赤にして言葉につまる。

「開始は2時間後、郊外の演習場だ。魔導士含めて50人の準備を行え」

「はっ!」短い返事と敬礼で騎士団長は離れて行った。


「煽って良いのか?w」

「沸点が低いね〜、この後冷静であれば良いね」

「既に前哨戦は始まっているかw」

「本気を出せなかったと言われても萎えるからさ」

「違いない。まぁ、対戦を楽しみにしているよ」


 執事の案内で演習場へ向う。

「本当に下見は宜しいのですか?」

「見ても2時間では意味無いですしね」

「レン様には不利な条件ばかりですな」

「力を見せるには良い条件でしょ」

「敵いませんな。本気で勝てると思ってらっしゃる」

「何処まで勝てるか賭けますか?」

「遠慮しますよ。勝てない勝負はしたくありません」

「慧眼ですねwww」


 雑談をしている間に演習場へ到着。

 中隊規模の対戦が出来る広さかな?

 ここで、他領との合同演習も行うと聞いた。

 既に騎士団は到着していて、ミーティングを行っていた。

 侯爵様の到着まで仮設テントで休憩。

 到着するやいなや、全員がオレを見た。

 怒り・嘲り・観察・無関心の色んな感情がみて取れる。

 案内役の執事さんから、「楽しみですな〜」と期待されたよ。


 今日はいい天気で対戦日和だね。

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