第48話 デカル工房
翌朝、ガディさんに工房を紹介して貰う。
名前は〈デカル工房〉で大きな工房だね。
食器・アクセサリー・置物を幅広く手掛けていて、オーダーメイドも頼めるようだ。
「初めまして、レンと言います」
「宜しく、工房主のデカルだよ。工房を見たいんだって?」
「はい、それと容器の購入を検討してる」
「ふむ、何に興味があるのかな?」
「食器だね、この街に来てからアクセサリーにも興味が沸いたよ。色んな物があって驚いた」
「この街は物流の拠点みたいだから、色んな商品が集まるよ」
「工房も活気があって綺麗だね」
「色んな商品を作っているから、気を抜くと直ぐ汚れでしまうよ」
「少しの間、お邪魔して良いかい?」
「予定は7日間だったね。良いよ、歓迎するよ」
「ありがとう。素材確保は手伝うから声を掛けてくれ」
挨拶を済ませると、ガディさんと別れ、工房を案内して貰う。
ガディさんは商談みたいだね。
最初は食器のブースを見せて貰った。
素材は、金属・石材・木材・布帛・魔物素材 等、商品によって使い分けているとの事
説明を聞くと、陶器はスキルで整形し、【火魔法】と【風魔法】で乾燥・焼き上げを行うスタイルだとか。
前の世界とは違い、短期間で大量に作れるみたいだね。
アクセサリーのブースでは、身に付ける物がメインだね。スキルで形を整え、意匠を施している。
面白いことに、ガラスは【錬金術】が関わっていた。
置物のブースは、アクセサリーと同じだが、身に付けるかどうかで分かれているらしい。
お土産用も作っているようだ。
素材は日程を決めて採取しに行くか、ギルドに依頼。
「ギルド依頼分は、オレに任せて!」と伝えておいた。
早速陶器に挑戦!
【陶芸】スキルが取れるまでは、手作業での形造り。
初心者には轆轤を用意してくれた。
自由に作っていいと言われ、最初は湯飲みを作成。
次に、ティーカップ、マグカップを作って行くと、いつの間にか人集りが出来ていた。
「どれも見慣れない形だな。決まった用途が有るのか?」
「特に無いよ。取っ手があるやつは、熱い飲み物を飲む時、持ちやすいかなと」
「ふむ、取っ手はエールジョッキや鍋の様な、重い物を持ち上げる補助としか、考えてなかったな」
「見た所、グラス型しか無かったから、スープやティーに良いかもね」
「よし、何点か作ってくれ、焼き上げをしてみよう」
数点違う形や、ソーサーを作り、焼き上げを行う。
【アイテムボックス】からスープや紅茶を出して試飲してみる。
「確かにグラス型より熱くないし、持ちやすいな」
「1人分なら、具入りスープでもいけるかな?」
「お揃いの色でスプーンを作るとセット販売出来るぞ」
「ソーサーは受け皿として、スプーン置きにも最適さ」
「売れるかどうかまだ判らんが、新しいデザインは売ってみる価値あるぞ、説明は必要だがな」
「この街で[ホットケーキ]売っている店はある?」
「あるぞ、ギルドから5軒目の飲食店だ」
「そこに試して貰わない?温かい飲み物とセット販売を持ち掛けてさ」
「良いな、期間や数量限定で提案してみるか。新しい物好きだから、食い付くかも知れんな」
何故か商売の話しになってしまったw
ティーカップセットとスープカップセットを、それぞれ50組作っていると、途中で【陶芸】のスキルを覚えた。
スキルがあると、作るスピードが段違いだよ。
夕方、喫茶店に予約を取り付け実演を行う。
店主は機能に感心したが、奥さんと娘さんはデザインに興味を持ってくれた。
どうやらグラス型では、持った時に熱くてこぼしてしまう事があるらしい。
とりあえず、明日から5日間試してみて、反応が良ければ採用してくれるそうだ。
各20セットを渡し、残りは店頭販売に回す。
今日は工房に戻らず、そのまま宿に帰った。
次の日は、金属・木・ガラスの食器を教えて貰い、【金属加工】【木工】【石材加工】【研磨】を覚えた。
「あり得ねぇ…」と言われたが、覚えてしまったのはしょうが無い。
「てへっ!」と返しておいた。
金属は、加工後【研磨】で仕上げが必要で、ガラスは【錬成】と【錬金術】で素材を取出してから【石材加工】の手順だった。
量産の時は、デザインが描かれた図面を見ながらスキルを使うと、誰が作っても同じ食器が出来上がる。
ホント、スキルは便利だね。
因みに、表面の色や絵付けは自由に出来る。
試しに、陶器に木目を描いた木製風や、金属に土感を出した陶器風、木工に光沢を描いた金属風を作ったら、「紛らわしい!」と注意されたw
尚、置物は食器と作り方は同じで、形が違うだけなそうだ。
但し、木製品は表面を削る事で【彫刻】を覚えるみたいだね。今度試してみよう。
明日は、午前中ギルドに寄ってから工房入り。
残りの素材を出すのと、[クリスタルウルフ]の回収だね。
午後からはアクセサリー作成を教え貰う予定だよ。
「レン、2日後に素材集めがあるから手伝ってくれ」
「良いよ、何の素材が必要?」
「[フォレストウルフの牙][コットンディアの角][ロックアームベアの爪]を頼めるか」
「それなら手持ちが有るよ」
「はっ?」
「明日ギルドに売る予定だから、丁度良かったよ」
「ちなみに、何の素材があるんだ?」
売る予定の素材を教えると、フリーズしてしまった。
再起動を待って必要な素材を聞くと、素材を選り分けて渡して行く。
以外と高く買い取ってくれた。
「素材集めはこれで終わり?」
「いや、別班が坑道に入り採掘を行う」
聞くと、街から少し離れたた所に採掘場があり、金属やガラスの鉱石を採掘するらしい。
入るには、ギルドで1回限りの採掘権を買うそうだ。
以外と高いが、持ち出せる量に規制が無く、採掘場から出ると無効になるみたいだね。
「マジックバッグがあれば取り放題だね」
「そんな大容量のマジックバッグは高額で買えんよ」
「オレもついて行って良い?」
「採掘権は自腹になるぞ」
「良いよ、明日ギルドに行くから買って来る」
「判った、2日後の鐘1つに工房前集合だから遅れるなよ」
「了解、明日はギルドに寄ってから工房に入るよ」
次の日は、朝のラッシュが落ち着いた頃、ギルドに入る。
買取りカウンターから解体場に案内され、素材を出しているとギルマスがやって来た。
「ギルマス、目の下に凄い隈が出来てるね、もしかして徹夜?」
「今日で見納めと思ったら眠れ無くてな、気づいたら朝だったw」
職員がコッソリ「あれからギルドに泊まり込みですよ」と教えてくれた。
心なしか、数名の職員も眠たそうにしているねw
「もう少し置いとくかい?」と聞くと、「私の身体がもたん」と言われ回収したよw
受付カウンターで前回の査定内訳を説明された後、採掘権の話しを聞いてみた。
「採掘権は1回限りの入場券となります。採掘量に限りはありませんが、一度出ると無効になりますのでご注意下さい。又、採掘場内の事故・トラブルは自己責任となり、ギルドは関与致しません。魔法や爆発物での採掘は崩落の恐れがあるので禁止です。」
一通りの説明が終わった後、申し訳なさそうに職員からお願いがあった。
「レンさんは大容量のマジックバッグを持っていますので、採掘量に手加減お願い出来ませんでしょうか」
少し困り顔でたので、「善処します」とだけ伝えておいた。
工房に入り、明日の採掘でどんな素材が必要か聞いたが、「取れた素材で作るものを決めるから、量が欲しい」と言われたよ。
主に採掘出来る鉱石は、鉄・銅・ガラス用・陶器用なんだって。
楽しみだね。
今日はアクセサリーを教えて貰う。
基本、金属は金型、木製は掘りがメイン。ガラス・陶器は食器と同じだね。
指輪・ネックレス・腕輪・髪飾りを作っている。
細かな彫りは、【彫金】スキルを使って仕上げて行く。
先ずは葉っぱの彫りを行い、慣れたら花びらみたいに順を追って練習して行く。
金属はノミを使い、力加減が難しい。
一通り教えて貰い、後は反復練習を黙々と行った。
特に【石材加工】【彫金】【金属加工】を重点に使い、熟練度を上げていく。
【石材加工】でガラス玉を作り、【彫金】でカットして行くと、【カッティング】というスキルを覚えた。
今回の工房体験は、今後の計画に役立つスキルを覚えられて大満足だ。
今日はとことんスキルの熟練度を上げていこう。
何か忘れている気がしたが、気の所為かな?
まぁ、いいや。




