第46話 侯爵様との会談
「お主がレンか、会いたかったぞ」
侯爵様はオレの事を色々聞いているらしい。
「恐縮ですね、どんな話しを聞いているか不安になりますが」
「まぁ、聞いた話は信じ難い事ばかりだったがな。あの〈ワイバーン〉を献上されれば、信じる他なかったぞ」
「気に入って貰えました?」
「気に入るどころか、そのまま王家に献上させて貰った」
「それは構いませんよ。又、良いのがあれば献上しますね、領主様経由で」
「バルドの困り顔が目に浮かぶぞ」
「領主様に聞きましたが、オレとレティシアの自由を了承して貰いありがとうごさいました」
「条件は付けたがな」
「無茶な内容で無ければ問題無いですよ」
「善処しよう」
「ガディも此度の話しを聞くのに来て貰いすまんな」
「侯爵様には中々顔見せ出来ず、ご無沙汰しています」
「良い良い、息災であればな」
軽く挨拶を交わし、本題に入る。
「して、今回は遺跡を見つけたと聞いたのだが本当か?」
「はい、レンさんが森の奥で発見しました。〈ゴブリン〉の集落になっていたそうです」
事の経緯を話し、地図を広げ場所を教える。
「よく今迄見つから無かったものだ」
「苔と木に覆われ、近くに行かないと分からなかったよ」
「地下に部屋があり、書物と種が保管されていたと言ったな」
「入口は幻影の様な物で隠されていたよ。女神様に教えて貰わなければ分からなかった」
「直接啓示を受けたのか?」
「はい、多分結界も解除してくれたんじゃないかな。〈ゴブリン〉に荒らされていなかったからね」
「何か持ち出した物はあるか?」
「どうして良いか分からなかったんで、そのままにしてあるよ」
「では、騎士団を編成するから、案内を頼めるか?」
「良いよ、いつ出発?」
「本日中に準備は整う。明日の朝出発予定だ。今日は泊まって行け」
「ありがとうごさいます。天井の人と隣の人には迷惑かけるね」
「気づいてたか」
「怪しむのは当たり前だからね」
「空気だと思って我慢してくれ」
「問題ないよ」
「では部屋に案内させる。又、晩餐の時にな」
領主様が出て行った後に、ガディさんから問いかけがあった。
「よく泊まりを了承しましたね」
「断わるのも問題でしょ。それに、朝も少し遅くに起きれるしw」
「レンさんらしいですなw」
部屋に案内された後は、晩餐に呼ばれ家族を紹介された。
夫人からは、公開したレシピや[クッキー]について、称賛を頂く。
[プリン]は領主様から献上されるので、今は内緒だね。
食事後の談話で遺跡の話しを行い、全て侯爵様にお任せする事で落ち着いた。
遺跡への案内後は〔クラフリ〕行きを了承して貰い、帰りにもう一度立ち寄るとして話し合いは終了。
翌日、騎士団20名と共に遺跡に向けて出発。
2日後、入り口に印を立て、森に入り遺跡へ向う。
数回魔物に遭遇したが、騎士団が対応して出番なし。
等間隔に印を付けて行き、遺跡までたどり着いた。
【オートマッピング】があるので忘れていたが、普通は印を付けなきゃ迷うよね。
神殿に入ると、騎士団から感嘆の声が上がる。
苔むしたり、木に覆われている建物の中、女神像だけが綺麗に浮かび上がり幻想的に見えた。
早速それぞれ分担し、調査開始。
警戒・外部調査・内部調査・地下調査に分かれる中、オレは外部調査に同伴させて貰った。
近くで栽培や農耕を行っていたら、野生種が育っている可能性を考えたからだ。
建物の周りを【サーチ】で探すと、数ヶ所で[???]の表示が見つかる。
調べてみると[聖光草][ネギー][モヤー][アマイモー]を新たに発見。
[聖光草]は魔物避けの素材かな?
他は長ネギ、モヤシ、サツマイモみたいだね。
(あれ?これらの野菜は〔アグリカ〕で見かけなかったぞ。後でガディさんに聞いてみよう)
暫く探索し、他に新しい素材は無さそうなので、地下室の様子を見に行く。
中では仕分けと箱詰めが行われていた。
どうやら、書籍・日誌類・報告に分けて箱詰めしているみたいだね。
種は数種類あり、小分けされている。
首都に戻ってから調査すると言ってたよ。
とりあえず、案内は出来たので、団長に断りを入れる。
「団長、そろそろ〔クラフリ〕に行くから馬車に戻るよ」
「了解した。しかしレン殿、実に興味深い発見でしたな」
「偶然見つけただけだけどね」
「大概、こういった発見は偶然ですぞ」
「確かにねw」
「何故ここに放置されていたのかが興味深い。普通は移住先に持って行きますのでな」
「後回しにして忘れたか、対して価値が無いのか、秘密にしたかったかですかね」
「私は最後であって欲しいですなw」
「そろそろ行くね、後はよろしく」
「分かりました、案内ありがとうごさいます」
「周りに危険な魔物はいなさそうだけど、気をつけてね」
「気遣い痛み入る。レン殿もお気をつけて」
「凄い秘密がある事を期待してるよ」
「一緒に期待しましょうw」
ガディさんの待つ馬車に戻り、〔クラフリ〕へ向う。
新しく見つけた素材を見せると、面白い事が判った。
[聖光草]は予想通りに魔物避けの素材。
[モヤー]は育つと[マメー]となり、成長途中だとか。
[ネギー]は苦くて、雑草扱いみたいだね。生で食べたのかな?
[アマイモー]は初めてらしく、見たことが無いんだってさ。
予想通りなら面白くなりそうなので、野営地に着いたら料理してみよう。
「レンさん、何かよからぬ事を考えていませんかな?」と突っ込まれたから、誤魔化しておいた。
途中に〈シルクディア〉を見つけたので、狩りをした以外は魔物をスルーして野営地に到着。
早速、食事を作りますか。
[アマイモー]は小石を熱し、中に入れて焼くのみ。
[モヤー]は[ボア肉]と一緒に塩コショウ炒め。隠し味に[ソイ]を一垂らし。
[ネギー]は[コッコ肉]と合わせて2種類作る。
1種類は塩コショウで焼いたもの。「トウガラー」を少し入れて、ピリ辛感を出す。
もう1種類は、[ソイ]と[砂糖]で照焼き風。お酒が無いのが残念。少し[ニンニー]と[ショガー]を入れてアクセント。まぁ、ニンニクと生姜だね。
後は、[ライ]を炊き、和風料理の完成!
スープは以前作ったのを出した。
「レンさん、美味しです![モヤー]も[ネギー]も調理次第ですな。少し強めの味が、[ライ]で丁度いい味になり食が進みます。又、同じ食材でも調味料でこんなに変わるとは驚きです」
「喜んで貰えて良かったよ。」
食事を終えた後、もう一品進めてみる。
「最後に甘い物はいかがかな?」
「これは、先程の[アマイモー]を焼いた物ですか」
「周りの皮を剥いて食べてみて」
一口食べると、ガディさんと御者さんの目が大きく見開く。
「凄く甘いですね、[砂糖]を使ったのですか?」
「いいや、ただ焼いただけだよ」
「焼いただけでこんなに甘く……」
ガディさんが考え込んだので、先に伝えておいた。
「レシピは無いよw」
「えぇ、そんな殺生な。是非レシピを作って売って下さい!」
「この料理は予定があるから難しいな。一般に出回ってない食材だしね」
「確かに、[モヤー]は何とかなるにしても、[ネギー]と[アマイモー]は難しいですな」
「遺跡の周りに生えてたから、栽培は可能みたいだよ」
「今回の書物に書いてあるかもしれませんな」
「帰りも〔サウザリアン〕に寄るから聞いてみようかな」
「侯爵様に食べて頂ければ、確保も早くなりますぞ」
「そうやってレシピを出させようとするし」
「バレましたかw」
(まぁ、種芋は確保したから、帰ったら栽培を試してみようかな)
旅の予定はオーバーしそうだが、その後は順調に進んだ。
今日は3カ所目の狩場となる。
もう充分な素材は確保出来ている為、レア魔物をメインに狩る事とし、狙いはクリスタル系だ。
前回を参考に〈エレメントコア〉を探すと、不自然に集まっている場所が【オートマッピング】に表示される。
静かに近づくと、小さな沼に集まっているようだ。
そして、〈エレメントコア〉が、沼に魔力を注いでいる。
不思議な光景に見惚れていると、別方向から魔物が現れ沼に入ると、〈エレメントコア〉が四方に散らばった。
【鑑定】で調べると〈スラッジスライム〉の表記。
どうやら沼の汚染原因だね。
再び〈エレメントコア〉が集まり魔力を注いでる。何か理由があるのかな?
不思議に思い沼を【鑑定】してみると、[汚れた泉 毒や瘴気に汚染されている]と出た。
(元は泉なのか、瘴気を出しているから危険かな?)
瘴気溜まりは、自然発生もあるが、魔物の死骸放置で発生する場合が多い。
放置すれば魔物を引き寄せ為、処理か報告が必要だ。
近づくと、〈エレメントコア〉が散って行く。
(襲われると思ったが、まあいいか)
沼に近づくにつれ悪臭が漂い初め、〈スラッジスライム〉や〈毒カエル〉〈麻痺カエル〉〈ポイズンラット〉が見てとれた。
(ざっと50匹くらいか。水辺だから火魔法でもいいかな)
最小限の【ファイヤーボール】を放ち討伐を行う。
(大きさは半径10キロメくらいか、いけるかな?)
先ずは【クリーン】をかけてみると、色が少し薄まったが【鑑定】の表示はそのままだ。
(やっぱり1回では無理だったか)
【クリーン】では毒と瘴気に変化が無いので、【ハイキュア】と【ディスペル】もかけていく。
【鑑定】で様子を見ながら続けると、5回目頃から汚れが無くなり、綺麗な水が現れた。
元は綺麗な泉だったみたいだね。
水底には魔物の骨らしき物も見えるので、【ネット】で回収。
「これでヨシ!」と自己満足に浸り、帰ろうとすると、森の奥から光が飛んで来た。
光は水面に漂い、次第に増えていく。
【鑑定】すると〈フェアリー〉と出たが、実体が無いので下級精霊かな?
綺麗な泉の時は水飲み場だったのかもしれないね。
(ありがとうごさいます)
突然、頭の中に声が響く。
周りを見渡すと、上から一体の精霊が現れた。




