第40話 思わぬ誤算
今日は領主邸へ行き、騎士団・魔道師団の進捗確認。
魔道師団は、元々魔力に慣れているので【魔力感知】は問題無し。
今は、魔力経路を増やしている。
騎士団は苦戦気味。魔力に慣れていない為か、感知に時間がかかっている。
ギルが感覚派なのと、個別対応が遅れの原因かな?
ちょっと手助けしますか。
「ギル、人数が多いので遣り方を変えてみよう。皆んなを集めてくれるかい」
「判りました。全員集合して下さい」
「全員で手を繋ぎ、輪を作って下さい。ギルはオレの対面な」
休みを除いて約80人くらいかな。
準備を待って説明する。
「これから、魔力を紐状にして、右回りで流すよ。感知出来たら教えて」
魔力を流すと15人が感知出来ず、一度輪から外れて待機とした。
感知出来た人はギルに任せて、引き続き魔力を流して貰う。
感知出来なかった人は、オレと輪を作り再チャレンジ。
今度はロープ位の太さに強め魔力を流すと、全員が感知出来た。
教える人によって強弱は必要みたいだね。
暫く魔力に慣れさせて、次の段階に移る。
「自分のお腹付近に、同じ様な魔力の塊があるから、判ったら教えてくれ」
これは全員クリア。暫くすると【魔力感知】を覚えていた。
次に魔力経路を作るのに、例を挙げて説明する。
「魔力の塊から手のひらに魔力を繋げるよ。イメージは、糸を這わせる・水が流れるみたいに、想像し易い方法がオススメだね。植物の芽が出て伸びて行くイメージでも良いね」
「成る程、その説明は分かり易いですね!」
いつの間にか、キャロが話しを聞いていた。
一通り説明してから、ギルとキャロに話しをする。
「キャロ、騎士団は魔力に慣れていないから、ギルの手伝いをしてくれないか?」
「良いですよ、今も手伝いが必要か聞きに来ましたので」
「ギルも良いかい?」
「助かります。正直魔力を上手く説明出来なくて…」
「ギルは感覚派だもんなw 良し、2人にミッションを与えよう」
「「ミッションですか?」」
「そう、これから全員30日以内に【魔力操作】、60日以内に【身体強化】を覚えさせたら、キャロには魔法を、ギルにはスキルを教えてあげるよ」
「それは、両方達成出来たら、新しい魔法2個ですか!」
「だよw やってみる」
「「「やります!!」」」
あれ?返事が増えたw 振り返るとゼフが手を挙げている。
「面白そうな話しをしてるじゃねえか、俺も混ぜろ」
「良いよ、その代わりゼフは【瞬歩】と【スラッシュ】も覚えること」
以外にもゼフは魔法に興味を持っていて、【魔力感知】は習得している。
「いいぜ、そのミッションに乗った!」
「皆んなには内緒だぜw」
「「「勿論!!!」」」
「いい返事だことw」
騎士団の遅れは、思わぬ誤算だったが、これで何とかなるかな?
「あっ、期間内にレベル55近くまで上げといてくれ、以外と魔力使うからね」
「そう言えばゼフ隊長、今日は休みではなかったのですか?」
「呼び出されてな、領主様が5日後に帰ってくるらしい。そうだ、レンにも伝えてくれと言われてたw」
ギルに言われ、用事を思い出したようだ。
「だから訓練場に来たのかいw」
「そうそう、伝える前に面白そうな話しを聞いて、忘れちまったよw 6日後の昼に来て欲しいんだとさ」
「了解、食事が終わった頃伺うと伝えてくれ。忘れるなよw」
今後の訓練の流れを確認した所で、キャロとギルはゼフに連れて行かれた。
そのまま訓練に参加するらしい。休みなのにね。
暫く訓練に付き合い、その後ガディ商会へ向う。
ガディさんには、〔アルケラ〕での器具購入と、今後の素材確保を依頼。
体制が整ったら、専属契約もありかな。
2日後、レティシアから連絡があり教会へ行くと、慌ただしい雰囲気が感じられた。
「レンさん、来て頂いてすみません」
「大丈夫だよ、何かあった?」
「報告が2件ありまして、1件目はシスターの1人が【ヒール】を覚えました」
「それは嬉しい報告だね!シスターはいるかい?」
「はい、呼んできますね」
少しして、小柄なシスターが現れる。
「【ヒール】を覚えた、シスター【ララ】です」
「おめでとうララ、【ヒール】を見せて貰えるかい?」
「判りました、【ヒール】!」
ララの手のひらから淡い光が放たれる。
こっそり【鑑定】で見ると、スキルに【ヒール】【光魔法】が増えていた。
レティシアが教える前に、全員スキルと属性無しを確認している。
これで、属性を追加出来る事が判明した。
領主様に報告が増えたね。
喜ぶララを下がらせて、もう一つの報告を聞こうとするが、中々話そうとしない。
「レティシア、悪い報告?」
「いいえ、何と言ったら良いのかと…」
「素直に話してみなよ」
意を決したような表情をして、レティシアが話し出す。
「私、【風魔法】と【水魔法】を覚えました」
「2つもかい?素晴らしね!」
「何故覚えたのかは判らないんです。それで、どう説明したら良いのか…」
「何か訓練した?」
「特別な事は何も。【ヒール】を遠くに飛ばす練習位です」
「成る程ね、遠くに届かせようと、風をイメージしたのでは?」
「そうですね、風で袋が飛んで行くイメージでした」
「【風魔法】はそれだね。【水魔法】は?」
「病気を治療した時に、水を欲しがったので、水を意識したら指先から出たんです」
「突然に?」
「はい、不思議に思いステータスを確認すると、【風魔法】と【水魔法】があったのです」
「今回が初めて?」
「何回か、治療に【ウォーター】を使っていた位ですね。意識しないで出たのは初めてでした」
これは思わぬ誤算だ。
「多分、スキルの熟練度も影響してると思うが、不明な点は多いね」
「どうしましょう」
「このままで良いと思うよ。色んな属性を覚えても中途半端になるなら、【光魔法】で上級目指すのが一番かな」
「ありがとうございます。【光魔法】を練習していきますね」
さて、教会に来たからお祈りしていくか。
お供えは[シャーベット]でいいかな。
(いたずら好きの女神様、お納め下さい)
(何の事かな?人聞き…いや、神聞きがわるいな)
(レティシアの件は女神様が関わっているよね)
(何故そう思うの?)
(説明していて、こじつけ感が強いから。さすがに違う属性を覚えるのは難しいでしょう?)
(確かに難しいけど、あり得ない話しではないよ)
(そうなの?)
(生活魔法は属性無くても使えるからね。通常そこから属性が付いてくるんだよ)
(ランクアップみたいな?)
(熟練度アップだね)
(で、レティシアには?)
(ちょっとしたお礼。祈りを行う人が増えて、私の階位が上がったのさ)
(一番下から脱出?w)
(失礼だな、違うよ!)
(これは失礼、何番目だったの?)
(下から……どうでも良いじゃないか!)
(ごまかしたなw)
(ふんっだ!)
(まあ、お礼を言っておくよ、ありがとうな)
(余計な事をしてスミマセンね!)
(機嫌なおしてよw お詫びに【砂糖】が出来たら、甘いお菓子をお供えするからさ)
(ま、まぁそれなら…)
(最初は[プリン]かな)
(それ、地球のお菓子だよね!)
(そう、食べた事ある?)
(地球は通れるけど、食べられないんだ。お供えされないからね)
(じゃあ、オレがお供えすると食べられるね)
(ぅわぁ、楽しみ!!)
(今は準備中だから待っててね)
(なるはやで!)
(判った、頑張ります)
([プリン][プリン][プリン]…)
トリップしたのでお祈りを止めたが、しっかりと[シャーベット]は無くなっていたw
レティシアには、お祈りをしてくれる人が増えたから、感謝されたと伝えた。
「女神様の加護で魔法が増えたようだね」
「そうなんですか!一生懸命お祈りしますね!」と喜んでいたよ。
何にせよ、熟練度や理解度で属性変化が分かったのは収穫だ。
(これでゼフとギルのご褒美は決まりだな。驚く顔がたのしみだ。領主様は喜ぶかな?)
3人が同時にクシャミしたのは偶然だろう。




