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第38話 自警団発足

「それです、それを待っていました!」

 突然、領主夫人が声をあげる。

「レンさん、本当に【砂糖】は出来るんでしょうか」

「試行錯誤は必要だし、【錬金術】のスキルを覚えている人員確保もこれからだけど、出来ると思うよ」

「それは、北の【砂糖】と同じなのですか?」

「ん~~どうだろう、素材と作り方が違うから、ちょっと違うかも」

「でも【砂糖】なんですよね?」

「甘い調味料と言えば同じだね。作ってみて味が違えば、名前を変えてもいいかも」


「是非お願いします。【砂糖】があれは、[クッキー]の様なお菓子が作れるのですよね」

「気に入ってくれたんですねw」

「それはもう!お茶会に出しましたら、騒ぎになった程ですわ」

「あぁ、レシピを教えて欲しいと、未だに問合せがあるな」

「迷惑かけてるかな?」

「勘違いするな。レシピは秘匿として、社交界の武器にしているよ」

「いい感じ?」

「大変いい感じだw」

「それなら良かったw」


「コホン!話しを戻しますと、[砂糖]は〔サーエンド〕に富をもたらす調味料なのです」

「[砂糖]が〔サーエンド〕で手に入ると判れば、訪れる人数の増加は間違いないな」

「それにより、宿泊施設や飲食業、観光業にも恩恵が波及するでしょう」


「そして、トラブルも増えるから、治安対策は必要だね」

「レン、まさかそこまで考えての自警団なのか?」

「想像にお任せするよ。お菓子の種類も増えそうだね」

「レンさん、新しいレシピがあるのですか!!」

「それは[砂糖]が出来てからだねw」

「お主の頭の中を覗いて見たいわ」

「ギルドも忙しくなる予感しかしねぇ」

「自警団で人材育成出来れば、職員の補充も可能かもよw  [砂糖]の加工にも新規雇用が必要だしね」

「素晴らしいです! レンさんの中では、全て繋がっているのですね」


「私の完敗だ、自警団を街の雇用対策として認めよう」

「ありがとう、初期費用はオレが出すから、費用負担は考え無くて良いよ」

「助かるが、良いのか?」

「まだお試しだからね、認めてくれるだけで良いよ」

「判った、好きにやれ」

「あっ、[砂糖]が出来たら、運用は領主様の方が良いのかな?」

「出来れば街の産業にしたいな」

「判った、その時相談するよ」


「大変有意義な話しを聞けた。長らく引き留めて悪かったな」

「話せる機会を持ってくるれたから、オレも助かったよ」

「今日は泊まっていけ、勿論メンバー全員もな」

「ありがとう、伝えとく」

「また、話しを聞かせてくれ」

「こんな話しでよければ。それじゃあ失礼するよ」


 レンが出て行った部屋では、大きな溜息が聞こえていた。

「よもや、ここまで考えていたとはな」

「領主様、レンに常識は通用しねぇよ」

「少し話しただけでも、この街の問題が何個か解決するぞ」

「騎士団・魔道師団の改善、貧民街の雇用、街の活性化、新規事業、人員不足の解消、治安向上、経済発展、人材育成ってところか」

「改めて聞くと凄まじいな。しかも、出来る可能性が高く、全てが連動している」

「更に、新しいお菓子のレシピも匂わせていましたね」


「こりゃあ、早く侯爵様へ釘を差しとく必要があるぜ」

「聖女もレン絡みだったし、土産物も用意されていたな」

「あなた、レンさんを手放してはなりませんよ」

「私にはコントロール出来んよ」

「誰も出来んさ、見放されなけりゃ御の字だな」

「やれやれ、嫌われ無い様に手を打つか」

「あなたにもレンさんにも期待してますよ」

「期待に応えられる様努力しよう」


「ようレン、どこ行ってたんだ?」

「領主様に呼ばれててね。ザッハ、今日は領主邸に泊まりだと、皆んなに伝えてくれるかい」

「判った、伝えとく。豪華すぎて寝れないかもなw」

「床に寝るなよw 明日、今後の事を話そう」

「それなんだが、自警団勝手に作って大丈夫なのか?」

「領主様には了承してもらったよ、給料は出ないけどね」

「それは構わん、認めてくれりゃあ活動出来るって事だろ?」

「それも含めて明日話すよ」

「了解だ!」

 さて、明日から少し忙しくなるかな?


 翌日、騎士団と魔道師団は休みとして、最低人数で通常業務を行って貰った。

 領主様には、両方を統括する総長にゼフを任命して貰い、補助にギルとキャロを付けた。

 それぞれの団長は、今後のスキル習得を見て決定し、状況によって交代ありで進めていく。

 最初は、ギルとキャロに育成をお願いだね。


 ザッハには、屋敷に戻る様伝え、オレはギルドに立ち寄る。

「フェイさん、おはよう」

「レンさん、おはようございます。昨日はお疲れ様でしたね」

「ギルマスから聞いたのかい?オレは何もしてないケドねw」

「今日はどの様なご用件で?」

「物件を探して欲しいのさ」

「条件は?」

「ギルドのように、50人程が拠点となれる場所」

「何件か候補はありますが、見に行きますか?」

「宜しく」


 道すがら、自警団の説明をフェイさんにすると、「個人で行う規模じゃ無いですよ」と呆れられた。

 何件か見せて貰い、街の中心に近い物件を購入。

 一部修繕と改装をお願いして、屋敷に戻った。


「皆んな、昨日はお疲れ様。昨日は眠れたかな?」

「緊張して眠れませんでした」

「貴族様になった気分ですw」

「ベッドがふかふかで、食われるかと思った」

「食い物美味かったな〜」

「wwwそれぞれ堪能したみたいだね。さて、これからの話しをするよ」

 全員に緊張感が走る。


「領主様に自警団の活動は認めて貰った。給料は出ないから、自前で稼ぐ必要があるね」

 全員頷く。

「活動は、街を巡回して治安維持、ギルドの依頼、住民の手伝い、低レベルの護衛、人材育成がメインかな?それ以外は要相談。稼ぎは、ギルドの依頼達成、素材の売却、護衛報酬で賄うから、レベル上げはしっかりとね」

「判った。人数は?」

「これから増やすよ。人選と育成は任せるからな。出来れば貧民街から選んでくれ」

「良いのか?」

「あぁ、この前ザッハが集めた奴らでもいいぞ」

「あいつらも喜ぶよ」

「但し条件がある。君達にもだ」


 自警団に入る条件を伝えると、全員納得してくれた。

 入団の条件は、驕らない・蔑まない・悪用しない・秘匿するを伝える。

 つまり、スキルを手に入れた後、他人を見下すなと言う事だ。

 その上で、スキル取得方法を秘匿する為に、誓約書を交わして貰う。

 これは、騎士団・魔道師団も共通となる。


 スキルは、【身体強化】を共通として、戦闘職は【瞬歩】【スラッシュ】、魔法職は【ボール】【ウォール】、その他は生活魔法まで教え、後は独自の努力で向上させるとした。

 単独狩りは行わず、複数人でレベリング合わせて行う方針だ。


「7日後、自警団の拠点改装が終わるので、戦闘職・

 魔法職各10名、その他5名を選び訓練してくれ」

「レンが教えるんじゃ無いのか?」

「オレは、4人を連れて〔アルケラ〕に行ってくる。帰ってきたら騎士団・魔法師団の訓練だよ」

「〔アルケラ〕へ?」

「あぁ、4人には【錬金術】を覚えて貰う」

 4人には、〔アルケラ〕の〈ミリーの錬金術工房〉で修行して貰い、ミリーにも連絡済。


 ミリーには、何を企んでいると聞かれたが、街の発展とだけ伝えといた。

 ギルマスも協力的に、通信を使わしてくれたから助かる。

 まだまだ下準備だけど、着々と進んでいる。


 今後のスケジュールを伝え、報酬を渡して解散した後、オレは教会へ向う。

 実は、レティシアにあるお願いをしている。勿論、領主様にも内緒でね。

 お願いとは、教会のシスターに【魔力操作】を教えて貰っている。


 目的は、光属性が無くても【ヒール】を覚えるかの実験だ。

 この世界では、最初から属性が判る人が、属性持ちとされてきた。

 しかし【鑑定】で見ると、属性無しと思っている人にも、属性が潜在しているのが判った。

 もしかすると、訓練で属性を増やせるのでは?と考えた訳だ。

 実際、〔ブラクス〕では、火属性が潜在している職人を数名みかけた。

【鍛冶】で火を取り扱うのが多いからだろう。

 目的が明確ならば、属性を増やせる可能性が高い。

 勿論、相性もあるだろうケドね。


「こんにちは〜、レティシア居る?」

「こんにちは、レンさん。レティシアは奥ですよ」

「ありがとう、行ってみるよ」

 今では、勝手知ったる他人の家で、案内は不要になっている。


 レティシアは、怪我人の治療を行っていた。

「あらレンさん、今日はどうしたんですか?」

「少しの間〔アルケラ〕に行くから、進捗確認しに来たよ」

「レンさんはいつも忙しそうですねw こちらは全員【魔力感知】までですね。これから、魔力経路に入りますよ」

「習得は難しそうかい?」

「多分、大丈夫じゃないですか?人によって習得期間が変わる程度ですよ。最初に躓くのは【魔力感知】ですからね」

「了解、この習得方法は秘匿扱いだから、注意してね」

「皆んな、誓約書は受け入れてくれたから、大丈夫でしょう。破れば罰がありますからね」


 そう、誓約書のルールを破れば罰を設けた。

 破れば、魔力経路遮断するルールだ。

 つまり、魔法やスキルが使え無くなる。

 実は、女神様からも【誓約】スキルを貰っていた。

 契約書に【誓約】のルールを記載すると、破れば条件が発動する。

 今迄便利に使っていた魔法やスキルが、使え無くなるのは大変だろうね。

 誰も破らない事を祈るよ!教会に居るしねw


「レンさん、気を付けて行ってきて下さいね。お土産期待していますよw」

 レティシアは逞しく成長していた。

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