第34話 領主様の提案
部屋を移り領主様に説明をする。
「以前、魔法やスキルを、他の人も出来るかと質問されたよね?」
「あぁ、聞いたな」
「それをレティシアで試した所、魔法とスキルを覚えたよ」
「なんと!習得可能なのか!!」
「全部じゃないよ。素養のある魔法とスキルだけ」
「それでも構わん、何を覚えたんだ?」
レティシアが覚えた魔法とスキルを教える。
【ハイヒール】【エリアヒール】【ライトボール】【ライトカッター】【ライトランス】【ライトウォール】【クリーン】【ライト】【ファイヤー】【ウォーター】【エアー】【キュア】【身体強化】を伝えると、領主様とギルマスが固まった。
「あっ、【ディスペル】も覚えたけど、これは他の人が習得出来るかは不明」
「どうしてだ?」
「神様から貰ったから」
「「!!! 神様の神託があったのか?」」
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別件で知った神様の都合も教えると、レティシアも驚いていた。
(あれ?教えていなかったかな?)
一応口止めをして、領主様にお願いをする。
「レティシアも王族と貴族に狙われると思う?」
「間違いなく狙われるな」
「なんとかなりそう?」
「正直難しいな。だが、なんとかしないとな」
「助かるよ」
「ちなみに、レティシアの能力はどのくらいだ?」
「治療だと、切れた腕を繋げるまではできるかな?欠損は治せないけど。程度は不明だが病気・解毒・解呪も対応出来るね。」
「本当に聖女だな!」
「戦闘だと、Cランク上位かな?遠距離・近接・防御は可能だよ。まだ範囲魔法は難しいかな?」
「自衛まで出来るとは…確実に欲しがるな」
少し考えた後、領主様から提案を受けた。
「よし、レティシアの件は何とかしよう。その代わり、お願いを聞いてくれ」
「内容は?」
「我が騎士団と魔術師団を鍛え直してくれ」
「反発ありそうだね」
「やり方は任せるよ」
「判った、引き受ける。期限はあるかい?」
「1年でどうだ?」
「常駐じゃなければ良いよ」
「よし、細かな条件は後で決めよう」
「魔術師団の方は、レティシアにも手伝って貰うかな」
「教会の仕事と併用出来ますか?」
「それは大丈夫だよ」
「あっ、領主様、ついでに[砂糖]も作る?」
「「「はぁ?」」」
ギルマスが「サラッと爆弾発言しやがる」と言うと、領主様からは、「可能なのか?」と問いかけられる。
「考えが正しければ、【錬金術】のスキルで可能たと思う」
「北のように、[イモー]で作るのか?」
「いいや、[キビー]から作る。多分[イモー]は間違った情報だよ」
「そうなのか?」
「[イモー]に似た甘い野菜はあるかい?」
「[ビトー]が甘いな。北の特産品だ」
「多分それだよ。南は育て易い[キビー]が良いかな」
「可能なら是非作ってくれ」
「了解!レシピが出来たら相談するよ」
「急に[砂糖]を作ると言い出した狙いは?」
「料理やお菓子のレパートリーを増やしたいのと、今後の予定にお金が必要だからね」
「今後の予定とは?」
「まだ、ぼんやりとした計画だけど、自警団と救護院を作れないかなと」
「ほぅ、街の治安と病気・怪我の治療か」
「主に人材の育成がメインかな」
「面白そうだな、私も協力しよう。街の発展に役立ちそうだ」
「計画か纏まったら相談するよ。明日、騎士団と魔術師団に顔見せするかな」
「判った、通達しておこう」
「じゃあ、朝に顔を出すよ。それと、ギルマスにお願いがあるんだけど」
「何だ?」
「北側貧民街の顔役を紹介してくれないか?」
「スラムか、何故だ?」
「ちょっとした提案をしたいのさ」
「何を企んでいるのか怪しいが、いいぜ何時がいい?」
「ん~~明日の昼過ぎで頼む」
「判った、ギルドに来てくれ。案内する」
「助かるよ」
領主様と細かい打合せをした後、戻るとギルドの前で人集りが出来ていた。
「どうした?」
「あっ、ギルマスお帰りなさい。近くで壁が崩れて子供が巻き込まれたんですけど…」
「足が潰れてるな。スラムの子か」
「誰か助けてくれよぅ、頼むよぅ」
横たわる子供の横で周りに懇願するが、誰も手出し出来ないで見守っていた。
「その子を見せて下さい」とレティシアが声をかけるが、ストップをかける。
「レンさん?」
「オレが治すよ。レティシアは、もう一人の軽い怪我を治して」
「判りました」
人々が見守る中、【ハイヒール】をかけると、みるみる潰れた足が元に戻る。
周りから驚きの声があがった。
「兄ちゃん、姉ちゃん、ありがとう。その……」
「治療費は要らないよ。他に怪我してる子はいないかい?」
「いない。こいつと、2人で仕事探してた」
「じゃあ、気をつけて帰りな」
「ありがと〜」
2人が去った後、一時騒ぎになったが、ギルマスが収めてくれた。
「今のは良くある事なのかい?」
「あそこまで大怪我をするのは無いがな、仕事を探しに来るのは良くあるぞ」
「簡単な手伝いや!薬草の持ち込みが多いですね」
フェイさんが補足をしてくれる。
「しかし、見事なもんだな。潰れた足がみるみる治りやがった」
「その場で見ても、信じられませんでした」
「レンさん、止めてくれてありがとうごさいました」
「今はあまり目立たない方がいいと思ったからね。まあ、打算もあったしね」
「御三方、一度ギルドに入りませんか?査定も終わってますよ」
人集りを解散させて、ギルドに入ると応接室に案内された。
「してレン、騎士団と魔術師団は上手く行きそうか?」
「無理だと思うよw 冒険者のパーティーも新人に指図されたら反発しない?」
「だよなぁ、どうするんだ?」
「先ずはコテンパンにやっつける。それからかな」
「悪巧みの顔になってるぞw」
雑談していると、フェイさんが査定の報告をしに入って来た。
「御二方の査定はこちらになります」
査定額が列記された査定表を見て、レティシアは目を丸くしていた。
「[アグリカ]でも驚きましたが、ここでもこんなに貰えるんですか?」
「レティシアさん、レンさんには常識が通用しませんのでご注意を」
「フェイさん、非道いなぁ」
「レンさんは自覚が必要です」
ボソッとレティシアが「仲がいいなぁ」と言った声は誰にも聞こえなかった。
「それでは、レンさんの家を案内しますか?」
「忘れてたw お願いするよ」
「私も見に行っていいですか?」
「いいよ、どんな家を貰えたんだろう。楽しみだな」
「では、行きましょう」
「あのぅ、フェイさん」
「なんですか?」
「家と言いましたよね?目の前にあるのは屋敷なんですが…」
「ここで間違い無いですね」
「レンさんは、貴族様だったんですか」
「オレも想定外だよ…」
「何でも、没落した貴族の屋敷だったそうですよ。レンさんが宜しければ、働いていたメイドや執事をそのまま雇って頂きたいのですが…」
「領主様の温情かい?」
「返答は出来かねます」
「判ったよ、どうせ中で待機してるんだろ」
「話しが早くて助かりますw」
「ズルい笑顔だね」
中に入ると執事2名、メイド20名が並んで挨拶してきた。
「「「…「お帰りなさいませご主人様」…」」」
「これから宜しく」
「レンさんが珍しく困っています」
「慣れてないからね」
その後、レティシアを教会まで送り、屋敷に戻る。
執事長とメイド長に給金や運営を話し、屋敷の維持優先で纏まった。
両者からは、継続雇用のお礼を言われたよ。
屋敷の運用費は別口座を作り、執事長に任せる。
まぁ、お金の使い道に困っていたので良かったのかな。
翌日、メイドに見送られて屋敷を出る。
慣れていないので、ちょっと戸惑ったのは内緒。
領主邸に着くと、早速修練場に案内された。
騎士団長の顔を見ると、明らかに拒絶のオーラ噴出。
「私達に何を教えてくれるのでしょう。冒険者の粗雑な剣技は必要ありませんよ」
「オレに教わるのは嫌かい?」
「あなたの実力が判りませんのでね」
周りにいた騎士達もニヤニヤと笑っている。
全員相手にするのは簡単だが、意固地になられても面倒臭いので、1つの提案をした。
「では、騎士団で一番弱い方を預けて貰い、30日後に試合をしようか。5人対戦で3勝したほうが勝ち。負けたら身を引くよ」
「後の4人は?」
「市民から募るよ。オレとCランク以上の冒険者は参加しない」
「それで勝てるとでも?」
騎士団長に嘲りが見える。
「騎士団は自身が無いかい?」
「なっ!」騎士団長の顔が赤くなる。
「受けて立ちましょう。こちらが負けたら、従いましすよ」
「実際の剣やスキルも使用でいいかな?ハンデいる?」
益々顔が赤くなる騎士団長と、怒りを顕にする騎士団を見ると挑発成功。
入団したばかりの新人を呼び出し、オレにつかせた。
同じ様に、地下訓練場へ行き、魔術師団長と話す。
こちらも同様に挑発し、未熟な新人を借り受ける。
予想通りの行動に、"やれやれ"と思いながら、領主様にせつして了承を得る。
領主様は興味津々で、「楽しみにしてるよ」の一言。
2人を連れて屋敷に戻った。
騎士団からは15才の少年で、名前は【ギル】。
魔術師団からは15才の少女で、名前は【キャロ】。
どちらも今年入団した新人だ。
お互い自己紹介して、明日から訓練を行う。
訓練中は、オレの屋敷に滞在とした。
さて、午後からは貧民街に行きますか。




