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第29話 繋がり

 後の尋問は、ギルマスにお願いして部屋を出た。

「レンさん、本当にありがとうございます。」

「以外と治療する機会が無くて、時間が掛かったよ」

「最後のアレは非道いですけどね」


 程なくして、ギルマスが部屋から出てくる。

「どうだった?」

「驚くほどスムーズだ!尋問に使えるなw」

「毒を投与して、治すのも効果的かな?」

「その発想が恐ぇよ!」


「レン、〔サーエンド〕の一斉取り締まりは知ってるか?」

「北の教会・アグー商会・ポケ子爵が捕まったとこまで関わってたよ」

「暗躍していた組織の壊滅は?」

「それは知らない」

「その組織の生き残りだ。依頼中に組織の壊滅を知り、〔ブリンク〕に逃げてきたそうだ。お前さんに恨みがあり、依頼を受けたと自供した」

「なるほどね〜、でもラグー男爵はどうしてだろう」

「ラグー男爵は、アグー元商会長の兄だよ。今回の粛清には、引っ掛から無かったがな」

「あら〜繋がっちゃったね」


「で、どうする?レンが持って来た証拠品に、今回の依頼書があったぞ」

「それは保管しといて。こいつらを捕まえた後、動いた人物がいるんだ」

 地図に✕印を付ける。

「ここ何か判る?」

「たしか、ラグー男爵が所有する空き家だな。思い出の家だから、そのままにしてると記憶している」

「ちょっと行ってくる」

「無理するなよ」


 家に着いたが、人の居る気配がしない。

 しかし、光点は動いた形跡がない。

(もしかして、地下にいる?)

 周りを確認すると、川に下水道へ繋がるトンネルを見つけた。

(ここから入れるかな?)

 方向を確認しながら、空き家に向うと、下水道に見張りが立っている。

(ビンゴかな!)

【ネット】で捕らえ、素早く気絶させた。

(さて、何をしてるのかな?)


 梯子をのぼり、そっと覗いて見ると、初老の男性が箱から書類を出している。

(隠し部屋だろうね。騒ぎに気づいて隠しに来たかな?)

 集中しているのか、後ろから近づいても気付いていない。

 覗くと、真っ黒な内容の書類。

 老紳士共々回収さてせ頂きますか。

 とりあえず拘束して、ギルマスに応援を要請。


 証拠品がある為、憲兵隊に引き渡そうと思ったが、ギルマスからストップがかかる。

 どうやら関係者リストに、憲兵隊の名前が有るらしい。

 憲兵隊長に連絡を取り、ギルドで打合せを行う事とした。

 証拠品を確認すると、出るわ出るわ悪事の数々。

「憲兵隊もグルなら隠せるわな」

「面目ない。逃げられ無い様に、今から捕まえに行くぞ!」

「じゃあ、頑張ってね!」

「「待てぃ!!」」

 "ガシッ"と両肩を掴まれた。もう夜だよ。


 結局手伝わされて、終わったのは明け方。

 皆んな目が血走ってるよ。

 ラグー男爵は、喚き散らしてたけど自業自得。

 私怨を晴らそうとしなければ、隠せてたのに。


 朝から〔ブリンク〕の領主様に呼び出された。

 ギルマスと憲兵隊長と一緒に説明して、感謝されたが眠いや。

 今回の件で下水道の一斉調査が決まったみたい。

 余計な仕事増やしてゴメンよ。


 工房の依頼は中止となったが、報酬は貰えるらしい。

 鐘2つまで寝る事にして、レティシアは教会で治療の手伝い。おやすみなさい。


 昼過ぎに起きて、レティシアの様子を見に行くと、教会の前に人だかりが出来ていた。

 近くの人に話しを聞くと、「聖女様が来てるから、見に来たんだ」と教えてくれる。

(聖女様か。どんな方なのかな?)

 中を覗くとレティシアの治療している姿が見える。

 隣の人に「聖女様はどこにいるの?」と聞いたら、「あそこで治療してるじゃない」と返ってきた。

 詠唱も無く、非道い傷も立ち所に治してしまう姿を見て、「聖女様が来た」と噂が立ったようだね。


 教会の裏側に周り、レティシアの関係者と告げる。

 院長に寄付金を渡し、レティシアの状況を聞いた。

「シスターレティシアが治療をしていると、腕半分以上千切れた若者が、担ぎ込まれたんです」

 ダンジョンで魔物にやられたらしい。

「シスターレティシアが、そっと手を当てると一瞬で治りました。」

(【ハイヒール】を上手く使えたんだね)

「近くで見ていた人達が、「詠唱も無く一瞬で治った!奇跡だ!!」と言い出して‥‥」

(その時の光景が目に浮かぶよw)

「人伝で噂が広まり、多くの方がひと目見ようと集まり、収集つかなくなっています」


 幸い怪我をしてる人は少なく傷も浅い為、一度レティシアに休憩を取らせる事にした。


「聖女様、お疲れ様ですw」

「レンさん、どうしましょう。収集つかなくなっているんですが‥‥」

 少し考えて、レティシアと院長に提案をする。

「レティシア、広い範囲に【ヒール】出来る?」

「多分、10人ぐらいの範囲でしたら、出来ると思います」

「じゃあ、それを最後で旅立つ事にしようか」

「頑張ります」

「院長は感動してる人達に、女神様へお祈りする様伝えてね」

「判りました」

 段取りを確認して実行に移る。


 レティシアは、集まった人々に別の街へ行く為、次の治療が最後と伝えた。

 怪我をしている人を前に集め、祈るポーズをとる。

 最後に演出として、「神のご加護を!」と唱え、【ヒール】の範囲を広げて行くと、全ての怪我が無くなった。

 最後に一礼し、少しよろけた演技をして退場。

 入れ違いに院長が出てきて、「皆様、奇跡に祈りましょう」と締める。

(その内、聖女様の話題も落ち着くだろう)

 レティシアは【エリアヒール】を覚えていた。


 教会の裏手からギルドに戻ると、目の下の隈が取れていないギルマスが指示をしていた。

(寝られなかったか。ご愁傷さま)


「ギルマスお疲れ様、今後の予定伝えに来たよ」

「おぅレン、噂になってた聖女様はレティシア嬢ちゃんか?」

「だよ、教会へ行ったら大騒ぎになってたw」

「お前さんの周りは、騒動が絶えないな。これからどうするんだ?」

「ちょっと聞きたい事があるから、ゴブルさんの工房へ行って来るよ。2日後帰る予定してる」

「判った、気を付けてな。領主様から報酬出るから振り込んどくぞ」

「ありがとう、頼むな!」


「工房で何を聞くんですか?」

「聞き慣れない鉱石が出たから、用途を聞きたくてね。確認したら、帰る準備しようか」

 買う物の確認をしながら、工房へ向かった。


「今日は〜。トリ、親方居る?」

「あっ、レンさん、レティシアさん今日は。親方は奥に居るよ、呼んで来るね」

「いいよ、聞きたい事があるから、こっちから行くよ」

「判った、親方は右奥の部屋で休憩してる」

「ありがとうな」


「親方、ちょっと良いかい?」

 奥の部屋をノックすると、返事があったので中に入る。

「おぅレン、この間は面倒かけたな。今日はどうした」

「この前、ダンジョンで見慣れない鉱石が出たから、親方なら判るかなと思ってさ」

 アイテムボックスから[聖鉱石]を取り出し、親方に見せた。

「[聖鉱石]だな。光属性に親和性が高く、アイテムや武器に使うと、光属性魔法の威力が上がるぞ」

「そりゃ良い、レティシアの武器に使えるな」

「今、どれだけあるんだ?全部出して見ろ!」


 アイテムボックスから残りの[聖鉱石]を出すと、親方から提案を受けた。

「レン、迷惑掛けたお詫びに、武器を作ってやる!嬢ちゃんの武器は杖か?ハンマーか?」

「杖だけど、良いのかい?2日後帰るんだが」

「なあに、明日の夕方には出来るさ」

「なら、お願いするよ。料金は幾らだい?」

「料金は要らんよ、お詫びだからな」

「いやいや、ちゃんと支払うよ」

「なら、余った[聖鉱石]を売ってくれ。それならトントンだ!」

「親方が良いならそれで良いよ。レティシアは杖で良いかい?」

「杖で良いですが、作って貰って宜しいのですか?」


 オレは頷き、親方に1つお願いを言った。

「親方、聖女様が持つ様に、派手な杖をお願い!」

 親方はニャっと笑い、「任せとけ!!」と意気込んだ。

「噂の聖女様にお似合いの1品を楽しみにしとけ!」と悪ノリしてくれたよw

 レティシアは顔を真っ赤にしていたね。

 杖に装飾する宝石も数個渡し、工房を後にした。


「非道いですレンさん。からかうなんて!」

「良いじゃないか。レベルも上がったし、武器の切り替えタイミングだと思うよ」

「そうなんですけど…新しい杖は嬉しさと不安が半々です」

「楽しみだね!さて、旅の備品補充に行こうか」

「そうですね、皆んなにお土産も買わなきゃ。乗り合い馬車も予約しますか?」

「いいや、帰りは〔アグリカ〕まで、乗り合い馬車を使わないよ」

「えぇ!徒歩ですか?時間がかかり過ぎますよ」

「明日、約に立つスキル教えてあげる」

「また、スパルタですか?ちょっと怖いですね」

「大丈夫!今覚えている中での応用だから」

「スキルはそう簡単に、覚えられる物では無いのですケドねぇ」

 レティシアは呆れた様に空を見上げた。

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