第26話 レティシアのお披露目
朝は眠いね。
3日目にもなると、【逆結界】の討伐も単調になって来る。
ピックが、「最早、討伐では無く作業だな」と呆れている。
ゲイルは、欠伸をしながら倒してるね。
レティシアは昨日の事もあり、レベル上げに勤しんでいた。
朝食後、軽く確認を行う。
明日には〔ブラクス〕に着く予定。
今日の昼過ぎに、山脈沿いの街道を抜けるみたいだね。
これ以上、魔物を狩っても値崩れする可能性がある為、狩りも最小限で進み、早めに野営地へ行き、素材の分配をする事となった。
夕方より少し早い時刻で野営地に到着。
大きなシートを広げ、分配を行って行く。
レティシアから、「あれだけの魔物を、解体するのですか?」と質問された。
「まぁ、見てりゃ判るぜ」とゲイルがニヤける。
「じゃあ、順番に出すぞ。先ずは〈ホワイトゴート〉からな」
「オレが記入して行くぞ」とピックが準備する。
次々と出される素材を見て、レティシアが驚き、オレを見る。
【自動解体】で素材にしたのを、ゲイルが記録して行く。
ガディさんが、「いつ見ても【自動解体】は信じられませんな」と感心する。
「【自動解体】なんてスキル、初めて聞くんですが」
「間違いなくレアスキルですね。前回ご一緒した時、専属の声を掛けて、振られましたよw」
「【結界】といい、【索敵】といいレアスキルだらけじゃないですか」
「一応、内緒にしときましょうねw」
「‥‥はい」
出して、記録して、仕舞ってを繰り返す事数刻。
「これが最後だね」と〈ワイバーン〉を出す。
「今回も、とんでもない量だな」
「ピック、武器と防具新調しようぜ!」
「私が貰うのは、烏滸がましいような‥」
「私まで恩恵に預かり恐縮です!」
一応、ガディさんにも〈カラードワイバーン〉〈クリスタルゴート〉を見せる。
「レンさんが出すレア魔物は、傷が無い様に見えて、極上物ですな。特に〈クリスタルゴート〉は、見事としか言いようがありません」
「改めて見てもすげぇな」
「領主様の、頭を抱える姿が見えるようですw」
「違わねぇw」
「〈カラードワイバーン〉も高値が付きそうですな、オークションに出すなら、入金は30日後位ですかね」
「あっ、〈カラードワイバーン〉は五等分にするよ」
「えっ、私は狩りをしてませんよ」
「皆んなのOKは貰ってるよ。〈クリスタルゴート〉の手間賃込みだねw」
「本当に、レンさんは欲がありませんな。ありがとうございます」
「オイラも言ってみたいよ‥‥」
夕飯には少し早いので、レティシアの訓練を行う。
今日は、イメージを高める訓練を行う。
先ずは[槍]のイメージで、魔力ボールを細長く変化させる。
両端を摘んで引っ張るイメージでも、真ん中を握って伸ばすイメージでもOK。要は、「細長く出来れば成功だよ」と説明する。
形を変えるのは、自分か知っている物の形状にするのが一番早い。
最初は地面に絵を描いてもいいかな?
少し時間は掛かったが、細長く変化させる事に成功。
何回か飛ばす練習をしてから、【光属性】を付与させた。
途中で、形状変化→属性付与の流れが、属性付与しながら形状変化に変わる。
ステータスを見ると、【ライトランス】が追加されていた。
後ろから、「「「おぉ~」」」と聞こえる。
いつの間にか、3人が訓練を見に来たよ。
「レティシア、せっかくだからお披露目しようか」
「恥ずかしですけど、人前で使えなきゃですね!」
「皆んなを驚かせようぜw」
「皆さん、少し離れていて下さいね」
「どれどれ、オイラが見てあげよう!」
「レティシア、威力も知りたいし、ゲイルを的にしようか」
「良いですね、ゲイルさんお願いしますね」
「スンマセンでした~」とピックの後ろに隠れる。
レティシアは「さて、見てて下さいね」と岩に向い【ライトボール】を放つ。
岩はびくともしないが、"ドガッ"っと威力のある音を響かせる。
「レ、レティシアさん、それは無詠唱ですか!?」
「ガディさん、信じられます?この期間中の訓練だけで覚えたんですよ!」
「レティシアは、【ヒール】を使えてたからね。覚えるのは早かったよ」
「それにしても‥‥」
「次【ライトランス】出せるかい?」
"ドガン!"と少し岩が砕ける。
最後に【ヒール】も遠くに放つ事が出来た。
拍手にお辞儀を返して、お披露目終了。
練習と合わせて、魔力を使った為、少し休憩させる。
「レティシアさん、おめでとうございます」
「レティシア、凄いな」
「オイラに向けて撃たないでね!」
「レンさん、やはりこの訓練方法は、今迄の魔法理論をひっくり返しますよ」
「確かに、レン以外でも、習得出来た証拠だもんな」
「まだ、検証は必要でしょうが、間違い無く詠唱は古くなりますね」
「初期の習得には、詠唱の方が、分かり易いかも知れませんよ」
「確かに、訓練は応用みたいでしたね」
「まぁ、今は詠唱が主流だよ。さて、夕飯を作るかな」
今日は、無詠唱習得のお祝いで、リクエストを聞いた。
やっぱり肉が好きらしく、[ステーキ][唐揚げ]をお願いされた。
(よしっ、牛・鳥・豚で、3種類の[ステーキ]作るかな)
[塩][胡椒][ニンニー][トウガラー][ソイ]を使い、味に変化を付けて焼く。
[唐揚げ]も[塩][マヨネーズ][トウガラー][ソイ][ケチャップ]で味変を楽しもう。
相性のいい[フライドポテト]と[キャベー]の千切を添え、[パン][シチュー]を加えれば完成。
同じ[ステーキ][唐揚げ]でも、調味料で味が変わるのには感心された。
ガディさんは、一生懸命メモを取っていたね。
デザートは少し凍らせた[ブッド]で締めた。
少し食休みしてから訓練再開。
「レティシア、【ヒール】を使う時、何か考えてる?」
「えっと、治れ!血よ止まれ!ですね」
「じゃあ、これからは、繋げる・塞ぐを考えてみて」
「繋げる・塞ぐですか?」
「そう、簡単に説明するよ」
簡単な絵を地面に描いて説明する。
血管が切れて血が出る。
筋肉・健・神経が切れて動かせ無くなる。
皮膚・脂肪が切れて傷が出来る
「血管・筋肉・健・神経を繋げる、皮膚・脂肪を塞ぐイメージで【ヒール】を使ってみて」
「判りました、やってみます」
意気込んでいるけど、地面の絵にブツブツ言って、イメトレしてる姿はシュールだよ。
「魔物捕まえて練習してみる?」
「嫌ですよ、魔物が怯えて私を見るんですよ?討伐出来なくなるじゃないですか!」
「www魔物に怯えられるシスターは、話題になりそうだねwww」
「笑い事じゃあ無いですよ」
プンスカするシスターを見ながら(実際の使用どうしようかな?)と考える。
「レティシア、1つ提案があるんだけど」
「何ですか?」
「【ハイヒール】を覚えるのが間に合わない時、少し〔ブリンク〕で実践を積まないか?」
「どうやって?」
「同レベルの臨時パーティー募集か、ヒーラー募集のパーティーと組んでダンジョンに行くのさ」
「ダンジョンですか、少し不安ですね」
「大丈夫。オレがフォローするよ」
「レンさんもパーティーに入るんですか?」
「オレはランクが離れているから、パーティーに入らずに後ろから離れてフォローするよ」
「【ハイヒール】を覚えるのに必要なんですか?」
「実践の方が数をこなせるからね。今回、予想外に【ヒール】を使う場面が無かったよ」
「教会の事もあるので、余り長くは出来ませんが、数日なら大丈夫ですよ。戦闘に不安はありますが」
「じゃあ、【ウォール】を覚えようか」
「【結界】は無理ですか?」
「【結界】は全方位の【ウォール】みたいなものだから、魔力消費が桁違いだよ」
「【ウォール】教えて下さい」
硬い金属の板をイメージさせて、魔力ボードを作る。
属性を付与させて、何回か練習したら完成!
慣れたら湾曲させて、威力を後ろに逸らす形状を勧めた。
(ハニカム構造や積層構造は、まだ難しいかな?)
「レンさん、教えて貰って何ですが‥‥」
「何?」
「こんなにポンポン、新しいスキル覚えるのは変です!」
「えっ、覚えたよね? だから覚えたレティシアが、変て事だねw」
「あれ?‥‥違います!教えるレンさんがです!!」
「www、後は慣れるだけだね。治すイメージの訓練も頑張ろうな」
「遊ばれてる気しかしないです」
今日も理不尽に1日が過ぎていった。




