第25話 皆んなホクホク
帰りも、お金になりそうな魔物は狩って行く。
〈スライム〉や〈マイマイ〉〈ロックリザード〉はパス。
夕方より少し早いが、今日の狩りは終了。
成果は充分以上だった。
ガディさんと合流して、野営地に向う。
「して、成果はどうでしたかな?」
「今回も大量だぜぃ!」
「レアも2体ゲット出来たしな」
「自分の力量を間違えてしまいそうでした」
「詳しい内容は、野営地に着いてから確認しよう」
待ちきれずに「レア魔物だけでも、教えて下さいよ〜」とガディさん。
「聞いたら後悔するかもだぜ」
「そうそう、オイラも初めて見た」
「綺麗でしたね〜」
「勿体ぶらずにお願いします」
「〈カラードワイバーン〉の赤に、〈クリスタルゴート〉の完全体だよ」
「く、く、〈クリスタルゴート〉の完全体!!」
「驚くよな、目の前で見ても、信じられんかったぜ」
「私が見た事のあるのは、小さな〈クリスタルスネーク〉ですね。偶然、乱発したFランクの魔法が当たり、精霊を追い出せたようですな」
「凄く珍しいですよね!」
「珍しいどころか、王家への献上品レベルですよ」
大人しくなったゲイルが「売れねぇんじゃね?」と言い放つ。
献上品レベルだと、ギルドでは高額過ぎて買取り出来ない。
オークションもあるが、出品者がバレれば、狙われる可能性が高い。
「野営地で話し合いましょう。」となった。
少し早く野営地に着いたので、野営準備の後に、狩りの分配を話し合う。
狩りの素材は4等分。余る素材はガディさんに渡す。
ガディさんが欲しい素材は、格安で買取りとした。
「今回も良いのか?」
「オイラは文句無し!」
「私は何もして無いんですけど‥‥」
「私にまで配慮して頂き、ありがとうございます」
と合意して貰った。
「この後の素材も合わせて、〔ブラクス〕直前で分けようか」
皆んな頷いた。
「さて、〈カラードワイバーン〉と〈クリスタルゴート〉なんだけど‥‥」
「〈カラードワイバーン〉はオークションがオススメですよ。ギルドで手続き代行してくれますし、売上金も分配してくれますよ。まぁ、代行料はかかりますが」
「売る伝手も無いしな、賛成だ!」
ピックの言葉に皆んな頷く。
レティシアが、「〈クリスタルゴート〉はレンさんの判断に従いますよ」と言う。
皆んなも同じ考えみたいだね、全員オレを見る。
「献上品にするか。ガディさん、領主様を通じて献上してくれるかい。全員の名前でね」
「おいおい、俺達見てただけだぞ」
「それは、気が引けますね」
「オイラはレンに従うよ」
「1人で目立ちたく無いだけだよ、皆んなで注目を分かち合おうw」
ボソッとガディさんが呟く。「無理だと思いますケドねぇ」
「報酬が無くなるのは申し訳ないね」
「他の素材だけでも、大儲けだぜ!」
「ウンウン」
「私は、魔法を習っていますよ!」
「この献上品で、領主様の御用達になれそうですね!」
(うん、大丈夫そうだね)
「あっ、そうだ。ピック、ゲイルこれ要る?」
「何だ?」
「何?」
「〔アルケラ〕のダンジョンで見つけたやつ」
「!![マジックバッグ]じゃあねえか」
「レン、売ってくれ!!」
「お金はいいよ、持ってきな。オレは必要無いからね」
「それと、ガディさん、レティシアにはコレ」
「[ライ]の調理法と[おにぎり]のレシピじゃあないですか!」
「言い値で買わせて頂きますよ!」
「あげるよ、思い付きのレシピだからねw、[ライ]の調理法は少ないから、今なら安く買えるんじゃない?」
「いやはや、レンさんには、頭が上がりませんな」
「ありがとうございます。孤児院の食費が助かります。他の教会にも教えて良いですか?」
「良いよ、余り広がると[ライ]の価格が上がるから、気を付けてね」
「レン、本当に良いのか?[マジックバッグ]やレシピで一財産作れるぞ」
「ホントに欲がねぇな」
「レンさんこそ、神様みたいです」
「改めて、知り合えて良かったと思います」
「ぶっちゃけると、お金は使い切れない程あるんだよ。今も継続して入って来るし、領主様から家も貰えるしねw」
「レン、オレの嫁さんになってくれ!!」
ゲイルの冗談に笑いが起こる。
(目が笑って無い?冗談だよね?)
皆んなホクホク!!
夕飯は、レティシアとガディさんに、[ライ]の炊き方を教える。
レシピだけだと、解らない部分を説明する。
この世界では、炊く、揚げる、蒸す、和えるが浸透してないので、初めての調理法は難しいらしい。
「火加減・水加減と炊く時間に慣れれば簡単だよ」
「ありがとうございます。帰ったら試してみます」
「あっ、ガディさん、[おにぎり]の具材を工夫すると、違う味になるよ」
「売りが落ちた時の、対応が出来ますな。参考になります」
「中に入れるだけじゃなく、混ぜ込んでも良いよ」
みじん切りにした野菜と肉を、濃い味付けで炒め、炊いた[ライ]に混ぜ込む。
「後はにぎるだけでOK!」
「工夫次第で色んな種類が作れるんですね」
「これだけでも価値のある内容ですぞ」
「レンさんて、本当に何者ですか?」
「ん?一介の冒険者だよw、料理も魔法も工夫次第!」
「参考に‥‥なるのかなぁ」
今日の夕飯は、[おにぎり]色々、[卵焼き]、[唐揚げ]、[具沢山シチュー]を出した。
唐揚げは、[マヨネーズ][ソイ][トウガラー]で味変したら争奪戦になりそうだったw
夕食後は魔法の訓練。
【魔力操作】はもう少しって所かな?
外部の移動がゆっくり出来る様になっていた。
「内部、外部共に高速で動かせれば、魔法の発動が早くなるよ」と見本を見せる。
一瞬で動く魔力ボールに溜息をついていたが、頑張って貰おう。
「【魔力操作】は継続するとして、今日は飛ばしてみようか」
「飛ばす‥ですか?」
「そう、指先に魔力ボールを出して見て」
「こうですか?」魔力ボールを出すのは早くなっている。
「それを向こうの木に、指をさすイメージで放って見て」
「えぃっ!」
魔力ボールは、木までの真ん中で消える。
「届きませんでしたね」
「上出来、上出来。指から離す事が出来たからね、続けてやってみて」
「てえぃ!」「そりゃ!」「届いて!」「うにゃ!」
掛け声で笑いそうになる。
「魔法はイメージが大事だよ。魔力ボールに魔力を込めて、木に届くイメージをしっかり持ってみて」
「といゃ!」
"ポヒュ"っと可愛い音と共に、魔力ボールが木に届く。
「やりました!届きました!!」
「おめでとう。それが無詠唱だよ」
「へっ?」と間の抜けた声を出す。
「えっ、えっ、無詠唱?」
「そうだよ、詠唱しないで魔力ボールを放ったよね。魔力ボールに、属性を付与したら魔法さ」
レティシアはまだ混乱している。
オレの考えで、詠唱は補助の役割と推測。
魔力を溜める、属性を付与する、魔法を放つ(発動する)の動作を、イメージし易い詠唱で補ってるのでは?と考えた。
魔力経路や【魔力操作】の熟練度が低く、詠唱がイメージし易い為、定着したのだろう。
レティシアに話すと、「魔法理論がひっくり返りますよ」と言われた。
実際、レティシアが習得出来たからね。
「検証が必要ですね。今は内緒にしておいた方が良いかも」
「判ったよ、さあ続けようか」
「更にやる気が出ました。頑張ります!」
まだ安定して無いが、徐々に精度も上がるだろう。
最後の数発は、【光魔法】を付与して【ライトボール】を習得した。
「ちなみに、【ヒール】も飛ばせるから、遠隔の回復も出来るよ」と助言する。
「レンさん、訓練の影響か、【ヒール】の発動に詠唱が間に合いません」
「やっぱり詠唱は、補助的な役割なんだね。詠唱要らないでしょ」
「結構、衝撃ですよ。今迄詠唱が、正しいと思っていましたから」
「まだ、先があるからね。」
「先ですか?」
「そう、魔力を変形させたり、同時に出したり、威力を高めたりとね」
オレは全ての指先から、魔力ボールを同時に出したり、鳥や剣の形にしたり、圧縮したりして見せた。
「魔法はイメージで、色んな変化を付けれるけれど、基本の【魔力操作】が、お粗末だと差が出るよ」
「はぁ、まだまだ先は長いですね」
「毎日の積み重ねが大事さ。それと、レベルアップによる魔力量もね」
「だから、討伐にも誘ってくれたんですか?」
「最低Cランクぐらいのレベルは欲しいかな?今、レベル幾つ?」
「この依頼期間で38になりました。10もレベル上がっんですよ。未だに信じられません」
「順調だね、目標は42以上だからね」
「42!Cランクレベルじゃあないですか」
「後2日でいけるかな?」
「‥‥‥」
「頑張ろうねw」
「‥‥はぃ」
レティシアは、常識が音を立てて、崩れる幻覚を見た。
明日は総仕上げだね。【ハイヒール】覚えられるかな?




