第24話 底が知れねぇ
夜明け前に4人で【結界】の端へ向う。
「上手くいってると良いけど」
3人は訳の判らないまま付いてくる。
目的の場所に着くと、そこには数匹の魔物が集まっていた。
「上手くいったみたいだね」
「レン、説明してくれ、なぜ魔物が集まっている?」
「こういうことさ」
メイン【結界】に、もう一つ小さな【逆結界】をくっつける。
小さな【逆結界】は外から入れるが、中から出る事は出来ない為、【逆結界】に魔物が集まっている。
「メインの【結界】に入れないから、ここから安全に攻撃出来るよ」
「エグぃ罠だな」
「野営が安全で、魔物討伐付きなんて、考えつかねぇ」
「信じられない、野営が一番危険なのに‥」
呆然とする3人に声をかける。
「後2箇所あるから、チャッチャとやっちまおう」
「「「後2箇所!」」」
ん~~連携が取れてるねw
オレが【ウォーターニードル】で動けなくして、止めを3人に刺させる。
経験値と素材が手に入って、ホクホクだね。
まだ、弱い魔物だから簡単だった。
「前回も、野営の常識が吹っ飛んだのに‥」
「レンの底が知れねぇ」
「これはBランクだから?レンさんだから?」
「「レンだから!!」」
「さて、上手くいったから、朝飯作ろ」
一同は諦めの溜息をついた。
朝食の時に、ガディさんへ報告。
「寝てる間に魔物を集める罠ですか。とことん常識外れですね」
「朝の収穫だけで、〈ホーンラビット〉✕12、〈ゴブリン〉✕7、〈ハンマーヘッドボア〉✕4、〈ロックアームベア〉✕2、〈ゴールデンフォックス〉✕2 だぞ、信じられん成果だよ」
「まぁその分、恩恵に預かれますから、良しと考えましょう」
「レティシア、レンと一緒の依頼中は、常識が通用しないぜ」
「少し判ったような気がします」
「今日は〔アグリカ〕を通過して、山脈沿いの街道に入りますので、討伐お願いしますよ」
「任せとけ。レンのお陰で楽出来るしな!」
「楽‥なんですか?」
「山脈沿いの街道に入れば、嫌でも判りますよw」
「非常識な常識に慣れるからなw」
「非常識な常識ってなんですか!」
オレを他所に会話が進んでいった。
昼過ぎ〔アグリカ〕を抜け、山脈沿いの街道に入る。
「では、【索敵】を使うよ。見つけた魔物はどうする?」
「近くと、高価な魔物は狩りますか。ゴートの毛皮は欲しいですね」
「了解!右遠くに〈ゴブリン〉3、左後方〈ホーンラビット〉2、左遠くに〈ハンマーヘッドボア〉1、右前方遠くに〈ブラックゴート〉3」
「前方の〈ブラックゴート〉に決まりだな」
「しゅっぱ〜つ」
「レティシアは魔力経路の維持だね、近くなったら声掛けるよ」
「‥‥判りました」
数刻後、〈ブラックゴート〉発見。
「1匹はオレとレティシア。他2体は任せる」
「りょ!」
瞬く間に狩りは終了。
レティシアは、【索敵】の効果に驚いていた。
「やっぱ、魔物を警戒しないと楽だよな〜」
「不意をつけるしな」
「今日も順調でしたな。あれだけ狩りを行なっても、通常と同じ位のスピードですよ」
「レンの[マジックバッグ]様々だぜ」
「今回の依頼も幸先良いね〜」
「【索敵】って凄いですね。魔物の位置が判るなんて‥‥」
「一応、レアスキルだから、秘密だよ」
「レン、隠す気あるのか?」
「自分から、ぶっちゃけてますからねw」
日中は、それぞれ欲しい素材をメインに狩りをした。
レア魔物は〈シルクディア〉〈ホワイトウルフ〉1匹づつゲット出来たね。
野営地に着いて夕食の前に、【クリーン】を掛ける。
一瞬で綺麗になるのは便利だよね〜
夕食はリクエストのあった[ステーキ]に[パン][スープ][サラダ]を付け、最後に[シャーベット]を出す。
ガディさん以外は[シャーベット]を初めて食べて、喜んでくれたよ。
夕食の後は、レティシアの続き。
魔力経路が増えたのを確認して、【魔力操作】の熟練に入る。
ちなみに、魔力経路の確認は、色んな所から魔力ボールを出す事で確認出来るよ。
頭の先・額・耳・肩・掌・指先・肘・膝・足の甲・足の指先・背中・胸といった感じ。
移動中の努力が目に見えて良いよね。
【魔力操作】は魔力ボールの移動速度を上げる訓練だ。
右手から左手、その後頭にと、魔力ボールを素早く移動出来ればOK。
最初はゆっくり内部から移動。慣れば外部からの移動が出来れば上出来。
レティシアは「ウン、ウン」と唸りながら苦戦してたw。
笑っちゃ駄目なのは判るんだけど、不思議なポーズをされると、どうしてもねw。
今日だけでもレベルが3上がったようだ。
明日は1日狩場で過ごす予定。
少し【ヒール】を使わせてみようかな?
朝早くに【逆結界】を確認。今日はガディさんも見に来たよ。
魔物の数に驚き、ひとしきり感心してた。
朝の収穫は、〈ゴブリン〉2、〈ホワイトゴート〉4、〈ブラックゴート〉6、〈グレイウルフ〉8、〈ロックスライム〉7、〈スクリューホーン〉5を討伐。
日中の魔物数と、余り変わらない数が狩れたね。
レティシアは非常識の常識を受入初めていた。
朝食は簡単に[ホットケーキ]と[ジュース]。
[ジュース]を冷やすと、更に美味しくなって喜ばれたよ。
いよいよ狩場に到着。街道を離れ、山脈を登って行く。
ガディさんは馬車でお留守番。麓で待って貰った。
中腹位までなら、離れても【結界】を維持出来る範囲だから安心さ。
【索敵】で魔物を探し、2人組みで討伐して行く。
最初はピックとゲイルに討伐を任せ、オレはレティシアのスキルアップを手伝う。
手順は簡単。【ネット】で捕まえた魔物を、オレが攻撃して、レティシアが回復するだけ。
しかし、3匹程で罪悪感に駆られ、普通に討伐したさ。だって、魔物が怯えるんだぜ。
お昼頃一旦中止して、食事を取る。
昼飯は[おにぎり]だ!
[ライ]を鍋で炊くのに成功した。
中身は肉の細切れ。海苔は無く塩を振って完成。
ガディさんと御者さんにも、渡しておいた。
「[ライ]も、こうして食うと美味いな」
「〔アルケラ〕で食ったやつは、ドロドロして味無かったよな」
「それはそれで、味付けすると美味いんだけどね。消化に良いし」
「こっちの[おにぎり]だっけ?腹に溜まるのが良いや」
「[ライ]って、最近出来た食材だよね。もうこんな料理出来てるの?」
「ん?多分これが初めてかもねw」
「「「!!」」」
「前にも言ったけど、レンだからで良いや」
ゲイルは考えるのを止めた。
狩りを再開すると、【索敵】に名前の解らない魔物を発見。
注意深く近づくと、浮いている岩がみえた。
「[ロックエレメントコア]って知ってる?」
「精霊系の魔物だな。反属性の魔法が無いと苦戦するぞ」
「火↔水、風↔土、光↔闇ですね」
「えぃ!」
【ウィンドカッター】を放つと、2つに割れて消えた。
「やっぱり無詠唱は反則ですね。発動のスピードが段違いです」
「レティシアも無詠唱出来るよ?今の訓練が上手くいけばね」
「本当ですか!!」
「うん、上手く行けば早くて明日かな?元々【ヒール】は使えてるしね」
「頑張ります。更にやる気が出ました!」
エレメントコアは、[精霊石]を落とす。
[精霊石]は[魔石]と同様に、魔道具の燃料になる。
「ここからは、エレメントコアが多いね」
「俺達は苦手だな。レン、任せた」
「了解!闇出てきたらレティシアが狩る?」
「遠距離攻撃出来ないので、パスします」
「じゃあ、サクサク進みますか」
オレが倒し、皆んなが[精霊石]を拾う。
「「「レン(さん)、全属性使えるのか(ですか)?」」」
「あれ、知らなかったっけ?」
「ホント、底が知れねぇ‥」
進んで行くと、【索敵】に黄色の光点を発見。
「皆んな、レア魔物見つけた。慎重に行くよ」
「よっしゃ!」
ゆっくり近づくと、キラキラ光る魔物が見えた。
「〈クリスタルゴート〉だな。捕まえるのは難しいぞ」
聞くと、少しでも傷が付くと粉々に散ってしまうらしい。
無傷で捕らえ、反属性の魔法で精霊を追い出せば、形を崩さず確保出来る。
形は、周りの魔物に似せるので、様々なんだって。
今回の形はゴートだね。
「砕けた欠片集めんの、大変なんだよな〜」
「出来るだけ、大きい欠片拾うか」
「ん? そのままの形で捕らえるのは無理なの?」
「無傷で捕らえるのも難しいし、反属性の魔法でも傷が付いちまう。」
「とにかく傷を付けなきゃ良いんだよね。任せて!」
オレはゆっくり近づき【ネット】で捕獲し、反属性の【ウィンドボール】を放つ。ボールのイメージはゴムボール位に調整。
魔物に当たった瞬間、身体全体が光りだす。
(失敗した?)と思ったが、光が治まっても形は元のままだった。
後方から、「やりやがった」「すげぇ、形が残ってる」「完全なのは初めて見ました」と声が掛かる。
不思議な事に、精霊が離れると強度が上がるみたい。
傷を付けると精霊が怒り破壊、ビックリさせると逃げる感じなのかな?
なんにせよ成功だね!
ひとしきり眺めた後、【アイテムボックス】へ仕舞い狩りを続行。
中腹付近に近づくと、【クレイジーホーク】が多くなってきた。
「飛行タイプは、苦手なんだよっと」
「素直に当たれ、こんちくしょう!」
2人は苦戦しながらも、討伐している。
オレ?目の前に【ウィンドウォール】を展開。
ぶつかって、落ちた所で止めを刺すだけ。楽ちんw。
ゲイルに「ズルいぞ!」と言われてもねぇ。
最後に〈ワイバーン〉襲来し、オレが受け持った。
5匹の内、1匹がレアの〈カラードワイバーン〉。
余りにも簡単に倒すもんだから、呆れられてしまったよ。
〈カラードワイバーン〉は赤に変わった。
燃える様な赤は綺麗だね。
さて、ガディさんの所に戻りますか。




