第16話 教会でお久しぶり
教会は街の外れに、ひっそりと佇んでいた。
教会の前では、小さな女の子が数人で掃除をしている。
1人の女の子がオレに気づき、小さく頭を下げた。
「何かご用?」
(あれ?シスターの名前聞いてないや)
「オレはレン。【ヒール】を使えるシスターは居るかい?」
「何人かいるよ?」
「昨日〔アグリカ〕から帰ってきたシスターなんだけど」
「それならシスター【レティシア】だね、呼んで来るから、ちょっと待ってて」
孤児院の子供なのだろう。教会の奥へ走って行く。
少しして、シスターがやって来た。
「おはようございます、レンさん。道中ありがとうございました。名前教えて無かったですね」
「おはようございます。おれも同じだよw」
「改めまして、レティシアと申します」
「レンです。こちらこそ」
「早速ですが、院長を紹介しますね」
教会に案内されて、中を見回す。
華美な装飾は無く質素な作りで、前方の祭壇に大きな女神像が祀られている。
女神像に祈りを捧げている女性が院長なのだろう。
ゆっくりと立ち上がり、オレに向かって歩いて来た。
「初めまして、院長の【ミソーノ】と申します」
「初めまして、レンと言います」
「レンさん、ありがとうございます。シスターから、多大な寄附を頂いたと聞きました」
「気まぐれで行ったので、気にしないで下さい」
「レンさんに神のご加護がありますように」
院長は胸の前で手を握り、感謝の言葉をくれた。
「シスターから話を聞いたんだが、運営は厳しいのかい?」
「はい、恥ずかしながら、孤児院の子供達に食べさせる事で精一杯です」
「そうなんだね、オレも話を聞いて、初めて知ったよ。今日は少しでも役に立ちたくて、寄らせてもらっんだ」
教会は、院長含め5人で回していて、シスターの3人が【ヒール】を使いお金を貰っているそうだ。
領主の支援金はあるも、孤児院の子供が20人となり、足りなくなったらしい。
時折、寄附や支援があるのは助かるんだとか。
だから、金貨10枚の寄付はビックリしたとのこと。
「昨日、ギルドマスターに話をしたら、領主様に相談してくれるそうだよ」
「本当ですか、それは有り難いです」
「今日は、子供達に差し入れしたくてね」
「差し入れですか?」
「そう、[ホットケーキ]を食べさせても良いかな?」
「[ホットケーキ]?どういった食べ物ですか?」
「甘いパンの様な食べ物さ」
オレは、【アイテムボックス】から、以前作った[ホットケーキ]を出して見せた。
「美味しそうですね、子供達は喜びそう。ありがとうございます」
「では、出来たら呼ぶんで、子供達を集めて下さいね」
「私、お手伝いします」とレティシアさんが挙手。
勢いがよかったので、少し笑ってしまった。
教会の台所を借りて調理スタート。
【魔道コンロ小】は追加してあったのてで、3台使って焼いていく。
焼き上がったら、3枚重ねて[バター]を乗せ、[はちみつ]をかけたら完成。
[バター]と[はちみつ]を手伝って貰った。
出来上がったら【アイテムボックス】に入れれば、人数が多くても、焼きたてで出せるから便利だよ。
院長合わせて25人分を作って行く。
最後が焼き上がったら、レティシアさんに、皆んなを集めてもらう。
集めてもらうまでもなく、皆んな食堂の椅子に座っていたよw
さっきから、[はちみつ]の甘い臭いにソワソワしてる。
院長やシスターにも座ってもらい、[ホットケーキ]を出して行く。
「どうぞ、食べて下さい」と言うと、胸の前で手を握り、お祈りしてから食べ始めた。
シスターからは驚きの、子供達からは喜びの声が聞こえる。
最後に、小分けした[ブッド]を出すと全員喜んでくれた。勿論、少し凍らせてあるよ。
食べ終わるとお礼を言われ、皆んな片付けを手伝ってくれた。いい子達だね。
シスターから、作り方を教えて欲しいと、お願いされたのでプチ料理教室を開いたよw。
院長からは、「なかなか、甘いものは食べさせられないので、ありがとうこざいます」と涙ぐまれた。
「女神像にお祈りして良いかな?」と聞くと、優しい笑顔で「是非」と返してくれる。
オレは女神像の前で片足立ちになり、胸の前で手を握りお祈りする。
(遅いではないか!)と頭の中で声がした。
(あれから、一度もお祈りしないで、薄情だよね)
どうやら、残…アウイラ様らしい。
(今、不遜な考えしたよね)
(とんでもない、アウイラ様お久しぶりです)
(忘れてた癖に!)
(ただ単に、祈る習慣が無いだけですよ。それに、神様にバレると不味いから、内緒にしたのは女神様ではないですか)
(そりゃそうだけどさ、忘れられたら寂しいんだもん)
(以外と甘えん坊ですねw)
(うるさいやい!それと、美味しそうな物食べて羨ましい!!)
([ホットケーキ]ですか?)
(そうだよ、お供えして欲しいな)
(www良いですよ、どうしたらお供え出来ますか?)
(目の前に置いて祈ってくれれば良いよ)
(では、用意してから祈りますね)
一度目を開け、[はちみつたっぷりホットケーキ]を用意して再度祈った。(女神様、お納め下さい)
(ありがとう。うわぁ、[はちみつ]たっぷり)
(喜んで頂けましたか?)
(うん、嬉しい)
(では、たまにお供えしますね)
(やったぁ、お礼しなくちゃだね)
女神様が何か呟く
(これでシスターと子供達は健康になるよ)
(ありがとうございます。この後2箇所の教会にも行きますので、同じくお願い出来ますか?)
(いいよ、同じくお祈りしてね)
(お供え、期待していて下さい!)
(ふふっ、解ってるね〜)
(ノリが良いですねw)
(そろそろ時間だ、じゃあまたね〜)
女神様の神託?が終わり目を開けると、院長やシスター達が驚いてた。
「レンさん、今の光は?」
「目の前の[ホットケーキ]が無くなりました!」
「急に身体の痛みが無くなって…」
とプチパニックになっている。
(ん~~、どう説明しようか)
オレは、女神様の神託があり、お供えしたら、お礼してくれたと、かなりハショって説明した。
神託は、「良い行いをしたからかな?神のご加護がありましたね〜」と誤魔化した。
皆んな、「奇跡だ」と感動してるから、会話の内容は言えないよねwww
東と西の教会も行く事を告げて、教会を去った。
勿論、冷蔵庫一杯に[肉]を渡したら、更に感謝されたよ。
鐘2つ前に東の教会に着いた。
こっちは神父さんが院長だったよ。
南の教会同様、孤児18人がいて、運営は厳しいらしい。
話を聞くと、北の教会で孤児を受け入れず、東の教会に流れて来たんだとか
金貨10枚を寄付したら、喜んでくれた。
お昼時ともあり、[ホットケーキ]を差し入れすると、プチ料理教室まではお約束。
今回は、少し凍らした果物を供えて祈る。
(さっき振りだね。お供えありがとう)
(ちょっと、聞きたい事があるんだけど、良いかな?)
(何?)
(北の教会で、孤児の受け入れを断ったと聞いてね、教会によって違うのかい?)
(本来は、手を差し伸べるべきだね。そういえば、北の教会はお祈りが少ないね)
(院長は、私腹を肥やしていると、噂を聞いたんだケド本当かい?)
(ホントは、干渉しちゃいけないんだケド…レンの為なら調べてみるよ)
(今、思いっきり干渉してるよねw。しかも、お供えまで要求してるし)
(それは、ここだけのは・な・し)
(いい加減だなぁw。まぁ、オレも助かるし良いか)
(じゃあ、この後西の教会に行くんだよね、その時に教えるね)
(ありがとう。お供えは、[唐揚げ][ポテトフライ]で良いかいw)
([マヨネーズ]と[ケチャップ]も付けてね〜)
(了解しました、女神様)
(うむ、くるしゅうない!)
(wwwでは、後で)
目を開けると…以下同様w。
西の教会へ行く前に、冷蔵庫へ[肉]を詰める。
さて、西の教会へ行きますか。
西の教会に着いたのは夕方近くだった。
こちらも神父さんが院長だったよ。
孤児の人数は31人と多いも、他の教会と違い12才以上が多く、ギルドの依頼や街の手伝いで収入は少しあるらしい。
孤児院は14才まで居れるんだって。
他と同じく、金貨10枚を渡し、夕飯替わりに[ホットケーキ]を差し入れ。プチ料理教室の後にお祈り。
(甘い後にしょっぱいのは反則だよね~)
([マヨネーズ]たっぷり付けて、太って下さいね〜)
(神様は太らないよ〜‥‥‥多分)
(www美味しいは正義だね)
軽いやり取りをしてから話を聞いた。
(北の教会は、かなり悪どい事をしてるね。ポケ子爵とアグー商会が絡んでいたよ)
(そんな事も判るんですね。有能じゃあないですか)
(えへへ、それだけじゃないよ。裏帳簿や今迄の不正取引証拠の隠し場所も判ったし)
(さすが神様、こんな短時間で凄いです)
(もっと誉めても良いよ〜)
(容姿端麗、頭脳明晰、オマケに親しみ易いの三拍子。で、隠し場所は?)
(それはね〜、ここだよ)
女神様は【オートマッピング】に✕印を付けてくれた。以外とチョロいw
(ありがとうございます。神様にバレると不味いのでは?)
(実は、バレたんだよね~w。余りにも悪どい事してるから、見逃してくれるみたい)
(それはまた…以外と自由ですねw。では、神様分もお供え(賄賂)しますか?)
(そうしてくれると助かるよw)
(では、一度戻りますね)
プチパニックをスルーして、再度お祈りをする。
(よしなに)
(うむ、承った!www)
(情報は活用させて貰いますね。直ぐ使えるかはわからないケド)
(良いよ、後は好きに使ってね)
(今度は神様の分もお供えしますね)
(頻繁だと不味いから気を付けてね〜、楽しみにしてる。それじゃあね〜)
(ありがとうございました)
さて、皆さんに説明しますかw
奇跡を目の当たりにして、一緒に祈りを捧げていたよ。
冷蔵庫に[肉]を入れて終了。
教会を去る時、総出で見送りは恥ずかしかった。
さて、この情報をどう使ったらいいかな?
宿に戻ろうとした時、「レンさんですか?」と呼び止められた。




