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第14話 アグリカで良いもの見つけた

 今日は、行きにゆっくり見れなかった市場へ向う。

 朝から活気があり、行き交う人も多い。

 食材を仕入れる人、観光客、地元の人達で賑わいをみせていた。

 農業の街と言われるだけあって、様々な農作物が売られている。


 オレはウキウキしながら露店を見ていく。

 メインは[ムギー]の重さ売りや果物で、時折魚、調味料や調理器具も売っていた。

 〔アルケラ〕や鍛冶の街〔ブラクス〕、クラフトの街〔クラフリ〕から仕入れた商品なんだって。

 魚は湖で取れた[トラウト]で、漁業の街〔フィッシ〕からは干物や乾物を仕入れて販売している。

 今度、色んな街に行ってみたいな。


 露店を眺めながら歩いていると、少し遠くから威勢のいい声が聞こえた。

 向こうは飲食の露店が並ぶ区間だね。

 近くまで行くと、「今〔サーエンド〕や〔アルケラ〕で大流行りの[唐揚げ][フライドポテト]だよ。食べたら美味しさにビックリする事間違い無し!新しい調味料も癖になる美味しさだよ。話題のネタに食べてって〜〜」と声を大にしてアピールしている。

 多くの人がその露店を取り巻いていた。

(レシピが販売されて、広まり始めているのかな?)


 見ていたら「レンさんじゃあないですか」と声をかけられ、顔を向けるとガディさんが立っていた。

「おや、ガディさん。お久しぶりです。今日は仕入れですか?」

「はい、仕入れもありますが、あそこで売っている[唐揚げ][フライドポテト]と調味料で一儲けしようと思いましてね。昨日から〔アグリカ〕の知人に試して貰っているんですよ。レンさんは、依頼の途中でしたかな?」

「はい、依頼品は確保したんで、〔アグリカ〕を見て回っていた所だよ」


 簡単な挨拶をして、[唐揚げ]や[フライドポテト]の売れ行きを聞いた。

「それはもう、笑いが止まりませんなw」

 ガディさんの後ろに何か見えた。(越後屋?w)

 昨日、朝一番は鈍かった反応も、食べた客から口伝てで広まり、鐘2つ頃には完売したそうだ。

 今日は、昨日の3倍用意し、順調に売れていると聞いた。


「良かった〜、オレも売れて嬉しですよ」

「おや?レンさんはご存じないのですか。今では〔サーエンド〕〔アルケラ〕で爆発的な人気ですよw」

「えっ、レシピを渡してから、数日しか経っていませんよね」

「[唐揚げ]は護衛して貰った時から、売れると思ってましたよ。しかも今回は[マヨネーズ][ケチャップ]がありますから、爆売れ間違い無しです!!」

「ギルドでお金確認してみたら良いですよ、ギルドもレシピを売るのに、大変らしいと聞きましたので」

「それにしても、[マヨネーズ]は癖になりますな〜」


 驚くオレを他所に、ガディさんは興奮気味で話をしていた。

 ここで、ちょっとイタズラを思いつく。

「ガディさん、朝飯は食いましたか?」

「軽く食べてきましたが……もしかしてレンさんが作ってくれるんですか!」

 ガディさんの、期待する笑顔が素直過ぎるよwww


 オレは近くの屋台でコッペパンの形をした[パン]を買う。

 [パン]に切れ目を入れて、さっき買った[レスター]と[唐揚げ]を挟み、上に[マヨネーズ]をかけて出来上がり。お好みで胡椒をかけても良さそう。

 [ケチャップ]バージョンも作り、ガディさんに勧めてみた。


 ガディさんは、食べ終わると早口で「レンさん、ご馳走様でした。コレ真似して良いですよね、お礼は又今度に!それでは失礼致します!!」と言ってパン屋に走って行った。

 行動はやっwww


 ガディさんと別れ、市場の続きを見てまわる。

 目移りする露店の中、1件の露店に興味を惹かれた。

 調味料を売っている露店で、店頭に黄色い粉の香辛料を発見。名前を見ると[クミ]と書いてあった。

 店主に聞くと、最近香り付けや味のアクセント付けに、香辛料が増えているらしい。

 きっかけは[レモングラス]らしく、今まで雑草と思われていた植物に注目が集まっているんだって。


 他の香辛料を見ると、[コリアン][ターメリ][チリペ][ガラム]を発見。

(あれ?これでカレーが作れるのでは?)

【料理】スキルを見ても、詳細な作り方は不明だが、材料はあっている。

 オレは即決で、それぞれ1キログラづつ購入したよ。

 〔アグリカ〕で良いもの見つけちゃったね!


 市場も大体見終わった頃、お腹が空いてきた。

(昨日出会った家族の喫茶店へ行ってみようかな)

 〈ヒヨのとまり木〉は市場から少し離れた住宅街にあり、軽食を出しているらしい。


 中に入ると二組のお客さんがいた。

「いらっしゃいませ。あっ、レンさん、早速来て下さったんですね、カウンターへどうぞ」

 案内されてメニューを見て見る。

 セットメニューが載っていて、オレは[2種のパン][スープ][サラダ][ゆで卵]のセットを頼んだ。

 他にも、[シチュー][フルーツ盛り合わせ][魚料理][肉料理]の組み合わせでセット内容が変わり、単品でも頼めるみたいだね。


 食べていると、テーブルに座っていた女性客から、声が上がった。

「うわぁ、こんな食感初めて。フルーツの彩りも綺麗だし、冷たくて美味しい」

 すると、奥さんのヒヨリさんが「試しに昨日教えて貰った方法で、フルーツを出しているんですが、とても好評ですよ」と教えてくれた。

 お礼に、お代は無料でいいそうだ。


 マスターのザイルさんからは、「ちょっとした工夫でも、こんなに違いが出るんですね。勉強になりました」と感謝された。

「では、オレも無料のお礼に、新しい料理を教えますか?」と聞いたら、「是非!!」とお願いされた。

 食い付きが良いね〜w


 喫茶店ともあり、教えた料理は[シャーベット][ポテトサラダ][エッグサンド][ポテサラサンド]だ。

 どれも手軽に作れて、軽食にはピッタリ。

 今はお客さんも捌けた為、早速試作を作ってみる。


 [シャーベット]は[フルーツジュース]を凍らせて、表面を削るだけ。周りに果物を少し配置したら完成。溶けやすいのは注意だね。


 [ポテトサラダ]は、皮を剥いた[イモー]を茹でて潰してておく。野菜のこま切りと、潰した[ゆで卵]に[マヨネーズ]を加え混ぜ合わす。好みで[塩][胡椒]を入れて完成。

 今回は、[ニンジー][タマネー][トモロー][キウリー]を使用。


 [エッグサンド]は、[ゆで卵]を潰し、[マヨネーズ][塩][胡椒]を混ぜ合わせる。後は、[パン]の切れ目に[レスター]を敷き、のせるだけで完成。


 [ポテサラサンド]も[パン]の切れ目に[レスター]を敷き、[ポテトサラダ]をのせるだけで完成。


 [マヨネーズ]は〔サーエンド〕か〔アルケラ〕のギルドで、レシピを販売している事を教えた。

 今回は、オレの手持ちを使用。


 2人は、彩り・味・手軽さにビックリしてた。

 長女のピラルちゃんは、隣で美味しそうに食べている。

 ついでに、[ポテトフライ][ケチャップ]のレシピも勧めておいた。勿論、試食はバッチリさ!


 ものすごく感謝されて、「お金を払います!」と言われたが断った。レシピは結構高額だからね、そっちにお金を使って貰おう。


 鐘2つが鳴り、お客も来出したので、喫茶店を後にした。

 さて、ギルドに行きますか。


 ギルドで査定金額を聞き、大金に驚いたが、今の残高を聞いて更に驚いた。

 ガディさんの言う通り、レシピが爆売れしてるらしい。毎日数百万円単位で入金されている。

 ギルド職員に、「この入金は間違いなのでは?」と聞いたら、「連日レシピの問合せが多く、〔サーエンド〕と〔アルケラ〕のギルドでは、対応に追われているそうですよ」と教えてくれた。

 ギルド職員に恨まれていそうで怖いね。


 午後は観光地を見て回った。

 のどかな田園風景は、気分を落ち着かせてくれたよ。

 夕方、市場の露店で食べようと寄ってみたら、[新商品!唐揚げパン!一度食べるとやみつき間違いなし!!]の看板が目についた。

 ガディさん、商魂逞しいねwww。


(そう言えば、この世界で[麺類]を見てないな)

 まだまだ、食文化は良くなりそうだね。

 揚げ物・煮物・蒸し物や、食材の組み合わせを考えると、色んな料理が出来そうだね。


 遠くから、「レンさ〜〜ん」と呼ぶ声が聞こえる。

 ガディさんが、もの凄い笑顔で走ってきた。

 オレは、笑いを堪えて立ち止まったよ。


「ハァハァ、充分なお礼もせずに、離れてしまい申し訳ありませんでした」

「いえいえ、問題ないよ。少しは販売の足しになったかい?」

「少しなんてとんでもない。近くの[パン]を買占めてしまいましたよw」

 ガディさんが興奮気味に話す。


 あの後、[唐揚げパン]を出すと、瞬く間に行列ができたそうだ。急きょ人員を補充して、[パン]の買い占めに走らせたんだとさ。

 昼過ぎになると、少し他の人気商品に客は流れたが、さっきまで忙しかったみたいだね。


「レンさん、[シャーベット]って知ってますか?」

 ガディさんが、オレを見て問いかける。

「うん、知ってるよ。オレが〈ヒヨのとまり木〉に教えたからね」

「やっぱりそうでしたか。今迄聞いた事の無いデザートで、急に人気になりましたからね」

「そんなに?」

「はい、見てきましたが、長蛇な列になってましたよ。ウチと同じ感じでしたので、もしかしたらと思いまして」


 ガディさんの所は、今日1日で売上約10倍になったそうだ。

 特に[唐揚げパン]は少し高目でも、飛ぶように売れたらしい。何度も感謝されてしまった。

 終始笑顔のガディさんを見ると、オレも嬉しくなるね。

「是非に!」と言われ、夕飯をご馳走になった。


 さて、明日は〔サーエンド〕に戻りますか。

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