第13話 ワイバーン狩り
夜が明けると、早速山頂へ向う。
【索敵】で魔物の位置を確認しながら、山道を進む。
数体〈ロックリザード〉〈クレイジーホーク〉を討伐し、素材をゲット。
荒れた土地だが、魔物の数は以外と多い。
更に進むと、念願の〈ワイバーン〉の群れを補足。
7匹の群れで、こちら側に移動している。
光点を確認すると、〈クレイジーホーク〉を追いかけているようだ。
(〈ワイバーン〉6匹で、〈クレイジーホーク〉を襲っているのかな?)
岩陰に入り、目視出来るまで待つと、〈クレイジーホーク〉が懸命に逃げているのが判った。
オレは、近くに寄って来た1匹に狙いを定め、【ウォーターランス】を放つ。
頭部を狙ったが、【ウォーターランス】は翼に当たり、バランスを崩し墜落した。
他の〈ワイバーン〉が攻撃に気づき、〈クレイジーホーク〉を追うのを止める。
上空を旋回し警戒しているが、さっきより動きが遅くなり狙い易い。
狙いを定め、〈ワイバーン〉の頭部を狙う。
今回は見事命中したが、大きな穴が空いた。
依頼には問題無いと思うが、出来るだけ傷が少ない方が良いので、違う魔法に切り替えよう。
翼の付け根を狙って【ウォーターニードル】を放つ。
バランスを崩し、落ちて来た所を【ネット】で絡め、【ウォーターニードル】で頭部を狙い、止めを刺す。
すると、残りの3匹が逃げて行った。
仕留めた2匹を【アイテムボックス】に入れ、最初に落とした1匹も止めを刺す。
これで依頼は達成!と思いきや、さっき逃げて行った3匹が仲間を連れて戻ってきた。
おゃ?その内の1匹はレアらしい。
合計5匹の〈ワイバーン〉を待ち伏せる。
レアの個体は把握済なので最初に狙う。
結果的には2匹逃がすも、合計6匹の〈ワイバーン〉を狩れた。
レア個体は止めを刺すと、体の色が変わった。
色が変わるレア魔物は、通称〈カラード〉と呼ばれている。
今回仕留めた〈ワイバーン〉は、体の色が金色に変化。
魔法属性の色に変わるらしく、この〈ワイバーン〉は【光魔法】を使える個体だったのだろう。
魔法を使う間もなく倒してしまった。スマン!
討伐を切り上げて山を下り、その日の内に村に着いた。
途中、魔物はいたが避けて通り、帰りの移動は早かった。
宿を取り、早速酒場へ行く。
「よぅ、兄ちゃん早いご帰還だな。討伐諦めたのか」
「まぁ、1匹狩れていりゃあ、たいしたもんだ」
がはは!と酒場の常連に話しかけられる。
「約束の[ワイバーンの肉]だぜ!」
オレはそう言って、カウンターに出した。
頭部を破損した個体を【自動解体】しておいたよ。
酒場の亭主は、目を見開き、「本当に狩ってきたのか!ありがとよ!!」と喜んでいる。
常連からは、「負けた〜」「亭主の一人勝ちか〜」と声が上がる。
「わはは、お前ら早く金出しな!その金で宴会だ!!」
聞くと、〈ワイバーン〉を狩りに来た冒険者で、賭けをしているそうだ。
勝った奴はその金で[ワイバーンの肉]を買取り、皆で宴会するのが、この村の楽しみだとか。
負けた奴は解体もさせられるらしいね。
たいした武器も防具も無いオレは、1匹も狩れずに帰って来ると思われていた。
酒場の亭主だけがホクホク顔だ。
[ワイバーンの肉]を買い取って貰い、オレも宴会に参加。
[ロックリザードの肉]を提供すると、宴会は更に熱気を帯びた。
[ラガー]を頼むとぬるかったので、コッソリとジョッキを冷やすと【氷魔法】を覚えていた。
(自分でもチートだと思うよ、ホントにw)
まだ、期日に余裕があるので、〔アグリカ〕の街をゆっくり見てみよう。乗り合い馬車で〔アグリカ〕へ向う。
馬車には、オレと若い家族連れが乗っている。
〔アグリカ〕の話しを聞きたくて声をかけた。
「すみません、〔アグリカ〕のこと詳しいですか?」
「えぇ、それなりには。何か知りたい事があるのかい?」
「はい、おすすめの場所や食材を知りたくて」
その家族は、〔アグリカ〕で喫茶店を開いており〔アル〕の実家から戻る途中なんだって。
観光地や食べ物、食材を教えてくれた。
観光シーズンは、[ムギー]の収穫前で、一面に広がる穂の色が綺麗らしく、もう少し後だそうだ。
食材は、農産物や果物が特産で、種類は豊富。
おすすめは自分の喫茶店を紹介されたよw。
自家製の[パン]は自信作と話してくれた。
お礼に、行きで買った果物をちょっと一工夫して出す。
【氷魔法】で少し凍らせてから出すと驚かれた。
冷たい果物にショリっとした食感が新鮮らしく、作り方を教えて欲しいと言われた。
喫茶店で出して良いかを聞かれたのでOKしたら、お礼をしたいから是非寄ってくれと頼まれた。
喫茶店の名前は〈ヒヨのとまり木〉、旦那さんと奥さんと長女の3人でやってるんだって。
(立ち寄ったら[シャーベット]でも教えてみようかな)
〔アグリカ〕に到着し、家族と別れギルドへ向う。
明日立ち寄る約束をしたので楽しみだ。
ギルドの通信魔道具で、戻る日を伝えてもらおう。
ギルドの受付で説明し、〔サーエンド〕へ帰る日を伝えて貰う。
ついでに、狩った魔物の素材を買取って貰おう。
〈ロックリザード〉〈クレイジーホーク〉や〔アルケラ〕のダンジョン素材を一部出して行く。
全ての素材を出すと、大変な事になると勉強したから、今回は抑えて出してみた。
「ここでこんなに出されても困ります。解体場で出して貰って良いですか?」と連れてかれた。あれぇ?
すると後ろから「貴方がレンさんですか?」と問いかけられた。
振り向くと、40代半ばのスラッとした男性が立っていた。
「突然すみません。ギルドマスターのミラーです」
「始めましてレンと申します。挨拶が遅れてすみません」
「冒険者にしては丁寧ですね。畏まらなくて良いですよ」
突然のギルドマスター登場に驚いた。
「びっくりしましたよ。ギルマスがどうして此処へ?」
「レンさんにお願いがありましてね」
(ギルマス自らきたのは面倒事かな?)
「そんなに警戒しなくて良いですよw」
「顔に出てましたか?」
「はい、大きく[何?]と出ていましたよw」
笑いながら、ギルマスはお願いを切り出した。
「レンさんの狩った〈ワイバーン〉を1匹買い取らせて欲しいのですよ」
「そうですか、ですが〈ワイバーン〉は依頼品だから、〔サーエンド〕のギルマスに確認が必要ですね」
「あぁ、〔サーエンド〕のギルマスに話は通していますよ」
ギルマス曰く、「レンなら複数狩っているから、大丈夫だ」と、了承済だそうだ。
「ですので、1匹買取らせて頂いていいですか?」
「それなら良いよ。1匹でいいかい?」
「ん?何匹狩ったのですか?」
「全部で6匹だけど、1匹〔アル〕の村で[肉]を売ったから、今は5匹だよ。2匹までなら大丈夫かな?」
ミラーさんがため息をついた。
「2匹ぐらいかと思ってましたよ。ガイの言っていた事は本当だったんですね」
「何か言ってたんですか?」
「「レンなら5、6匹狩ってるんじゃねえか」と笑って言ってました。その時は「まさか」と答えましたが、本当だとは…」
ミリーさんに、「ソロだと1〜2匹を何日もかけて討伐するのですよ」と呆れ顔で言われてしまった。
2匹を買取りに出すと、状態の良さに驚かれる。
1匹は翼の穴と墜落時の擦り傷があるも、もう1匹は傷も無く、「まるで生け捕ったみたいだ!」と感心していたよ。
傷がある1匹も戦闘傷が無いので、状態は良いようだ。
「助かりました。こちらでも領主様から〈ワイバーン〉の依頼がありましてね。困っていたのですよ」
「そうなんだ、役に立てて良かったよ」
「〈ワイバーン〉の素材は人気があり、特に今は不足していますので」
「領主様は何に使うんでしょうね」
「そこまでは聞いていませんが、1匹分であれば、防具を作るのかも知れないですね」
「確かに、依頼では傷が少ないとの要望だったしね」
買取り分を渡し、ギルドを後にする。
量が多いので、査定は明日の鐘2つまで、待って欲しいと言われた。
少なく出したつもりだったが、これでも多かったらしい。ギルド職員の涙目が目に浮かぶ。スマヌ!
宿を取り、酒場で夕飯を取る。
スタンダードなメニューは、[パン][シチュー][ステーキ][スープ][トラウトの塩焼き][サラダ][季節のフルーツ][野菜炒め]だね。
[ライ]を使った料理は、まだ無いね。
[ムギー]の生産地だからか、[パン]はお替り自由だよ。
水源に大きな湖があり、魚はそこで取れると聞いた。
[トラウト]は鱒に似た魚だね。
オレは、[パン][シチュー][トラウトの塩焼き]を頼んで食べた。ボリュームがあって美味しかったよ。
([トラウト]はムニエルにしても美味しそう)
今日は終早めに宿へ戻る。明日は〔アグリカ〕の街を見て回ろう。




