第12話 指名依頼
「〔サーエンド〕のギルマスから?内容はわかるかい」
「詳しい話は、戻って来たら話すと言っていました」
「ありがとう、一度戻るとするよ」
その夜、登録祝いと送別を兼ねた宴会を酒場で行った。2日続けて宴会だよw
朝一番の乗り合い馬車で〔サーエンド〕に向う。
見送りされたのは、少し恥ずかしかった。
〔サーエンド〕までの護衛依頼は無かったが、乗り合い馬車は冒険者半額。その代わり、道中の護衛を行う必要が有るみたい。
ガディさんは、一足先に帰ったみたいだね。
数回魔物との戦闘はあったが、無事乗り合い馬車は〔サーエンド〕に到着。
オレは、そのままギルドへ向かった。
ギルドにはいると、フェイさんが出迎えてくれた。
「レンさん、お待ちしてました。こちらへどうぞ」
そのまま応接室に案内され、少し待つとギルマスが入ってくる。
「やぁ、レン。来てくれてありがとう」
「ギルマス、お久しぶりだね」
「〔アルケラ〕で色々やらかしてきたみたいだな」
「なんの事でしょうね」
「ギルド間は、通信の魔道具があるから筒抜けだぜ」
「どおりで情報が早いと思ったよ」
「レシピの件は承った。正直助かるよ」
「あっ、ガディさんには、オレからレシピ渡すんで、売らないでね」
「了解した」
「それで、呼んだのはどんな厄介?」
「決めつけか!…まぁ、間違いではないがな」
話しを聞くと、領主様から[ワイバーンの素材]を依頼されたが、高ランクの冒険者は王都の武闘会で不在。
〔アルケラ〕から、レンがBランクになった報告があり、迷ったが依頼しようと呼んだそうだ。
「ギルドからの指名依頼を受けてくれないか」
「ワイバーンの、どの素材が必要?」
「実は、ワイバーン1匹丸ごとなんだ。出来そうか?」
ワイバーンはCランク上位の魔物。群れとなればBランクに匹敵する。
「確約は出来ないケドね、期限は?」
「残り20日間だが、少々遅れても構わん。できる限り傷は少ない方が良いそうだ」
「良いよ、詳しい内容教えて」
ワイバーンの生息地は、東の山脈にあり、麓の村まで乗り合い馬車で行ける。
依頼は1匹丸ごとで、傷は可能な限り少ないのが要望。群れから離れた個体を狙う様勧められた。
レアもいて魔法を使うらしい。
「準備してから出発するよ」
「戻って来たばかりでスマンな。休養を取ってから出発してくれ」
魔物図鑑でワイバーンを確認し、ギルドを後にした。
「さて、ガディ商会にでも行きますか」
準備とレシピを渡しにガディ商会へ向う。
「こんにちは、ガディさん居ますか?」
「いらっしゃいませ、レンさん。商会長から聞いていますよ、確認しますね」
「ではその間、買物してますよ」
準備が整ったところで店員から声がかかる。
「レンさん、こちらへどうぞ」
案内された部屋は商談室かな?
「これはこれは、レンさんお久しぶりです」
「ガディさん、突然おじゃましてすみません。直ぐ依頼に出るので、予約も無く来てしまいました」
「レンさんなら大歓迎ですよ。して、何か相談したい事でもあったんですか?」
「いいえ、コレを渡しておきたくてね」
「コレは?」
「〔アルケラ〕でレシピ登録しまして、以前お約束したレシピですよ」
「なっ、なんと、ですが枚数が多いような」
「はい、新しい調味料も入ってます」
〔アルケラ〕での話をして、今後ギルドで販売する事を説明した。
「わざわざ、ありがとうございます。して、この[マヨネーズ]と[ケチャップ]はどの様な調味料なのですかな?」
「試食してみますか?」
「是非!!」
試食用に作っておいた[マヨネーズ][ケチャップ]を[フライドポテト]と[唐揚げ]で食べて貰った。
ガディさんには、「美味しいです!美味しいです!!美味しいしか出て来ません!!!」と大絶賛された。
レシピ代を払うと言われたが、それを断る替りに、新しい調味料を広めて貰う様お願いした。
「私が広めるまでもなく、直ぐ広まるとおもいますよ」と笑って了承してくれた。
ついでに、[ホワイトウルフの毛皮]を出したら、「それは買い取らせて下さい」と懇願されたので、他の[毛皮]と一緒に買い取ってもらったよ。
ガディさんは、感謝の印として新しい会員証をくれた。購入時3割引してくれるそうだ。
〔サーエンド〕〔アルケラ〕で[唐揚げ][フライドポテト]が、街の名物になるのは、もう少し先の話。
次の日、乗り合い馬車で農業の街〔アグリカ〕を目指す。そこで乗換えて、麓の村〔アル〕へ行く。片道4日間の旅程だよ。
旅の途中は、のどかな田園風景を眺めながら進んでいく。
〔アルケラ〕と違い、深い森が無い分、危険も少なくて良いね。
〔アグリカ〕は、南領地の穀倉地帯をまとめる農業の街。
野菜・果物や穀物の輸出を担っていて、食の街でも有名だ。
乗換えに時間があるので、〔アグリカ〕の市場を見て周る。
色とりどりの果物や、色々な野菜が並んでいて、見てるだけでも楽しい。
そこで、初めて見る野菜を発見。
[トモロー]はトウモロコシの粒だった。
今度[ポテトサラダ]に挑戦してみようかな。
[コロッケ]に入れるのも捨てがたい。
[キビー]は前の世界ではサトウキビに似た野菜。
(もしかして、砂糖が作れるのでは?)
[キビー]は細かく切って甘みを付ける野菜らしい。
興味心に駆られ、[キビー]を買占めてしまった。
この世界では、[砂糖]は高級品と聞いた。
(作り方が独占されているか、作成が難しいのかな?)
新鮮な果物が多く、[イッチゴ][ナッシ][スイッカ][メッロ][ミッカ][ブッド][モッモ][パッイン]が手に入った。
今は時間がないので、帰りはゆっくりできるかな?
出発時間になったので、乗換えて〔アル〕に向う。
【料理】スキルで調べても、[砂糖]の作り方は、不明な部分が多い。
【ポテトサラダ】【コロッケ】は簡単に作れそうだよ。
(お菓子は[砂糖]が手に入れば、作れるんだけどなぁ)
今度ミリーさんに相談しようっと。
その日の夕方には[アル]へ到着。
宿を取り、酒場で情報収集を行った。
〈ワイバーン〉は5匹〜10匹で群れを作り、それぞれの群れでテリトリーがあるらしい。
餌を探して、単独行動している個体を狙うのが普通。
群れに見つかったら、岩陰に身を潜め、村には逃げ帰らない事を教えて貰った。
レアは外見が同じなので、魔法を使われるまで判らないんだと。
「この村は襲われないのかい?」
「村には[魔物避け]の魔道具があるから大丈夫だ」 「未開発に近い街や村には、魔道具が支給されているのさ」
村に逃げ帰ると、追ってきた〈ワイバーン〉が、〔アグリカ〕の穀倉地帯に行く可能性があるので、禁止となっている。
[ワイバーンの肉]は非常に美味いらしい。
酒場の店主から、手に入ったら売って欲しいと頼まれた。周りの客からも期待のまなざしが痛く、1匹狩るだけじゃ足りないようだねw。
山脈に出る魔物は、〈ワイバーン〉〈ロックリザード〉
〈クレイジーホーク〉が強く、〈ロックマイマイ〉はメタル種が見つかったらラッキーなのだそうだ。
〈マイマイ〉は鉱石を取り込んで、殻をコーティングする習性があり、鉱脈の発見に繋がる魔物と聞いた。
情報のお礼は[ミード]1杯で良いらしいw。
[ミード]は甘いお酒だね。
翌日、〈ワイバーン〉の棲む山脈に向かった。
〔アル〕の村から、歩いて3日程らしい。
まだ、未開発の部分が多く、道も整備されていなかった。
〈ワイバーン〉は、山脈の中腹から山頂に生息している。
【索敵】で〈ワイバーン〉は見つかっていないが、〈ロックリザード〉〈クレイジーホーク〉は見つかっている。
試してみるが、問題無く討伐出来た。
少し素材を確保しておこう。
山道も【身体強化】で問題無く進む。
明日には、中腹に差し掛かれるだろう。
今日は、無理をせず早めに野営地を探した。
丁度良さそうな洞を見つけ、テントを設営。
周りを良く見ると、数ヶ所岩を割って草が生えていた。
【鑑定】すると、[地割草 体力アップの薬 苦い]と出た。
(確か、[体力ポーション]の錬金素材だったはず。)
良く見ると、岩の裂け目から生えていて、岩を割っている様に見える。
平地では、なかなか見つからない素材なので、多目に採取しておこう。
明日から〈ワイバーン〉の生息地に入る。
(片道8日間だから、約束の期日までは完了出来そうだ)
【索敵】でも近くに〈ワイバーン〉の反応は無く、もう少し上に行く必要がありそうだ。
今日は早めに身体を休め、明日に備える事とした。




