第11話 新商品で試食
あれから数日経ち、今日は〈ミリーの錬金工房〉で新しい調味料の試作を行う。
「おはようこざいます。ミリーさんは居ますか」
「レンさん、おはようこざいます。ミリーさん、朝からワクワクしてましたよ。こちらへどうぞ」
別室に案内されると、調理器具や実験道具が並べられていた。
「やぁ、レンさん待ちわびたよ。」
「ミリーさん、おはようございます。今日はよろしくお願いしますね」
待ちきれない雰囲気が、手に取るように判るから、早速本題に入る。
「試してみたい調味料は、[卵]を使った[マヨネーズ]、[トマー]を使った[ケチャップ]だよ」
「[マヨネーズ]と[ケチャップ]?初めて聞く名前だね」
「オレも詳しくは解らないよ。【調味料】スキルで名前と食材は解るが、作り方が曖昧なのさ。」
「じゃあ、解っている事を教えてくれるかい」
「[マヨネーズ]の材料は、[卵][酢][塩][油]」
作り方
・[卵の黄身][酢][塩]を混ぜる
・良く混ざったら、[油]を少しづつ入れながら更にまぜる
「[ケチャップ]」の材料は、[トマー][タマネー][ニンニー][塩][胡椒][砂糖][酢][水]」
・[トマー]を茹でた後に潰して半液状にする
・[タマネー][ニンニー]を細かく切り、[塩][胡椒][砂糖][水]を入れて半液状にする
・2つを混ぜて茹でる
「こんな感じだよ。分量も時間も不明。完成のイメージは両方ともペースト状」
「確かに複数の材料を使用した調味料は初めてだよ。試しに作ってみよう」
先ずは[マヨネーズ]を試してみる。
「[卵]は生で食べれるのかな?」
「食材は【分析】して確認出来るよ」
【鑑定】すると〈食用、加熱が必要〉と表示された。
「レンは【クリーン】を使えるかい?」
「使えるよ、身体を綺麗にするのに覚えた」
「じゃあ、レベル3以上あれば[卵]にかけてみて」
【クリーン】を[卵]にかけて、再度【鑑定】を行うと、〈食用、生食可〉に変わっていた。
余談だけど、声を出さずに【鑑定】を唱え、【分析】と声を出すからちょっと面倒臭い。
最初は[卵]1個に対し、[酢][塩]の分量を確認した。
しょっぱかったり、酸っぱかったりを何度か繰り返して分量が決定。
後は、[油]を少しづつ混ぜて、イメージに近いペースト状にした。
ミリーさんには、それぞれの分量と作り方をメモして貰う。
味見したら、「レン、美味しいよ!これは売れるよ」と目を輝かせている。
更に、【保存】をかけて[マヨネーズ]が出来た。
次は[ケチャップ]に取り掛かるが[マヨネーズ]より難しかった。
素材のペースト状に時間が掛かったり、[砂糖]は高級品なので[はちみつ]で代用したり、分量を決めるのに試行錯誤が続いた。
こっちの世界ではミキサーが無いので、【細断】のスキルを使ったりと悪戦苦闘。
[砂糖]の代わりに[はちみつ]を使ったので、少し甘い[ケチャップ]となった。
こちらも【保存】を掛けて終了。
朝から始めた試作は、気づけば夕方になっていた。
「いや〜、面白かったよ。複数の食材でこんなに美味しい調味料が出来るなんて、勉強になったよ」
ミリーさんはさっきから、指に付けては舐め、指に付けては舐めを繰り返していた。
「今日は暗くなってきたし、レシピの作成や利権の話は明日にして、これから酒場でお祝いをしよう」
「ミリーさん、せっかくだからこの調味料に合う料理を、食べてみたいと思わないかい?」
「食べたいけど、うちらは料理下手だよ。新しい調味料だから、何処の酒場も知らないだろうし」
「オレが作るよ。【料理】スキルがあるしね」
「合う料理を作れるのかい!是非食べたい!!」
「では、簡単なものを作るな。調理場を借りるよ」
オレ自身が食べたかったので、[唐揚げ][プレーンオムレツ][フライドポテト]を作ろう。
その間、ミリーさんには[マヨネーズ]と[ケチャップ]を追加で作って貰った。
以前、[エッグバード]で[唐揚げ]を作ったが、鶏肉料理には[コッコ]が美味しいと聞ていた。
今回は、[コッコ]と[ジャイアントスネーク]の肉で[唐揚げ]を作る。
工房の皆んなも食べたそうにしていたので、勿論さそったよ。
さぁ、大量に作りますか!!
テーブルに[コッコ][ジャイアントスネーク]の唐揚げ、小さめの[プレーンオムレツ]、棒状の[フライドポテト]を並べた。
勿論、[塩][マヨネーズ][ケチャップ]で味比べをして貰おう。
みんな、初めての料理に興味津々。
調味料の食べ比べを説明して、いざ実食!
「なっ、なんだこの美味さ。今迄食べた事無い」
「生きてて良かった〜」
「やべぇ、手が止まらない」
「2種類の肉でこんなに違いがあるなんて驚き」
「調味料も料理も初めての物ばかり。レンさんて何者だ?」
「今迄[イモー]は苦手だったけど、これは美味しいね〜」
「天国はここにあった」
ここで、ミリーさんが「酒持ってこーい!!」と言い出し、宴会に突入した。
[ミノタウロスの肉]ステーキ、[ケイブボアの肉]の薄厚を[ソイ]で焼き追加で出した。
女性陣には、[ホットケーキ]も好評で、別腹機能が働いている。
宴会は夜中まで続き、だれも帰ろうとしなかった。
目が覚めると、ミリーさんが何かを作っていた。
「やぁ、レンおはよう。コレを飲むと良い」
「ミリーさん、おはよう。コレは何だい?」
「二日酔いに効く薬さ、今皆んなの分も作っているよ」
周りでは、工房の人達が死屍累々と横たわっている。
「昨日は楽しかったよ。で、この調味料は、うちで取り扱っても良いんだろ?」
「勿論さ、レシピ作成はお願いするよ」
「任せときな!こりゃ発表が楽しみだ。昨日出した料理もレシピにするかい?」
「あぁ、助かる」
午前中はレシピ作成を行い、[マヨネーズ][ケチャップ][唐揚げ][プレーンオムレツ][フライドポテト][ホットケーキ]と、ついでに[卵焼き]や[レモングラス]を使った[レモンソース]もレシピ化した。
「これだけでも食に革命が起こるよ。[レモングラス]なんて雑草扱いだからね」
「香り付けやアクセントを付ける植物を[ハーブ]と呼んでいるよ。まだまだ、知らない[ハーブ]がありそうだね」
「では、これらのレシピをギルドで登録するかい?」
「登録すると、何が違いがあるのかな?」
「レシピを買うと、使用料が登録者に入るよ」
(特許みたいなものかな?)
「1枚に付き、ギルド2割・工房3割・レン5割でどうだい。面倒臭い手続きや、何かあった時はギルドと工房が対応するよ」
「あぁ、それで良いよ。金額は幾らにする?」
「それは、ギルドと相談させて欲しい。レンに聞くと安い金額にしそうだからねw」
「レシピを1枚づつ貰って良いかい?」
「勿論だとも。何かに使うのかい?」
「知り合いの商人と、レシピ作成を約束してたの忘れてたw」
「良いよ、レンは好きに使って良いんだからさ」
その後試食を作り、ギルドて登録する事にした。
「しかし、この[マヨネーズ]は癖になるね〜」と言いながら、ミリーさんはつまみ食いをしていたよw
ギルドのカウンターで、「やほー、今日は良いもの持ってきたよん」とミリーさんが言うと、「また、変な物じゃあないですよね」と受付嬢が返してきた。
「今回は目玉商品だよ、ここに居るレンからおそわった物さね」
「あっ、レンさん、こんにちは。販売会ではお世話になりました」
「こんにちは、今日はレシピの登録をしにきたよ」
「レシピ?……もしかして、この前作って頂いた[唐揚げ]と[フライドポテト]ですか!」
「それだけじゃ無いんだ。見ておくれ、レンに教えて貰ったレシピさ」
ずらりと並んだレシピを見て、ギルド嬢は驚きを見せた。
「少し相談したい事もありるから、ギルマスと話せるかい」
「ちょっ、ちょっとお待ち下さいね」
少し待つと「奥に案内しますね」とギルド嬢が戻ってきた。
「やぁ、レン、ミリー今日はどうしたんだ」
「ちょっと相談したい事があったんでね、先ずはこれを見とくれ」




