第10話 ギルド販売会
ギルド職員の朝は早い。
いつも鐘1つに依頼書を貼るため、夜明け前から準備が通常だ。
まだ夜明け前だが、全員出勤して準備を行っている。
既に会場前には200人程集まっていた。
ギルマス自ら列の整理を行っている。
「ギルマス、素材はたんまりあるんだろうな。少なけりゃ暴れるぞ」
「おぅ、たんまり用意しているぜ。そっちこそ、金はたんまりあるんだろうな。少なけりゃ追い出すぞ」
と冗談を言いあってた。
ギルド職員が、先頭からルールの説明を行っている。
ルールを決める際、「1人10個は少ないのでは?」と質問したら、「奴らは工房全員て来るから大丈夫だ。追加依頼も出来るしな。様は、先ず全員に行き渡るのが大事なんだよ」と返された。
(成る程、これだけの人数で、最初の方に無くなったら暴動が起きたかもね)
スタートが近づくにつれ、並ぶ人数も増えていった。
今は400人程並んでいる。
列の整理は冒険者がは引き継ぎ、ギルマスは会場の警備配置を指示。
会場の配置図は、大きなボードで見える様になっていて、誰がどの素材に行くかを工房毎で話し合っていた。
以外と静かで本気度が伺える。
時間が近づいて、ギルド職員の案内が始まった。
「間もなくスタートいたします。素材は十分確保していますので、走らずにお進み下さい。最後の受付で追加の依頼を受けますので、素材カウンターでは購入のみでお願いします。ルールを破ると罰則もありますのでご注意下さいね」
その時、鐘1つが鳴り響いた。
「それでは素材販売会を行います、最初の100名からお入り下さい。その後の入場はギルド職員が案内します。くれぐれも怪我のない様にご協力下さい」
瞬く間に素材が売れて行く。頃合いを見て20人位を追加で入れて行き、用意した交換木札が無くなる前に、素材購入後の木札を回収。
素材を購入した後は、工房の代表者が追加依頼をして退場が一連の流れだ。
会場を後にしたその先に商店街の屋台が並んでいる。
素材は大量に用意したけど、並んでいる人もどんどん増えている。足りるかな?と不安になった。
販売会は大きなトラブルもなく進み、全体を見ているとミリーさんが声を掛けてきた。
「レンさん、この前振りだね。素材ありがとね」
「ミリーさん、お役に立てて嬉しいですよ」
「この素材販売会もレンさんの仕業かい?」
「ははっ、足りると良いんですけどね」
「いやいや、これだけの人数に行き渡っているだけでも凄い事だよ」
他愛のない話しをした後に、ミリーさんへ相談を持ちかけた。
「ミリーさん、新しい調味料を開発してみませをんか?」
「新しい調味料?興味はあるね!どんな調味料なんだい」
「[卵]や[トマー]を使った調味料ですよ」
オレは[マヨネーズ]や[ケチャップ]の再現を試してみたくなった。
「ふむ、[卵]や[トマー]を使った調味料は聞かないね」
少し考えて「いいよ、やってみよう」と言ってくれた。
明日から追加素材の確保もある為、7日後に工房へ行く約束をして別れた。
鐘2つが鳴って暫くすると、会場内も落ち着いてきた。
追加受付の職員から、「追加こんなにありますが、大丈夫ですか?」と不安気に聞かれた。
(多分2日ぐらいで集まるかな)と目算して、「大丈夫ですよ」と安心させたよ。
ギルド職員から「間もなく終了です。終わってない方はお急ぎ下さい」とアナウンスが入った。
この後撤収し、明日は集計・追加依頼の取りまとめが予定となっている。
完売した素材は無く、残った素材は追加依頼に回す。
撤収後は打ち上げで、旨い酒が飲めそうだよ。
ギルド職員と警備をしていた冒険者、屋台の関係者で酒場を借り切って、打ち上げを行った。
会計はギルド持ち。かなりの儲けが期待出来そうだと聞いた。
ギルマスから「今日は皆良くやってくれた。無事販売会を成功させる事が出来た。これも一重にレンが素材を集めてくれたお陰だ、感謝する。」
周りからも「ありがとう」と言われ少し恥ずかしかった。
「ギルド職員は、明日も残処理で忙しいが、明後日は臨時休業とするから頑張ってくれ」
突然の発表にギルド職員は喜んだ。
ギルドを休みにして大丈夫なのかと心配したが、販売会で滞っていた素材確保の依頼が片付いたようだ。
追加の依頼も目処が付いているので、1日ぐらい休みとしても問題無しとの事。
「それでは、今日の成功を祝って乾杯!!」
「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」
興奮冷めやまぬまま打ち上げスタート。
次から次にお礼をい言われ恐縮したよ。
商店街でも不景気だったらしく、今回の販売会で助かったと感謝された。
素材を買わなくても、家族連れが来て楽しんでいたらしい。
冒険者も割の良い依頼だったらしい。女性冒険者に絡んだ奴は、ギルマスが優し〜く奥に引きずって行ったと、笑いながら教えてくれた。
皆んなが笑顔になって嬉しいな。
次の日は、鐘2つ以降ギルドに寄ってくれと言われ、ギルドに来ている。
ギルマスから、売上金額の配分、追加素材の依頼、残った素材の買取り金額を聞いた。
追加で隠し通路の情報料も追加されていた。
「今回は本当に助かった。おまけにギルドも過去に無い儲けだ。昨日1日で、20日ぐらいの利益が稼げたぜ」
買取り金額の内訳を渡されたが、見るのも面倒になるぐらい記載されていた。
「少し上乗せして、白金額63枚、金貨7枚で良いか?」
日本円にして6,000万円以上。
昨日の売り上げは白金貨100枚以上あった。
「充分ですよ、予想より多いですしね」
「では、口座に振り込んでおく。それと、今日からBランクな。手続きするからギルド証貸してくれ」
「サラッと、とんでもない事言うね、ランク上がるの早くないかい?」
「ダンジョン60階のソロ攻略、昨日の販売会の結果だよ。実力・貢献度共に文句無し。」
「てか、あれだけの事をした奴がCランクだと、周りに示しがつかないのさ。だから、大人しくBランクになっとけ」
「ありがとうございます」
「よし、これで追加素材の回収でも文句はでねぇぜ」
確かに、51〜60階はBランク推奨だから、Cランクだとギルドも体裁が悪いのか。ギルマスズルくねw
「来年も同じく出来りゃあ良いんだけど、今回はレンが肝だからなぁ」
「素材を前から集めておくか、高ランクの冒険者を確保するかですかね」
「もう一つ、レンを拉致するかだなwww」
「タイミングが合えば協力するよwww」
「領主を巻き込むのも1つの手だな」
ギルマスの顔で、悪巧みを考えているのがわかった。
「それと、レンが拾ったギルド証の持ち主が見つかったぞ」
「良かった、落としただけなんだね」
「あぁ、過信して進んだらしいな。危うくなって逃げ帰ってきたそうだ。優しく注意しといたぜw」
ギルマスの優しさが思い起こされた。
「では、明日からダンジョンに潜りますね。2〜3日で集まると思うよ。」
「おぅ、頼んだぜ。無理はするなよ。帰りにギルド証を受け取ってくれ」
応接室を出て受付に向うと、職員に挨拶された。
皆んな疲れているはずなのに、何か嬉しそう。
(明日の休みとボーナスが効いているかなw)
今回の販売会で残したドロップ品は[ホワイトウルフの毛皮][虹水晶][ジェネラルソード][斬馬刀]だけだった。
(少し交渉用や料理用に素材確保しておこうかな)
追加素材は41〜60階を3周で確保出来た。
更に一周して、自分用の素材として、[宝石][肉][ボス魔石]をゲット。
〈ジュエリーゴーレム〉はレア魔物なので、中々見つからずに時間がかかったよ。
〈ケイブボア〉〈ミノタウロス〉〈ジャイアントスネーク〉の[肉]は売らずに持っておこう。
[ジェネラルソード][斬馬刀]はドロップしなかった。以外とレアなのかな?
充分に確保出来た為、〔アルケラ〕に戻り、ギルドへ依頼品を渡す。
これで、本当に販売会は終了。
余剰の素材は申し訳ないから、出さずにとっておいた。ホッとされたのは、気付かない振りをしたよ。
お金も充分手に入ったし、ミリーさんとの約束まで、少しゆっくりしようかな。
「市場で食材を買って帰りますか」
(こっちの卵は生で食べれるかな?)
市場では、あちこちから声を掛けられ、食材を貰った。販売会の時のお礼だってさ。食材を買わずに済んでしまったよ。
工房も再開し、景気が戻ったと喜んでいた。
後5日程で高ランクの冒険者も戻ってくるらしいから、落ち着くといいね。




