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シェフの処方箋  作者: ソルファ
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歪なコインと机下の空論


その素直じゃない見栄っ張りな姿を見ているとなんだか自分が小さく見え、大人気なくも感じてくる。

これでも本月は数少ない良き理解者であり協力者なのだから。


「仕方ねーな。座れよ」


素直じゃないのは俺の方なのかもしれない。


「本月さん……こんばんは」


戸小谷さんが俺の後ろから顔を出す。

本月は一握りの間の後、ひょんと口を開く。


「ウラちゃん? 少し雰囲気変わった?」


慌わてて本月の前に身を乗り出し、

その発言を遮って本題に入ろうとする。

「えーっと、ゴホン。二人とも今日は集まってくれて本当にありがとう。今日集まってもらったのは他でもなく……」


そんな俺のディフェンスも虚しく、

本月は続ける。


「やっぱりウラちゃんだよね!?」


俺はその容赦ない本月をテーブルの下に引きずり込む。


「(お前オモテはウラの記憶ないんだからウラの話は禁句だろ!オモテの時には戸小谷オモテとして接しろよ!)」

「そんなこと言われてもわたくしにはとってはウラちゃんはウラちゃんですわ」

「お前このファミレスを潰す気か! どうせ会うことになるだろ3人一緒にいれば」


すると本月はポケットからピンク色の二つ折り子供携帯を取り出し、いじり出す。


「おい本月、人の話聞いてんのか?」


本月は唐突に携帯の画面を俺に見せてくる。


『株式会社シャイゼリア 買収完了』


「これで誰にも文句は言わせませんわ」


世の中良く出来ている。

お金さえあれば大概の物は手に入れられる。

全ては金で成り立っているのだ。

この世のありとあらゆるものは2つのもので買える。

お札とコイン。

全てのものにこの2つを足せば金になる。

そう、2画で事足りるというわけだ。

俺はこのファミレスのテーブルの下で現実を叩きつけられた。


「まっいいですわ。わたくしは子供じゃないですからね」

立派な大金持ちの子供だが、

そう言うと本月は勢いよく携帯を閉じた。


「お二人とも机の下でどうかしたのですか?」


今度は戸小谷さんが机の下に潜り込んでくる。

この小さなファミレスのさらに小さなテーブルの下で小5の女の子と20歳の女子といい歳した男がヒソヒソ話しをしている。

この国はなんて羞恥的で平和な国なんだ。

この素晴らしい小さな世界を祝福をしたいくらいだ。

そんな脳内フラワーパークから抜け出し、小さな世界にやってきた戸小谷さんの方を向いて言い訳をする。


「なんでもないよ……」


そこには体を小さく丸め込み、しゃがんでいる戸小谷さんがいた。

そこには体を小さく丸め込んだままの戸小谷さんがいたのだ!


俺の心が叫びたがっていた。

戸小谷さんパンツ見えてるよ!って。

パンツ見えたままになってるよ!って。

戸小谷さんのソレは見た事の無いようなエロい白色で、

あたかも純潔を主張しているかの如く光り輝いていた。

その絶景にしばらく釘付けになった後、

急に動脈が活発に動き出し、静脈は冷静さを保てずにいた。

20歳の女子のパンツを見て血を沸かせる俺も俺だが、

恥も度を越せば誇りとなり得るということだ。

まさしくTHIS IS ME状態。


すると本月が下界から机の上の世界に戻る。

それはご褒美タイム終了のお知らせでもあった。


「なんでもなくてよ! 愚民を助けるのが王家としての宿命ですからね」

本月に続き席に戻る俺と戸小谷さん。


「それで? 話が脱線しましたわ」

「そうだな。早速だけどどうやってターゲットを……」


今度は本月が俺の発言を遮る。

「まずはチーム名を決めなくてはですわね。アベンジャーズとかいかがでしょう? 」

突拍子も無いなさすぎる。


「却下。俺達は市民を救う気なんてさらさらない。むしろ逆だ」

「ウラちゃ……じゃなくて戸小谷さんはどう?」

「えっ、私ですか……私はその……」

「それじゃあスーサイド・スクワッドなんてどうですか?」

聞いといて無視かよ。

てかアベンジャーズ?

スーサイドスクワッド?

ヒーロー映画に引っ張られ過ぎだろ。

大体そんなの戸小谷さんが良いと思うわけ……


「い、いいですね……自殺部隊……」


ま、まじか。

この2人変なところ共鳴し合ってるんだよな。

だが、そんなのを採用するわけにはいかない。

「それも却下だ。スーサイドって不吉すぎるだろ」

「じゃあ、お姫様と愉快な××奴隷というのはいかがでしょう?」

「ちょい待て待て。最後のには突っ込まないとして、そもそもチーム名なんているのか?」


チーム名、そんなものいるのだろうか。

協力してもらう身で偉そうなことを言うつもりはないが、

俺らは一時的な寄せ集め、はぐれもの集団だ。

いや、もしかしたらこの2人には別に帰るべき場所があるのかもしれない。

となるとはぐれ者は俺だけだ。

そもそも殺し屋は単独行動が基本で、コンビやトリオを組んだって無駄が多い。

対象は基本1人。研修中は話は別だが。

チームを組んだって殺し方や取り分の事を考えると後々面倒な事になりかねない。

結局のところ欲望や利益だけの繋がりに意味はない。

ふと頭に疑問が湧く。


『こいつらとの関係って一体なんなんだ』


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