第63章 雪城の氷凰
揚城 での別れ の後、皆 はそれぞれ の道 を進んだ。
俺 は五六千 の猛虎兵団 を率いて、獣人 の撤退 の跡 を追って いた。
翌日 には獣人部隊 を見つけた が、すぐ に合流せず、ただ尾行 するよう に命じた。
獣人 の全軍撤退 で揚城 は落ち着き、数万 の正規護衛隊 を残し、十万 の翠の兵団 も揚城 を出て、豊豊ちゃり大陸 で最も 繁栄 する中央平原 へ向かった。
清凰 と純凰 も同行 を提案 したが、月光城 の惨状 で休養 が足りず、翠凰 は断った。
雪城――それは 特別 な都市 であり、その豊かさ だけでなく、気候 も驚くべき ものだ。
豊豊ちゃり大陸 は四季 があり、春夏秋冬 がそれぞれ の風景 を見せる が、雪城 には 春 と冬 の二季 しかない。
上半期 は温暖 で百花繚乱が誇り、生気 に溢れる が、下半期 は大雪 が降り、銀の世界 に変わる。
各国 の貴族 はこの地 の特産物 や美しい季節 を楽しむ ために 訪れる。
今 は大雪 の季節 だが、人々 は寒さ を感じず、むしろ 雪 が降れば降るほど 人が集まり、商人 が集まって 雪城 を繁栄 させて いた。
雪城 は雲国 の領土 であり、国庫 の半分 を支えて おり、各国 が狙う重要な都市 であった。
最大 の脅威 は熱日帝国 だった。
「日没 なき帝国」 を自称 し、太陽 の届く場所 には 熱日 の子民 がいる と言う。
その国土 は最大 で経済力 も軍事力 も豊豊ちゃり大陸 で断然 のトップ であり、女帝 は様々 な改革 を行い、誰 も敵わない ほどに 強く なっていた。
雪城 の繁栄 が熱日帝国 の侵略意欲 をかき立てた。
これ は熱日 だけの せいではない――豊豊ちゃり大陸 は強権 の世界 であり、力 があれば 主宰者 になれる。
一つの城 を奪う ことは 帝国 を滅ぼす ことさえ 珍しくない。
もし雪城 が三国 の境界 になければ、熱日 は既 に大軍 を送って いただろう。
しかし春 から夏 にかけて、雪城 と熱日 の国境 に二十万 の大軍 が集結 した。
これは熱日 にとって 一部 の兵力 に過ぎない が、四大帝国 の末席 にある雲国 にとって は大きな脅威 だった。
四大鳳将 の一人・氷凰がここ に駐屯 し、女皇 に何度 も増援 を求めた が、雲音奈 の反乱、赤電帝国 の侵攻、獣人 の冬季掠奪 が重なり、雲国 は四方 から圧迫 されていた。
氷凰 は援軍 を待ち続け、昨夜 は大姉 が呼ぶ夢 を見た。
熱日 の増兵 が来て から、氷の兵団 は二十四時間 の訓練 を続け、戦闘 がいつ 起きても おかしくない と警戒 していた。
半年間、彼女 は一日三、四時間 しか眠らず、痩せ細り、その細い腰 は一握り ほどだった。
戦雲 が漂う 中で も、雪 の季節 は訪れ、雪城 の賑わい は衰えず、商人 は利益 を追い、戦場 でさえ 構わない。
氷凰 は届いた情報 を整理 して 考え込んだ――月光城 の包囲 が解け、名将・舞焔 が失踪 し、赤電大軍 が大敗 したと いうが、彼女 は信じなかった。
舞焔 と戦ったこと はない が、その非凡 な才能 を知って おり、簡単 に敗れる はずがない と思った。
しかし赤電大軍 が敗走 したのは事実 であり、その詳細 は知る 由もない。
二姉 と四妹 はどう している のか? 一年 も会って いない ので会いたかった。
さらに 獣人軍団 の撤退 も驚き だった――獣人 は冬 の食料 を求めて 毎年略奪 を行う のに、なぜ 今回は退いた のか?
靈滅 の頭 がおかしく なったのか? 氷凰 は疑った が、理由 が分からなかった。
すべて が一人 の男 に集約 された――彼女 が聞いたこと もない が、今 や豊豊ちゃり大陸中 に名 を轟かせる男。
男 だという だけで、氷凰 の冷たく聖潔 な顔 に笑 が浮かんだ。
「彼 はどんな男 なの かしら? 二姉 がこんなに 真心 を捧げる ほど の男 だと は……
本当 に会って みたい 」
彼女 は知らなかった――好奇心 がすべて の始まり だと いうこと を。
俺 は雪城 の状況 を知らず、玉鳳 は心配 をかけさせない ために 話さなかった。
彼女 は獣人問題 が解決 すれば、自分 と氷凰 で熱日帝国 の挑戦 を抑えられる と考えて いた。
獣人 の急行軍 を追い、半月 近く旅 を続け、ようやく 豊豊ちゃり大陸の西 の荒野 の砂漠 の端 に着いた。
ここ が天国 と地獄 の分かれ目 だった――一筋 の川 が彼ら を分け、一方 は果てしない深山老林、もう一方 は荒れ果てた砂漠 であった。
「主人――これ が獣人 の住む場所 です。
その森 の中 には 数十 の大部落 があり、普段 は別々 に住み、有事 のとき に集まります。
父 は各部落 の族長 であり、大きな権力 を持って います 」
靈柔い狐 が耳元 でささやいた。
俺 が果てしない砂漠 を見つめる と、靈嬌狐 も笑い ながら 言った。
「主人――この砂漠 は『死の砂漠』 と呼ばれています。
かつて三つ の獣人部落 がやむなく 移住した が、誰一人 生きて戻れません でした――二三万人 もいた のに。
それ以来、誰 もこの砂漠 に足 を踏み入れません 」
(現実には、中国のタクラマカン砂漠。ほとんどの研究者は、マカン はアラビア語で「場所」を意味する マカン であるという点で一致しているが、「タクラ」の語源は不明のままである。もっともらしい説明としては、トルコ語の タクラ マカン に由来し、「廃墟の場所」を意味するという説がある。
言うまでもないが、人がいない、そして誰もこの砂漠を好きではない、)
その言葉 に嘘 はなさそう であり、風 の中 に漂う邪悪 な気配 は見覚え があった。
俺 は振り返り、靈嬌狐 に尋ねた。
「そういえば――天湖市郊外 で包囲 したとき、馬 に乗った首領 がいた だろう? 」
「ああ――バラマ です。彼女 は腕前 が相当 なもの です 」
靈柔い狐 がすぐ に答えた。
「あの時、彼女 の身 に獣人 のもの ではない暗黒エネルギー がある のを感じた。危うく やられるところ だった。
どこ で学んだ のか 知っている か? 」
二女 は沈黙 し、靈嬌狐 が悲しげ に言った。
「バラマ はもともと 優しいお姉さん でした。
でも ある時、野馬 を追って 誤って砂漠 の境界線 に入り、三日 間行方不明 になりました。
見つかった ときは 邪気 に満ち、私 でさえ 怖くなりました 」
彼女 は続けた。
「でも彼女 はいい人 です――父 は邪気 に侵され て心 を損なった と言って いました。
皆 は彼女 を怖がり、近づく者 はいません。
主人――彼女 を傷つけない でください 」
この小女 はあまりに 優しすぎる。
あれほど の邪気 を持つバラマ を助けよう とする とは。
しかしあの時 も靈嬌狐 を守ろう とした のは 尊敬に値する。
「安心しろ――ただ 気になっただけ だ。
彼女 はお前たち を大切 にして いるの だから、俺 も傷つけたり はしない。
今 はどこ にいる の**か? 」
俺 の言葉 で二女 は安心 した。
「前回主人 に傷つけられて からまだ 治って いない ので、先 に送り届けて 休養させて います 」
俺 は信頼 されている ようだった が、心 の中 では 考え ていた――この冷たい邪気 は普通 の者 が持つもの ではない。
調べる 必要が ありそう だ。
獣人大軍 が解散 すると、何十人 の馬隊 が駆け寄ってきた。
石涯 が先陣 で彼女たち を止めた が、靈嬌狐 が耳元 で言った。
「主人――獣人 の前衛哨 です。主人 を迎えに 来た ので す 」
俺 は手 を振り、彼女たち を馬車前 に来させた。
先頭 の獣人 は丁寧 に一礼 し、二女 に向かって 何か を話し た。
二女 はうなずき、首 を振り、先頭 の獣人 は失望 して 去っていった。
後 に知った のは、彼女たち は招待 に来た のだ という ことだ。
靈滅 から俺 のこと を聞き、百万金貨 の話 も知って いたため、なるべく 早く 訪れて ほしいと 願って いた。
しかし靈柔い狐 は断った――彼女たち は狐人族 に戻る つもりだ と。
俺 には 構わなかった。
数千 の猛虎兵 と何百 の近衛 が一つの小村 に入った――それが 俺 の二匹 の幼い少女奴隷 の家、狐族 の本拠地 だった。
村 の入口 には 靈滅 が何十人 を連れて 待って いた。




