第61章 金の力
靈滅 の詰問 に対し、俺 は軽く 茶 を一口 含み、やや無作法 に言った。
「本将軍 にも よく分からない。
『優秀な男の周りにはいつも美女が集まる』 という ものだ。
これ は父親 として自分の娘 に聞く べきこと でしょう 」
「無駄口 だ! 」
靈滅 はますます 腹が立った――もちろん 娘たちに は聞いて いた。
二人 の娘 がこの嫌な人間 を「主人」 と呼ぶ のを聞いた ときに は、どれほど のこと か分かって いた。
自分の娘 がこんなに 美しい ことは 父親 として よく知って おり、獣人部落 で最も 美しい二輪 の花 が、このスケベ な男 の目 には 羊 が狼 の口 に飛び込んだ ように 見えた。
「獣人 の大将――怒らないで ください。
今回 の訪問 は、彼女たち のおかげ で百獣人種族 に生存 の希望 をもたらす ためです。
娘 がどうやって 俺の女 になった かは、後 で話しましょう 」
二女 が霊者 の記憶 を話していない のなら、俺 も口 を開く 気はなかった。
まして こんな神秘 なこと を言っても、信じる者 はいない だろう。
それに もう おいしいところ はすべて 占めた のだから、靈滅 は俺 のお得 の舅 でもある。
少し 敬意 を払う のも 当然 だった。
靈滅 の心 の中 の怒り は燃え上がり、大声 で叫んだ。
「獣人 は強力な軍と強力な馬 だ! 揚城 ごときが 我々の 道を 阻める と思う の**か? 」
くそっ――せっかく の好意 を無駄 にする つもりか?
このジジイ……いや、この男 は暇 だと 思ってい るの か?
「揚城 を落とし たところで、四大鳳将 の包囲 に耐えられる のか?
獣人 が強い のは 確か だが、あまりに 単純 すぎる。
本将軍 は傲慢 ではない が、小規模 な獣人大軍 は眼中 にない。
もし大首領 が本当 に自信 がある のなら、試して みる のも いい――後悔 するなよ 」
獣人 は確か に短気 であり、靈滅 は知恵 で名高い大首領 であり、常 に頭 を使って 手を 出さない だった が、今 は我慢の限界 だった。
「明日 にも 獣人大軍 に進攻 を命じる!
揚城 を制圧 し、さらに多くの食料 を奪い取る!
お前 の好意 は不要 だ! 今すぐ 消えろ! 」
少なくとも 縛り上げろ とは 言わなかった が、本気 で怒って いるよう だった。
実 は俺 が獣人 を助け、越冬食料 を提供 すること は歓迎 していた が、二人 の娘 を同時 に奪われた ことが 問題 だった。
靈嬌狐 と靈柔い狐 は獣人 の精神的象徴 であり、俺 を「主人」 と呼ぶ など、獣人がどう思う か想像 できた。
「父上――何 をして いるの !
話し合い をしよう と言った はずでしょ ! 」
帳 の外 で彩陽 が不穏 な気配 を感じ、すぐ に二女 に知らせた。
普段 はこの妖艶 な狐女 に不満 を持って いたが、ここ は獣人陣営 であり、何千 もの獣人 が睨み を利かせて いるため、個人的 な偏見 は捨てる しかなかった。
靈滅 は両手 を後ろ に組み、顔 を高く 上げて いた――俺 を見る ことさえ しなかった。
靈柔い狐 は父 が本当 に怒って いること を知り、小さな歩み で俺の前 に来て、淡い笑み を浮かべ、魅惑 の視線 を送った。
靈嬌狐 も小声 で言った。
「主人――父上 と喧嘩 しない でください。
十何万 の獣人 があなた の助け を待って いるん です。
私たち は心配 している のよ 」
二匹 の小狐 は俺 がスケベ だと 知っており、靈滅 がいる のも 構わず、左右 から俺の胸 に飛び込み、熱く香しい身体 で愛 を求めて きた――俺 は抗えなかった。
「よし、よし――お前たち には 敵わない。
靈滅大首領――今 は厳冬 が迫り、獣人 の食料 は不足 している。
もし揚城 を攻略 する自信 がない のなら、一策 を聞け――退兵 して くれ。
獣人部落全体 の越冬食料 を提供 すること を約束 する。どうだ? 」
俺 はすぐ に口 を開いた が、両手 は二女 の細い腰 を離さなかった。
靈滅 は腹 が立って も、この条件 が魅力的 である ことを 知っていた。
揚城 を攻略 するの は一日二日 では 済まず、できて も犠牲 が大きい。
獣人 が冬 を越せ るのなら、退兵 もやむなし――人間 と獣人 は違って おり、厳冬 には 獣人の体力 は落ち、一部 の種族 は冬眠 に入り、戦闘力 が皆無 になる。
二人 の娘 が目 をパチパチ させて いるのを 見て、靈滅 は怒り を抑え、不機嫌 に言った。
「お前 の一言 で退兵 せよと?
世 の中 はそんなに 甘くない。
こう しよう――まず は百万金貨 をくれ。食料 を調達 したら 一時退却 する。
厳冬前 に十万石 の食料 を届けよ。それ で問題 はない 」
くそっ、強奪 か! 十万石 の食料 だと? 俺 を大地主 と思って いるの か?
心 の中 で怒り を感じ ながら も、二双 の清らか な手 が俺の胸 を撫で、その怒り を鎮めた。
二双 の輝く瞳 が期待 の光 を放ち、俺 は負けた。
手 を空中 に振ると、百万金貨 が帳 の中 で山 のように 積み上がった。
キラキラ と輝き、目 を奪う。
幸い なこと に百万 だけで 済み、大した 額ではなかった。
この可憐 な美人 たちの ために、嫁入り道具 と思って 諦めた。
靈滅 も驚いた――口 では 言った が、本当 にこんなに 多くの金貨 が出てくる とは思っていなかった。
彼 は何の動作 も見せず、ただ 空を掴むだけで 金貨が現れた のを見て、驚き ながら 金貨に近づき、一枚 を取り出して 噛んで みた。
「本物 だ! 」
汗 が出た――まさか 偽造と 思っていた のか?
彼 はさらに 無我夢中 で言った。
「もう少し 掴める か? もっと 出してくれ! 」
俺 はさらに 汗 をかき、腕 の中 の靈柔い狐 と靈嬌狐 も羞恥 で顔 を赤らめ、気まずく てたまらなかった。
「おお、これ で十分 だ。
ただ 大量の食べ物を買う のは 簡単 ではない。
この金貨 は本首領 が預かる。
十万石 の食料 はなるべく 早く 用意 してくれ 」
そう言う と、獣人衛兵 に呼びかけ て百万金貨 を運ばせた。
金 は万能 であった。
靈滅 は大金 を手に して 表情 が和らぎ、俺 に対する 口調も 丁寧 になった。
しかし二人 の娘 を奪われた ことは まだ納得 していない ようだった が、俺 は彼 に遠慮 せず、どこ に行っても 二女の腰 を抱き、思う存分 に触った――百万金貨 だぞ! どれだけ の女 をナンパ できる か考えた だけで もワクワク した。
午後 には、金 の力 で獣人大軍 が撤退準備 を始め、俺 も十万石 の糧草 を調達 する約束 をした。
靈嬌狐 と靈柔い狐 は大喜び し、その香唇 と胸 は俺 に好き放題 にさせて くれた。
しかし「魚を与えるより魚の釣り方を教えよ」 という言葉 がある――もっと 先を 考えねばならない。
獣人部落 は越冬食料 を得れば、しばらく は大人しい だろう。
しかし冬 が終われば、また 飢え に耐えかねて 大軍を率いて 雲国と 戦う かもしれない。
俺 は考えた末、二女 に告げた――獣人の地域 を視察 し、自力更生 の方法 を探したい と。
強奪 は最善 の方法 ではない。
揚城 に戻り、一晩休んで から概況 を女たち に伝えた。
純凰 は名残惜しそう だった が、清凰 は俺の自信 を叩き潰そう として いた。
翠凰 は了承 した――熱日帝国 の強悍 さに は早急 に獣人 の問題 を片付け、氷凰 を援護 する必要 があった。
戦況 が安定 したため、純凰 と清凰 は急ぎ京都 へ戻り、女皇 に詳細 を報告 する必要 があった。
京統合軍 も風間ひら と共に 翌日 に戻ること になった。
彩陽 は俺の近衛 であり、俺 がどこ へ行っても 付いてくる。
猛虎兵団 も帝国 で徐々 に名 が知れ渡り、当然 俺 が率いる。
もう一つ の重要なこと を純凰 にだけ 伝えた――天湖市 の金鉱 について。
帰路 に立ち寄り、金貨 をすべて 持ち帰る ように と。
その時、純凰 は理屈 をこねて、天湖市 の管轄下 の金鉱 は帝国 の財産 だと 言った が、俺 の巧みな弁論 に負けて 承諾した。
さらに その金 は今後 は彼女 が管理 すると 言われた。
誰 が教えた のか 分からない が、俺 の財源 を管理 しようと している。
今 は気にしない ことに した――女 が増えれば 出費もかさむ。
彼女 に帳簿 を任せる のも悪くない。
一夜 の艶っぽいな愛 は言うまでもない。
別れ のため、今夜 は彼女一人だけ が俺 を抱きしめ ていた。
七度 の強烈 な愛 の後、彼女 は日 が高く 昇っても 起きられず、俺 は服 を着て 外へ 出た。
彩陽たち はもう 起きて おり、数人 の女 が集まって 何か を話し合って いた。
「おや――大スケベ もようやく 起きて きたか 」
また も清凰 だ――この小娘 は俺 をからかう 機会を逃さない。
昨夜、俺 が激しく求め たため、純凰 は春心 を蕩かし、聞く に忍びない 声が 少し 大きすぎた ようだ。
寝不足 のせい か、清凰 はいつも の輝き を失い、その目 は赤く 潤み、羞恥 が見えた。
俺 はその言葉 を無視 し、翠凰 を見た。
彼女 は甲衣 と玄装 でとても美しく、今まで 見た三鳳将 の中 では、風間蘭向き のよう に成熟 し豊か で春色 に溢れ、人 を惑わす魅力 があった。
しかし この女 だらけの国 では、その美しさ は埋もれて しまいそう だった。
「翠鳳将軍――先 に行く。
獣人軍 の件 は処理 するから、揚城 を脅かす ことはない。
援軍 の準備 も今 から始めて いい 」
そう言う と、彩陽 に向き直った。
「準備 は整った か? 」
彩陽 がうなずく と、風間ひら が歩み寄り、不機嫌 に言った。
「スケベ将軍――もう 行くの か?
私 に別れ も言わず に。
蘭おばちゃん のために いいこと を言って きたのに。
おばちゃん がまた 手紙をよこして きたよ――あなたの女たち があなた を待って いるから、早く 戻れ と。
それと ……もう 女を 探さないで ほしいと。将軍府 はもう 住めない から 」
どうやら 女皇が京都 を離れた後、柔城 に将軍府 を建てた ようだ。
風間蘭向き、花月、素早春香 はもう 引っ越して いる。
風間ひら の怒った表情 を見て、俺 はからかう 気に なった。
「分かった――風将軍 も帰ったら 将軍府に住め。
場所 は先取り しておけ。
女 を何人 増やしても、お前 の場所 はある 」
言い終える とすぐ に二声 の鼻 の音 が聞こえた。
清凰 と風間ひら が同時 に鼻を鳴らした。
「スケベ はスケベ だ――狼 の穴に竜は棲まぬ。
誰 が狼の穴 に住む もんか!
もし八人 の車 (日本江戸時代からの大八車) で迎え に来る のなら、考えて もいい けどね 」
そう言った のは やはり風間ひら だった。




